
日本の子ども虐待防止策は、30年以上も失敗し続けてきた。
『子ども虐待は、なくせる 当事者の声で変えていこう』(日本評論社)は、失敗の現実を浮き彫りにし、新しい虐待防止策を虐待サバイバーと共に作ろうと呼びかける本だ。
失敗のエビデンスは、厚労省の公表している以下の統計で十分だろう。
●虐待相談の件数は1990年以来、30年間で約200倍に増加
●児相への虐待相談では、8割以上の案件で子どもが保護されていない
●虐待通告ダイヤル189を利用したのは、近隣市民の0.02%
●保護された子どもは、児相や養護施設の職員・里親にも虐待されている
●養護施設で育つ高校生の大学進学率は一般の3分の1以下に下落
●児相へ虐待相談した人のうち、子ども自身からの相談は1%
●児相に保護されても、家裁で親権を制限できるチャンスは2.8%
●児相の職員として10年以上も働いているのは全職員の10%台
日本小児科学会は2016年、虐待死した15歳未満の子どもが年間で350人に上るという推計値を発表。
虐待死の解決に取り組まなければ、今後10年経てば、3500人、30年で1万人以上の子どもの命が奪われる。
その残酷な現実を温存しているのは、親権制度だ。
民法には、こうある。
「成年に達しない者は、父母の親権に服する」
日本の子どもは親の奴隷にすぎない。
同時に、子育ての全責任が父母2人だけに負わされている。
仕事と生きがいと子育てを両立させるなんて無理ゲーだ。
官僚が有識者会議に招いた学者・専門家・支援団体に虐待防止の制度設計を任せていたら、防止策に失敗し続けた。
彼らの言い分を鵜呑みにしていては、虐待は終わらない。
そこで、僕は『子ども虐待防止策イベント』を地元で開催するよう、ネット上から市民に呼びかけた。
v虐待サバイバーが被害を語り、僕が虐待の基礎知識を解説し、市民が政治家と一緒に新しい防止策を議論するものだ。
2018年に東大で開催。2019年は全国5か所で開催。
2020年に7か所で開催され、参加した山田太郎・参議院議員は今年3月に自民党の勉強会に初めて虐待サバイバーを招いて発言の機会を与えた。
都民ファーストの会の木下ふみこ議員も、同様の取り組みを行った。
今年も地元開催の希望者にマニュアルを配布している。
http://con-isshow.blogspot.com/2021/03/boushisaku2021-all.html
新しい虐待防止策は、被害当事者の声に耳を澄ますところから始まる。
【追記】
本書でも紹介したエリザベス・ヤング・ブリューエル女史の書いた『子ども主義』の和訳出版したい編集者からの連絡をお待ちしています
conisshow@gmail.com
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