春休みに子どもと大人で読んで語るのにおすすめの3冊をご紹介します。
① 太田啓子さんの「これからの男の子たちへ :「男らしさ」から自由になるためのレッスン」(大月書店)。
この本を私にすすめてくれた男子生徒は、生徒とその保護者全員に読んでもらいたい、と話していました。ホモソーシャル、ボーイズクラブの悪しき習慣を敏感に感じ取っていた彼は、そのことを一度分析して皆で考え直すのに、この本は良いテキストになると考えたのだそうです。
私は、ボーイズクラブの形成と維持には、もしかしたらある部分では母親やそれに近い存在が深く関与しているのではないか、と疑念を持っていて、仲間でこの本を回し読みしたところ、議論は大いに盛り上がりました。春休みに、子ども、パートナー、友達、と読むと、読後の感想で盛り上がることまちがいなしの一冊です。
② 竹信 三恵子さんの「10代から考える生き方選び」 (岩波ジュニア新書 920)
就活スーツを着て、ヒールはいて、個性をころして、就職活動につかれズタズタになっている若い友人たちをみていて、40代以上も、この「10代から考える生き方選び」を一緒に読んでおいたほうがよいわ〜、と後悔した一冊。
「大人たちの世代はなぜ、これまで「なんとかなって」きたのか、その前提がいま、どのように変わろうとしているのか、そうした変化に対応するために、若い世代は何をどう選択したらいいのかについて、一緒に考えてみようとしたものです。」
「大人たちにも、若い人の環境がどう変わっているか、それをもとにどんな助言をしてあげたらいいかを考える材料にしていただけたらうれしいです。」
と書かれています。
欧米では80年代、グローバル化で海外脱出する企業が横行し、男性の仕事が激減。結果、男女がともに社会で活躍できる仕組みに切り替わっていったのに、その流れから取り残されていった日本。バブル景気とあいまって、
「その結果、「ほかの先進国は困っているけど、日本だけは繁栄している」「日本はすぐれた国だ」と思い込みが生まれてしまいました。だから、「男は仕事、女は家庭」の仕組みなど変えなくても、なんとかやっていける、という気分が日本中にあふれました。その時代の記憶が強い世代には、日本は変わらなくてもいいとか、(中略)とか思い込んでいる人がいまなお見られます。」
これ、思い当たるフシがアリアリです。思い込んでいる大人は周りにたーくさんいます。
非正規社員としてしか働き口がないという現実に直面する若い世代と、男性が家族を養ってさえいればなんとかなる、というバブルまでの世代とでは、社会の見え方が全く違うことを、著者の竹信三恵子さんは「世代間断層」と呼んでいて、私のように自分のバブル期就職時の話を交えて若者に説教をして、おもいっきり若者に嫌われた時代遅れで現実が見えていない愚か者は、断層に向かって謝罪の言葉をさけぶしかないのでした。ああ、、、ホントにごめんなさい。
この本は、コース別に将来を考えますが、まずは情報収集力をつけることをすすめ、リスクを見通したり選んだコースのリスクを克服し柔軟に転換していける力をつけることも言及しています。
自分の若い頃の話を交えて説教して、「時代がちがうんだよ!」と今の若者に言われる前に、ぜひお読みになることをおすすめします一冊です。
③ 上野千鶴子さんの「女の子はどう生きるか 教えて、上野先生!」(岩波ジュニア新書929)
吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」を読み通すことができなかった私も、この本は読み通せました。
上野千鶴子さんは、次のように書いています。
>残念ながら、いまの日本では、「女の子の育て方/ 育ち方」と「男の子の育て方/ 育ち方」がずいぶん違います。だからこそ、「女の子はどう生きるか」という本が書かれなければなりません。」
2021年夏休み中に、WAN上野ゼミでは、読者の中学生・高校生を対象にした「教えて、上野先生!ゼミ」を開催予定。(大学生もOK!)
本を読んだ女の子は、ぜひ夏休み中の上野ゼミにご参加して(開催のおよそ1か月前にWANサイト上に申し込みの告知がでます)
上野さんに直接「教えて!」って問いかけてみてくださいね!