第3回 フェミニズム・リサーチ・ライブラリ〈第1部〉 戦争とジェンダー
彦坂諦さん × 五郎丸聖子(歴史研究者)×嶋守さやか(桜花学園大学保育学部教授)

ゲスト:彦坂諦さん
日時 2019年4月28日(日) 14時00分~
制作 ウィメンズアクションネットワーク(WAN)・桜花学園大学(2019年度特別研究費による

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フェミニズム・リサーチ・ライブラリは、嶋守さやか(WAN会員・桜花学園大学教授)と渋谷典子(WAN会員)が「フェミニズムを次代へつなぐ」をテーマとした研究成果を動画で配信するものです。「この人に、この人の『フェミニズム』を語っていただきたい!」と嶋守・渋谷が熱望した方々のお話を、インタビュー形式でうかがっています。
第3回〈第1部〉は、ゲストに彦坂諦さんをお招きし、「戦争とジェンダー」をテーマに、彦坂さんのこれまでのご活動について、お話をうかがいました。

*彦坂諦さんプロフィール*
1933年、仙台で生まれ、山口で育つ。1945年5月、教員だった父の転勤に伴い、大日本帝国の植民地都市の旅順に移り、敗戦を迎え、まもなく難民として大連に追放された。1949年10月、引揚者として帰国。1957年、東北大学文学部国史学科卒、1967年早稲田大学大学院ロシア文学科博士課程満期退学。木材検収員、通訳、非常勤講師(芝浦工業大学)をしつつ評論活動をしてきた。1978年より1995年まで約17年の歳月をかけて、シリーズ「ある無能兵士の軌跡(全19巻)」を完成させた。その他の著書に、『男性神話』(径書房、1991年)他、多数。

彦坂さんについては、2013年9月7日に行われた講演「女と男がのびやかに歩き出すために ~男にとっての性暴力とは何か~」の録画映像がWANにも掲載されています。

彦坂諦さんの講演の動画 

以下は、WAN動画説明ページより引用しました彦坂さんの紹介です。WANに掲載するにあたり、彦坂さんに確認をいただいた上で、文言を少し変えています。
性暴力の加害者は圧倒的に男性です。被害者の多くは夫、恋人、友人、知人など「身近な人」から被害を受けています。「男性神話」に基づく誤った性意識が女と男の対等の関係を阻害し、性暴力の要因となっているのです。
 「男の性欲は我慢できないもの」「男はレイプするくらいの元気があったほうがいい」さらに「慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」などという言説はなぜ繰り返されるのでしょう? 講師の彦坂さんは、長年、旧日本軍兵の行動と意識を研究し、男のセクシュアルテイ神話をあばきだしてきました。性暴力をなくし女と男がのびやかに歩き出すために、私たちは何をすればいいのか一緒に考えてみませんか?

彦坂さんは、「日本兵」について、私たちに次のようにていねいに教えてくださいました。
「『兵士』とは、わたしは一度タイトルで妥協した以外はけっして言わない。なぜなら、兵は「士=さむらい」ではないから。「士」とつくのは、陸軍でなら少尉以上の「将校」、海軍でも、少尉以上の「士官」で、すなわち「指揮官」です。「兵」(中国語では「ピン」)は、指揮官の命令によって 行動するのみ。どう考えても一人前の「さむらい」ではない。また、「兵士」という表現には、兵を英雄として称える意識がまぎれこんでいる。」

お優しく、ときに情熱的な彦坂さんのお人柄が伝わる、彦坂さんとの対談をお楽しみください。

彦坂さんのつづきのお話(彦坂さんの著書『亜人間を生きる』、「戦争と性」編集室、2019年)について)は、第3回「フェミニズム・リサーチ・ライブラリ」〈第2部〉でどうぞ。