なぜ男性の不妊は語り得ないのか?
その背景に何があるのか?
近年の日本社会は男性不妊への関心を猛烈に高めている。著名人が自身の経験を発信することも増え、ドラマ・映画をはじめとしてマスメディアで取り上げられることも多くなった。さらに、男性側の要因によるケースの割合は約5割に上るということも明らかになった。
しかしながら、その一方で、男性不妊の当事者を対象とした調査研究は、日本ではまだ少ない。調査そのものの難しさだけではなく、いまだ「不妊は女性の問題」という社会の意識が根強く影響しているのではないか。
男性本人とそのパートナー、さらには泌尿器科医へのインタビューで得た当事者の語りをもとに考察し、男性不妊を「妻の問題」として、男性個人にとっての身体の問題としてではなく、「夫婦関係の問題」として捉え直す。「不妊は女性の問題」というジェンダー・バイアスに楔を打ち込む意欲作。
*2021年5月8日付『日本経済新聞』読書面「あとがきのあと」で著者インタビューを紹介
「…治療の場では妻が主導権を持つことがほとんど。妻が『夫の威信』を守るべく、不妊の原因が自身にあると周囲へ情報操作を行う例もあった。…『男性は自身の不妊について語りたがらないもの』といわれるが、今回調査に応じた人たちは『男性不妊の現実を多くの人に知ってほしい』と訴えていた。…」(記事より抜粋)
*目次
序 章 本書の背景と目的
第Ⅰ部
第1章 男性不妊の医療化と専門医の台頭
第2章 先行研究と本書の位置づけ
第3章 対象と方法
第Ⅱ部
第4章 男性は自らの不妊をどのように経験するのか――夫の経験の考察
第5章 不妊治療における男性身体の意味づけ――身体経験の考察
第6章 女性は夫の不妊とどう向き合うのか――妻の経験の考察
第7章 男性不妊の開示をめぐる夫婦の戦略
終 章 現代日本の男性不妊
(晃洋書房企画営業部 さかぐち こうすけ)
◆書誌データ
書名 :日本の男性不妊―当事者夫婦の語りから
著者 :竹家 一美
頁数 :280頁
出版社:晃洋書房
刊行日:2021/4/30
定価 :3080円(税込)
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