長野県の市町村が30秒でふるさとの魅力をPRする「ふるさとCM大賞NAGANO」は、大賞に選ばれたCM作品を長野朝日放送が年間365本放送してくれるという企画です。
わたしが見たのは敢闘賞(年間10本放送)に選ばれた、喬木村「信じられない~人のよさ編」でした。
長野朝日放送のWEB検索で動画もあります。30秒ですので、ぜひ視聴なさってみてください。

問題とするのは、「喬木村に嫁いで3年」というフレーズです。
申し入れをしましたので、それをお読みください。

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長野朝日放送 御中
「21回ふるさとCM大賞NAGANO」統括責任者 様
「21回ふるさとCM大賞NAGANO」審査員長:玉村豊男様 
審査員: 小澤吉則様  乙葉様  金井伸樹様  上條典夫様  やくみつる様  山口真由様 
市瀬直史 喬木村 村長様
チームくりんネット様

                    2022年2月25日

申し入れ

                               もうイエ制度はないんでない会
                                  川端眞由美
 「abn長野朝日放送開局30周年記念第21回abn・八十二ふるさとCM大賞NAGANO」2021年度敢闘賞受賞作品・喬木村「信じられない~人のよさ編」は、男女平等社会に逆行する 不適切な作品です。
このCM作品を評価し、敢闘賞を贈った abn長野朝日放送と八十二銀行ならびに審査員各位に対し、ジェンダー平等の観点から 問題を指摘し、適切な対応を求めます。



受賞作品は 「I Love 💛Takagi」(タイトル)→女性がいちごを食べ「喬木村に嫁いで3年」(セリフとテロップ)→村の人が「夏いちご/喬木産」→「くりん豚/喬木産」→「採れたて/喬木産」→「りんご/喬木産」と次々女性に渡す→農産品を並べる→「あ、雨」(セリフ)→女性に「阿島傘/喬木産」が差し掛けられる→「信じられない、人の好さ、I Love 💛Takagi」(セリフ)→「I Love 💛Takagi」(タイトル) という流れです。

「嫁ぐ」は旧民法【1898(M31)7.16~1947(S22)5.2】時代に女が結婚することを意味する表現でした。
旧民法・イエ制度(男尊女卑ファミリーシステム)は75年前に廃止されました。

私が住んでいる東御市を含め、長野県の自治体・集落には今日も古い意識がそのまま残っています。
地域の男性と結婚して移住した女性は、まず「オメハドコノヨメダイ」と聞かれます。
ハァー?と呆れながら此処ではこう言うのだと「〇〇のヨメです」と答えると、次第に自ら「○○村にトツイデ3年〜」と言えるようになります。
そして30年後、彼女は息子の妻を「ウチノヨメの〇子でーす」と地域に紹介するのです。
これがジェンダー平等とは程遠い、長野県の自治体の集落の実態です。

1999年施行の男女共同参画社会基本法が、社会における制度や慣行をできる限り中立なものとし、従来の性別による固定的な役割分担等を反映しないよう 求めていることは 周知のとおりです。
法律施行後、女教師、女医、看護婦、保母といった女性差別に依拠した呼称の使用はなくなりました。
「喬木村に嫁いで」を公共メディアのCMで放映することはジョークとしても許されません。

喬木村は再度男女共同参画社会基本法等を学んだ上で、ジェンダー平等コミュニティーを目指して頂きたいと思います。
たとえ親しみを込めた 村の 悪気のない歓迎の表現だとしても
【ALTの先生に「喬木村に嫁いで3年」と言わせるCM】は、ジェンダー平等ではない!ことを理解して頂きたいと思います。
ALTの先生が男だったら「喬木村に婿入りして3年」と言わせましたか?ということです。

1980年代後半、長野県では「深刻な農村の嫁不足、アジアから花嫁を」という女性を差別する国際結婚が進められ、 自治体も斡旋を行いました。わたしは当時「アジアの花ヨメを考える会・ながの」を主宰しておりました。
外国人女性が片言で(意味を理解せずに)「喬木村に嫁いで3年」と言わされるCMに当時のことが甦りました。
「村にトツグ」は互いを認め合う異文化交流ではなく、ヨメ同様に一方的な溶け込みを求められる関係です。

