書 名 川へ
著 者 斎藤よし子
刊行日 2020年2月10日
発 行 鳥影社
定 価 1400円+税
推 薦 上野千鶴子
「旅と文学は斎藤さんにとって変身のツールだ。
主婦の日常から脱して、いろんな「私」になりかわる。
そして斎藤さんの想像力は、人々の屈折や襞にそっと届く。
解はない。誰もが人生の途上だからだ。」
喜寿の記念として出版しました。
「死と生」を旅と文学と共に歩んで来た。
「川へ」の作品はインドのベナレスへ行ってから書き直した。
小学校六年生だった私が母の死を自分なりに追って行った。
ここの作品はほとんどが所属している「婦人文芸」に発表したものだが、エッセイの中の二篇 「提灯屋のおタカさん」は越谷の大沢交差点の近くに住んでいたイキのいい女性の話、と「あの頃のプノンペン」共に、埼玉県越谷市の市民誌「川のある町」に掲載されたものです。
この出版に取り掛かって直ぐの七月の中旬、突然脳梗塞に罹り、入院生活が続いている。
出版社とのあれこれは長男の孫にお世話になった。ある文学の専門家に、後書きとかなんかとかが足りないと指摘されたが、入院中だった、ためである。出版するのが精一杯だった。
思い起こせばハイライトは76歳の時、パリでの三ヶ月を過ごしたことだった。念願のホームステイとフランス語のレッスン、四月の誕生日には若いクラスメイト(トルコ、スイス、ブラジル、アメリカ、韓国)と先生に祝ってもらった。
出会いは私の視野を広げさせた。ニューヨークに住む黒人と、そして、難民と呼ばれる、ヴェトナム、カンボジアの一家差別と社会問題。
サバイバル英語での海外一人旅にも魅入られた。
これからは車イスのと第二の人生になるが、一段と下がった視点での生活、私にとってアドベンチャーの世界が待っている。
◆斎藤 よし子
1942(昭和17)年東京生まれ。
東京都立目黒高校卒。
「婦人文芸」同人。