女性センター統廃合攻防の現場から。山梨からの報告③です。
6月に入って慌ただしく「山梨県立男女共同参画推進センターの集約化(案)」の「意見交換会」が6回と、県男女共同参画審議会が開かれました。
*報告① はこちら → https://wan.or.jp/article/show/9530
*報告② はこちら → https://wan.or.jp/article/show/9572
① そのあと6月14日、県議への「執行部説明会」が招集されて・・・
担当課長より、説明資料①「県立男女共同参画推進センターについて」(下にPDF添付 )
新しく追加された説明資料②「県立男女共同参画推進センターに関する意見交換会【概要】」(下に PDF添付)によって説明されました。
①の資料はこれまで6回の「意見交換会」及び、「県男女共同参画審議会」で配布されたものと同じものです。
それに対して、4名の議員が発言し、まだ発言したい議員がいるにもかかわらず、説明を含め30分という短時間で終了しました。
②「意見交換会【概要】」(説明資料②PDF)には賛成意見がたくさん載ってるけど、本当?
説明会では、配布された資料②(「意見交換会【概要】」)には「賛成意見がこんなにあるみたいに書かれているが、これは意図的な資料ではないか」とひとりの県議が質問。
担当課長は「審議会では反対の意見はひとりでした」と回答。
議員からは「老朽化や使用率低下は集約の理由にならない。国際交流センターや富士・峡南(2つのセンター)が総合(甲府のセンター)に集約されれば機能が低下してしまう」「男女共同参画の進み具合をきちんと説明しなければ、集約を進めることはできない」「共同参画が進まなかったこととセンター集約とはどんな関係があるのか。サークル活動が多いと言っても、そもそも建てた時に利用は地域住民も入るのが前提だろう」「集約してどういう支援をするのか」「こういうことはもっと前から、利用している人に説明しないと理解してもらえない」というような発言があったそうです。
その様子は15日の山梨日日新聞に、「県 男女共同参画施設巡り説明会 『集約ありき』県議反発」という見出しで報じられました(上記に新聞紙面掲載)。
③ 資料はどうやって作られたの? そこのところを聞いてみた!
どのように「意見交換会の【概要】」資料(説明資料② PDF)が作成されたのか、関係部局に問い合わせをしてみました。
質問:どのようにこの資料が作成されたのか。
回答:各会場での議事録はまだ作成途中。出席していた部長・課長や課の担当者全員のメモを持ち寄って作成した。「集約」に対して、反対、中立、賛成のカテゴリーを設けて、それに当てはまる主だった意見を選んだ。
質問:これを見ると、いかにも「中立」や「賛成」が多く、「反対」は少ないように見える。かなり恣意的に選んだと言われても仕方ないのではないか?
回答:決して意図的なものではない。
質問:では、意見交換会では、集約反対について多くの意見が出ていたにもかかわらず、3つの意見しか書いていないのはなぜか。
回答:ここでは、質の違った意見を挙げたので、同じ趣旨のものはまとめて一つにした。
質問:その方法はおかしいと思う。例えば「集約すると男女共同参画の火が消えてしまう」という趣旨の発言は、多くの人がそれぞれの理由を挙げて発言していた。それを、見かけ上、一人の発言に見えてしまう作業の仕方、記載の仕方は、県に都合のいいように意図的にしたと思われても仕方ないのではないか。
④ いままでの意見交換会では、例えばこんな意見が出ていた
県が何回も説明してきた「集約案」については、反対の立場からいろいろな意見が出ています。(→ つぎのPDFをご参照ください。)
⑴資料3-1の【現状】で「一定の成果あり」とされている「“男は仕事、女は家庭”に反対と考える人の増加」については、2005年から2020年の間、15年間で増加したのはたった13%で、やっと5割超となったもの。これを胸を張って「成果」と言えるのか?
⑵同じく「成果」として「働く女性の増加」とあるが、非正規雇用で働かざるを得ない男性が増えて、女性が社会進出したということであって、男女共同参画の推進ができたという評価とは別の側面もある。
⑶「稼働率」が低いことが廃止の理由の一つになっているが、人口当たりの利用者数を示す「利用率」では、ぴゅあ総合(甲府市)は13%、ぴゅあ富士(都留市)は28%、ぴゅあ峡南(南部町)は20%で、むしろ、総合の利用率が低いという結果になる。
このように、県作成の説明資料や「意見交換会の【概要】」は疑問の多いもののようにみえます。
⑤ 「一部の受益者」って?