*「アジアの花ヨメを考える会・ながの」でWEB検索して頂くと、わたしが2020.02.11 にWAN(women’s action network 上野千鶴子主宰)のマイ・アクションに投稿した 「NHKチコちゃんに叱られる!~を叱りました。NHKに抗議の投稿を行いました。」が閲覧できます。ぜひご参照ください。(別紙でも記述)

*昨年、長野朝日放送の【ネイチャー&ヒューマンスペシャル シリーズ10『雪猿』~生命の森・志賀高原 秘湯を守る】に対し、今回同様の申し入れをしました。
(〜長野朝日放送プロデューサーより回答〜再申し入れ)

「30年前、奈良県から秘境の宿に嫁いできました」の説明は時代錯誤で誤り だと指摘をしましたが、問題とした箇所は、 現在も 『雪猿』~生命の森・志賀高原 秘湯を守る女~をWEB検索して頂くと、確認出来ます。
別紙(p.3〜p.7)に 「長野朝日放送への申し入れ〜回答〜再申し入れ」を添付いたします。

NHKや長野朝日放送などマスメディアには(東京など都会ではヨメ、トツグといった古い概念は存在しないけれど) 日本の地方や田舎にはイエ制度(概念)はまだ存在している、本人がトツイダと発言したからそのまま表現したなど、 地方(田舎)における女性差別を容認する傾向があります。
今回の審査員の皆さんも、こうした中央(都会)目線によって、長野県農村部に存在する女性差別を容認されたのではないかと思います。



・21回ふるさとCM大賞NAGANO統括責任者には、長野朝日放送としての回答を求めます。
・信州大学特任教授・法学博士山口真由氏には 家族法の専門家としての回答を求めます。
・長野県産業労働部営業局長金井伸樹氏には長野県としての回答を求めます。
・喬木村村長市瀬直史氏には 喬木村としての男女共同参画の回答を求めます。
・そのほかの皆さまにも、誠意ある回答を求めます。

【別紙:参考資料】
  abn長野朝日放送 ネイチャー&ヒューマンスペシャル シリーズ10『雪猿』~生命の森・志賀高原 秘湯を守る
ネイチャー&ヒューマンスペシャル シリーズ10『雪猿』~生命の森・志賀高原 秘湯を守る女将~ 
【再放送】2021年4月3日(土)あさ9時30分  ネイチャー&ヒューマンスペシャル シリーズ第10弾 逆境を乗り越え秘湯を守る女将と大自然を生きる雪猿たちの一年

 温泉に入る野生のサル「スノーモンキー」を目当てに毎年多くの観光客が訪れる長野県山ノ内町地獄谷。険しく切り立った崖に囲まれた標高850mの秘境。そこにひっそりと佇む一軒の温泉宿が「地獄谷温泉後楽館」です。
1864年創業。7代目女将・竹節三枝(たけふしみえ)さん(55)は近所の子どもに接するように毎日サルたちに話しかけ、心を寄せています。
 三枝さんは30年前、奈良県から秘境の宿に嫁いできました。社長令嬢として育った三枝さん。大恋愛の末、家族の反対を押し切っての結婚でした。
そんな「お嬢様」として育ってきた三枝さんにとって、人里離れた地獄谷での生活は想像以上に厳しく、慣れない環境での日々を「まさに地獄だった」と語ります。
 しかし、今では大工仕事に、雪下ろし、バギーの運転と、あらゆる山仕事をこなします。そして、宿には多くの外国人客が訪れますが、三枝さんは海外留学で培った英会話でもてなします。
まさに宿は三枝さんを中心にまわっています。
 そんな中、2020年春、小さな宿にも新型コロナウイルスの影響で苦難が襲い掛かります。宿の客はゼロに。休業を余儀なくされ無収入の日々が続きました。
待ち受ける苦難の連続。しかし、三枝さんは江戸時代から続く秘湯を守ろうと新たな挑戦に乗り出します。
 志賀高原には地獄谷を流れる横湯川の源があります。数多くの野生動物が生息し、あらゆる生命が力強いエネルギーを放ちます。
 火山活動によって形成された森は1980年、「自然と人間社会の共生」を実践するモデル地域として文部科学省の「ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)」に認定されました。
 厳しい自然の中でたくましく生きるサルの1年。逆境を乗り越えるため立ち上がった宿の女将さんと家族の1年。
悠久の大自然で共存する人と生き物の四季を美しい映像とともに見つめました。

