コロナウィルス対策で、予防のために休校や在宅ワークで家族がずっと家にいる、さらに仕事がなくなったので家にいることもある。そうすると、もともとDVや虐待の関係にある家族やカップルが、この状況下でもっと怖い目にあっていくのではないかと心配している。今回、要望書を出すことを考えて、全国各地の相談支援の場にいる人たちに、急きょ問い合わせをしてみた。すると、やはり「(DV加害者の)夫がずっと家にいるので、監視されている」「だんだん子どもや妻への暴力が出始めてきた」という相談が少しずつ来ているということがわかった。
DVは「殴る、蹴る」だけでない
いまでは、DVは、殴るなどの身体的暴力だけを指すものではないことは、よく知られるようになってきている。DVとは、親密な関係における「支配とコントロール」だ。DVは、お互いがお互いを尊重し、支えあうカップルや夫婦関係ではなく、一方が他方をまるで自分のペットか奴隷であるかのように支配し、おいつめてしまう関係性のことだ。最近は、「モラル・ハラスメント」(モラハラ)という言葉もよく知られるようになり、身体的な暴力はなくても、バカにするような暴言、説教、監視などひどい精神的DVはありうるのだということはだんだんわかってもらえるようになってきた。なお、この「モラル・ハラスメント」の「モラル」とは「道徳的」という意味ではなく「精神的」という意味で、職場のねちねちしたいじめについても「モラル・ハラスメント」という言葉が使われている。また、カップルや夫婦間の同意していない性行為=性暴力や、同意していないのに性行為や裸の写真や動画を撮られる、避妊の話し合いができない、妊娠してもきちんと受診して出産に備えることをさせてもらえないことなども、DVだ。
日本各地でDVの実態調査が始められた1990年代後半、名古屋市が市民に行った調査(1999年)当時では、「妻が病床についているときでも家事はせず妻にさせること」について、「してもよいと思う」「どちらかといえばしてもよいと思う」のどちらかに○をつけた人は、男性の回答者のうちの47.6%もあった。このコロナが心配な状況下で、妻が体調不良で熱があったりしても、夫が「ご飯は?」と平気できいて、ご飯が出てくるのを当たり前のように待っていて、妻は病気をおしてご飯を作っている、というような家庭もあるのではないだろうか。しかしそれはかなり、DV的な関係だ。こんな傾向のある家族が家にずっといるとなると、始終監視して一挙手一投足ダメ出しするモラハラとか、家族正座させて説教とか、病気になっても病院に連れて行ってもらえないとか、子どもに対しても監視し、「勉強しろ」と追いつめる教育虐待なども起きているのではないかと、どんどん心配になってくる。
DVの解説 例えば、尼崎市女性センター トレビエ
https://www.amagasaki-trepied.com/dv/dv.html
広島市 デートDVパンフレット
https://www.city.hiroshima.lg.jp/soshiki/53/10254.html
しかし、相談を受けて被害者を支援する私たちの側も、この新型コロナウィルスがひろがる状況下では色々と悩んでいる。 (続く)
北仲千里(NPO法人 全国女性シェルターネット、広島大学)
2020.04.05 Sun
慰安婦
貧困・福祉
DV・性暴力・ハラスメント
非婚・結婚・離婚
セクシュアリティ
くらし・生活
身体・健康
リプロ・ヘルス
脱原発
女性政策
憲法・平和
高齢社会
子育て・教育
性表現
LGBT
最終講義
博士論文
研究助成・公募
アート情報
女性運動・グループ
フェミニストカウンセリング
弁護士
女性センター
セレクトニュース
マスコミが騒がないニュース
女の本屋
ブックトーク
シネマラウンジ
ミニコミ図書館
エッセイ
WAN基金
お助け情報
WANマーケット
女と政治をつなぐ
Worldwide WAN
わいわいWAN
女性学講座
上野研究室
原発ゼロの道
動画






