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日本社会に対する一つの挑戦 『支える--連帯と再配分の政治学』齋藤純一(編)

2011.04.29 Fri

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 3月11日からもうすぐ二カ月が経とうとしています。まだまだ被害の全容も、これからどれほどの被害が生じてくるのかも明らかにならないなかで、テレビや新聞を通じて、「助け合い」「支え合い」「がんばろう」「一人じゃないよ」といった掛声が聞こえてきます。それらは、震災にあった被害者の方々への真摯な声、日本人だけではなく、同じように被害にあった外国人にも向けられた、いてもたってもいられなくて、わたしたちの口からでてくる言葉だと思います。

本書は、どうしてわたしたちは、互いに助け合うのだろう、それは、自分だけ幸せになればいいと思う自分とどう違うのだろう、といった疑問や、もう一度社会を立て直さないといけない今、わたしたちが目にしているのは、もしかしたら新しい社会の萌芽かもしれない、といった思いに応えてくれるます。

とくに、第一章、重田園江さんの論文「なぜ社会保険に入らなくてはいけないの?」、第8章、伊藤恭彦さんの論文「税制の政治--貧困の解消と制度を媒介とした連帯」は、利益を得た分負担するという、現在の日本社会がモットーとする応益負担を、根本から見直すことを提言しています。

「勤労収入への課税は、強制労働と変わりがない」といった、いわゆるリバタリアンな社会から、「良い状態にある人々がもっている資源が他でよりよく使われ、それが非常に効果的に行える場合には、この目的に向けて所有権を再調整する」社会へ。

今だからこそ、「支える」とはどういう意味かを知るためにも、是非とも多くの方に手に取ってもらいたいと思います。「支え合い」、どうも甘く聞こえてしまうこの言葉、じつは、現在の日本社会の構造に対する根本的な挑戦となっていることが、よく分かるはずです。

なお、関係書として、重田園江さん著『連帯の哲学』も是非読んでください。(moomin)








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タグ:再配分 / 連帯