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(2021年4月 まとめ) 長野朝日放送 申し入れ / 回答 / 再申し入れ

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長野朝日放送 御中                           2021年4月3日

ネイチャー&ヒューマンスペシャル シリーズ10『雪猿』~生命の森・志賀高原 秘湯を守る (2021.2.11放映/2021.4.3再放送)
番組ディレクター○○○○ 様  

            申し入れ

                        もうイエ制度はないんでない会  代表 川端眞由美 

 貴番組では、温泉旅館の女将を「嫁いで」と表現しています。
「嫁いで」は、旧民法【1898(M31)7.16~1947(S22)5.2】時代の、「イエ制度」(男尊女卑を基本とするファミリーシステム)時代の (女性差別表現として、今は使用しない)概念です。
 貴番組を今後WEB上その他、記録として保存し、または再放送する場合は、この温泉旅館の女将を「嫁いで」と表現した部分を 訂正(修正)するなどの措置を取ることを求めます。

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貴番組は長野県山ノ内町地獄谷の「スノーモンキー」や、「地獄谷温泉後楽館」の経営者家族の暮らしを見つめた 貴重な映像ドキュメンタリー番組だと理解しました。
しかし番組ディレクターの○○○○さんをはじめ番組制作に携わったスタッフの皆さんは、 誰一人、「地獄谷に嫁いで」というフレーズを55歳の女性に使用することに、疑問を抱かなかったようです。

〇〇さんは「世界経済フォーラムが31日に発表したジェンダー平等ランキングで日本は…120位」(朝日新聞:20210331)、 オリンピック~森会長発言、選択的夫婦別姓~国会議員の抵抗勢力…等をご存知と思います。
なぜ日本のジェンダー平等ランキングが低いままなのか。〇〇ディレクターをはじめ、 メディアに携わるみなさま自身の問題と受け止めて頂きたく、以下ご説明いたします。

「トツグ(嫁ぐ)」は、かつての旧民法【1898(M31)7.16~1947(S22)5.2】時代の、「イエ制度」(男尊女卑を基本とするファミリーシステム)の中で、 女が結婚することを言い現わす表現・フレーズでした。
〇〇家というイエ(という概念)や、その戸主から見た場合に「息子の妻」を指す呼称がヨメ(嫁)でした。
息子が結婚する(娶る、ヨメを取る、ヨメヲモラウ)までは、息子の父親(戸主)の妻はずっとヨメと呼ばれ、 息子が結婚すると、シュートメ(姑)と呼称が変わりました。
シュートメ(姑)も、シュート(舅)も、かつての(73年11カ月前までの)、古い(今はとっくに無くなった)、 (男尊女卑に基づいて作られていた、日本の国の、ファミリーシステムに基づく)呼称でした。
従って現行憲法下では、公的な文書等には記載されていませんし、使用しません。(新聞報道などでも)

「イエ制度」(旧民法)時代、女が結婚することを「ヨメニイク(嫁に行く)」とも言いました。
男(夫)の側から言うと「ヨメを取る」というフレーズですが、男尊女卑(女は参政権も、戸主になる権利もなかった)を基本とする 社会の仕組み(家父長制)では、男の側(イエ、戸主、夫)は「ヨメヲモラウ」というフレーズで言いました。
つまり女は犬・猫・モノ扱いされたのです。…(牛馬のように働くことを求められた)(このあたりは、貴番組でも先々代の女将の解説に多少込められていたと思います)

わたしはかつて(1990年前後)「アジアの花ヨメを考える会・ながの」を主宰していました。
…『深刻な農村のヨメ不足』!という行政の露骨な女性差別!が横行し、フィリピンやスリランカの女性が、わたしたち日本の女の身代わりにされました。
…当時の記録は信毎等で確認出来ます。
以来、メディア(新聞、テレビ番組等)や、自治体(広報や取り組み)に対し、女性差別表現等に対する申し入れ(謝罪、訂正等を求める)を行ってきました。