意見交換会【概要】には、参画審議会での発言として「(税金の使途が施設を利用する)一部の受益者だけのものとならないよう・・・」という意見が記載されています。 「山梨県男女共同参画推進条例」にも、前文に「私たちの山梨を豊かで活力あるものとしていくためには、県民一人ひとりがお互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性にかかわりなく、自立した個人として、その個性と能力を十分に発揮することのできる男女共同参画社会を実現することが、緊要な課題となっている。このような認識に立ち、私たち山梨県民は、ここに、男女共同参画社会の実現を目指すことを決意し、この条例を制定する。」と謳われています。共同参画社会やジェンダー平等の実現の「受益者」は、当然、県民全体ではないでしょうか。
⑥ 新聞記者が質問 @議員説明会直後の知事記者会見
14日の議員説明会の直後、知事の記者会見が行われ山梨日日新聞と朝日新聞の記者からセンター問題についての質問が出ました。
記者と知事との山梨県HPに掲載されています。 → https://www.pref.yamanashi.jp/chiji/kaiken/0306/0614.html
↓山梨県HPより知事記者会見を抜粋 ↓
会見の中で知事は、
「女性団体とのやりとりでは、今の形態をそのまま維持しろと言う意見はむしろ少なかったと認識しています。皆さんはやはり活動の拠点としては必要で、しかもそれ専用の部室であるべきだということは異口同音におっしゃっていて、それについては、我々も「なるほどそのとおり」ということで同意をしておりますが・・」などと発言。
しかし、一方の「女性団体とのやりとり」に実際に出席した参加者からは、「発言記録を私たちは作りました。それを確認しても、どこからこういう認識が知事に生まれてくるのかわかりません。」と知事の発言に対して、話しています。(県はまだ議事録が作成できていない)
また「部室」という言葉は、知事が市町村の推進委員長との意見交換会で「部活には部室が必要」と発言している文脈に通じます。
知事の発言 →「○○町の推進委員長のおっしゃった「拠点があることが大切だ」というのはよくわかる。学生時代の部活動じゃないですけれど、部室があるのとないのとではやっぱり違う。なにがしかの拠点というのが、多くのみなさんの意見なのかなと考えました。」
しかし、私たちが考える「拠点」は「部活動の部室」ではありません。この点については、県議に提出した要望書(報告②の文書)で述べました。
⑦ 今後の予定、私たちの不安
6月議会での代表質問で、自民党、立憲民主党からそれぞれ1名、センター「集約」問題について、質疑をしてくれることになっています。これに知事がどう答弁するかが、今後の大きな流れを作るでしょう。
私たちが今一番不安なのは、この件が、議会後どのような手順を踏んで、どこでどのように最終決定されるのかが、わからないということです。
全国のジェンダー平等の実現を願っている皆様に、再度訴えます。
どうぞ山梨のこの問題に関心を持ち、知事あての要望書やWEB署名http://chng.it/pJJtxb76nCの拡散などによって、私たちを励まし、応援してください。こんなやり方もあるよというアイディアもいただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。
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男女共同参画推進センター「集約」(廃止)問題 //
「女性センター統廃合攻防の現場から:山梨県の場合」
報告① https://wan.or.jp/article/show/9530
報告② https://wan.or.jp/article/show/9572
WEB署名http://chng.it/pJJtxb76nC
*全国女性会館協議会からの山梨県知事宛ての要望書 → https://j-kaikan.jp/news/from-jkaikan/4846
*日本BPW連合会の理事長名で、山梨県知事宛に、「山梨県立男女共同参画推進センターの「3館の集約」の見直しを求める「要望書」が、5月26日に出されました。日本BPW (Business and Professional Women)連合会は、働く女性たちの国際組織BPW International加盟の民間組織です。https://www.bpw-japan.jp/japanese/objective.html
*この署名への応援メッセージ→ https://wan.or.jp/article/show/9533。(行政へのアクションをどのように広げたかを伝える2017年当時の経験談は、アクションの貴重な記録で活動の参考になります。あわせてぜひお読みください)
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WANサイトでは今後も山梨での動きを掲載していきます。 各地で起きているまたは起きそうな女性センター統廃合の動きに私たちはどのように運動するのか、みなさんと考えていきたいと思います。ご注目ください!