女の本屋

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働くこと、生きること、そしてほんのすこしの余裕 『ポトスライムの舟』 津村記久子

2011.05.09 Mon

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長瀬由紀子(以下、ナガセ)、29歳、独身、母と二人暮らし、奈良在住、化粧品製造工場の契約社員。ナガセは工場の仕事後、友人の経営するカフェを手伝い、土日はパソコン講師として働く。生きていくのにはお金がいるのだ。ナガセは友だちと会っても、つい誰かに気前よくおごっても出費した金額をコメントとともに手帳に付けずにはいられない。そのくせ「今がいちばんの働き盛り」とタトゥーを腕に彫り込みたいというへんてこな考えに取り憑かれ、そのために捻出できる金額を計算したりもする。あるとき工場の休憩室で、さるNGOが主催する世界一周のクルージングのポスターを見たナガセは、工場での年収とほぼ同額の163万の世界一周旅行に心惹かれるが…。

ナガセの母、会社を辞めてカフェを始めたヨシカ、子どもを連れてナガセの家に身を寄せるりつ子、りつ子の娘、恵奈、ナガセの工場の同僚の岡田さん、ナガセと彼女を取り巻く女たちとの関係もほんわかとしていい。第140回芥川賞受賞作。(lita)








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