
ルドベキア 花言葉は 「公平」
2018年12月,文部科学省は,「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査最終まとめ」を公表しました。同まとめにおいて,聖マリアンナ医科大学を含む複数の大学が,女性という性別を理由として不利益な取扱いをした,ないしその疑いがあると指摘されました。入学試験という公正・公平が求められる場面で,「女性」というだけで本来より低い得点・順位で評価されていた。この衝撃を皆さまは覚えているでしょうか。
聖マリアンナ医科大学は,上記文科省からの指摘に対し,性別による一律な評価はしておらず受験生を個々に総合評価した結果だと主張しました。
2019年1月,大学は,独自に監査団による監査を行い,性別による一律の加点・減点等をした事実は認められなかったと報告しました。
しかし,その後,文科省の指導に基づき設置された第三者委員会が調査を行った結果,2019年12月,性別による一律の差別的取扱いが行われたものと認めざるを得ないと結論づけられました。
第三者委員会は,差別的取扱いについて,「内容,点数等の大きさ等からすれば,上記教育基本法・大学設置基準や本アドミッション・ポリシーのみならず,一般社会通念に照らし,その不合理は明らか」で,「機械的な加点の度合いが年々増加されていたことからすれば,公正かつ適正な方法で入学試験を行わなければならないという規範意識は年々希薄化していったものとさえいえる」と厳しく指摘しています。(平成30年度入試では,180点配点のところ男女の得点差は80点にもなっていました。)
にもかかわらず,大学は,今もなお,性別を理由として一律機械的に評価を行ったとは認識していないと不合理な弁解を続けています。《聖マリアンナ医科大学について文科省が2020年10月1日「不正入試があったと認めざるを得ない」とした。弁護団日記・号外参照》
聖マリアンナ医科大学を含め,多くの私立大学は,日本私立大学振興・共済事業団より助成金を受け取っています。
女子受験生に対する性別を理由とした不利益取扱いが明らかになった後,2018年度の助成金について,東京医科大学は全額交付を受けられず,順天堂大学は前年比25%の削減措置を受けています。一方,聖マリアンナ医科大学は,2018年12月に文科省から指摘を受けた後も,さらには,2019年12月に第三者委員会から指摘を受けた後にも,助成金の全額を交付されています。
助成金の交付を全額又は一部受けていないことをもって,法的には勿論,社会的にも道義的にも,性別による不利益取扱いが許されるものではありません。
しかし,聖マリアンナ医科大学は,東京医科大学や順天堂大学と比較しても,社会的・道義的制裁すら受けていないのです。このような大学の姿勢が,公正・公平に評価されると信じ,文字どおり寝食を忘れて受験勉強に取り組んだ受験生らに,さらなる苦痛を与えていることは疑いようがありません。
文科省の最終まとめが公表されてから,もう少しで2年になります。私たち弁護団は,医学部入試における女性差別が明らかになった当時と同じ熱量で,聖マリアンナ医科大学の責任を追及していきます。
たくさんの皆さまがこの問題にこれからも関心を寄せていただき,訴訟の推移を見守っていただきながら,1人1人がどのような意識を持ち,自分の身近なところから何に取り組んでいけば,性差別のない社会,ジェンダーギャップ121位という不名誉な地位から脱却する社会に変わっていけるのか,友人,同僚,ご家族などと自由闊達に議論していただきたいと思います。
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