 最近は、中央メディア(新聞の全国紙、テレビ局の全国ニュース等)ではこうした女性差別表現は少なくなりましたが、 地方においては今回同様、老舗旅館(蕎麦屋、菓子屋…)等の後継者と結婚し、夫と共に家業を切り盛りする女性を 「〇〇にトツイデ」と扱う傾向は中々無くなりません。
わたしには「都会では(トツグとか、ヨメさんとか…は)使わないけれど、田舎では女はみんなまだ「ヨメ」呼ばわりされている実態があるし、 田舎で旅館をやることはトツイダってことでしょう」…という、メディアの「田舎(地方)差別」的体質があるように感じます。
以上、わたしの指摘を受け止めて頂き、番組制作スタッフのみなさまで議論して頂けたらと思います。

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From:○○○○   Subject: 長野朝日放送からの返信です
川端眞由美 様

いつも長野朝日放送の番組をご覧いただきありがとうございます
また、今回弊社番組に貴重なご意見を頂戴し御礼申し上げます
この番組は川端様がご理解いただいた通り、「スノーモンキー」の貴重な生態や志賀高原の美しい自然、 そして150年余という長い歴史を持つ一軒宿「地獄谷温泉後楽館」を営むご家族の一年を追ったドキュメンタリー番組です
番組内に登場した三代の女将さんが、宿を大切に守ろうとそれぞれ取り組んできたことを宿の歴史と共に振り返ることは番組の大切な要素となっています
先代と先々代の女将さんが後楽館に生まれ育った方であった一方、現在七代目の女将さんは歴史ある宿を営む竹節家に嫁として入ったことは、 ご本人もインタビューで答えている通りで30年前の当時の社会や家族の状況を表現するのに ご本人が使っている表現をそのまま引用して使わせていただきました
差別的表現や家父長制度を助長するための表現ではなく、過去の状況を表現する意図で用いたことをご理解頂ければ幸いです
昨今、ジェンダー意識の高まりや社会のしくみの変化もある中、このような貴重なご意見を頂戴したことを番組制作者として重く受け止め、 スタッフとも共有し、よりよい番組作りに努めたいと存じます
今後とも長野朝日放送をご覧いただければ教悦に存じます
番組プロデューサー  〇〇〇〇

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20210414
『雪猿』~生命の森・志賀高原 秘湯を守る 申し入れ
長野朝日放送 〇〇〇〇 さま
                                もうイエ制度はないんでない会 川端眞由美

申し入れに対する回答を受け取りました。
  番組はCOVID19による観光客激減の中で奮闘する長野県山ノ内町・地獄谷温泉の女将(55)の姿を 志賀高原の自然やスノーモンキーの映像等を交えて取材した、ドキュメンタリー番組だと思います。 ここで生まれ育った先代、先々代に対し、現在の7代目女将(55)は子ども時代からの常連客で、 宿の息子と大恋愛の末に結婚し、女将になった女性とのことです。
整理すると、
・番組の制作は2020年です。
・現在の女将(55)が大恋愛で結婚したのは1992年です。
・先代女将(79歳)の結婚は、憲法24条に基づいて妻の姓(竹節)を選択しました。
・先々代女将(先代の母)の結婚は、旧民法(イエ制度)による婿取り婚でした。

番組や番組HP、〇〇〇〇プロデューサーの回答の7代目女将に対する「竹節家に嫁として入った」という捉え方(認識)は、 憲法や民法、男女共同参画社会基本法やジェンダー平等に照らして誤っており、 「竹節家に嫁として入った」という表現、表記はテレビ番組というマスメディアの表現として不適切だと思います。
また〇〇〇〇プロデューサーの「30年前の当時の社会や家族の状況を表現するのに 本人が使っている表現をそのまま引用して使わせていただきました」 との回答は問題があると考えます
あらためて、指摘させて頂くとともに、訂正を求めます。

                  *   *   *

以下は2020年2月にNHKの番組「チコちゃんに叱られる」制作責任者宛に送った、「岡村の嫁探しコーナー」(新企画)に対する、申し入れです。

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番組はお笑い芸人岡村隆史さんが「笑われ、バカにされる」ことで成り立ち、人気があるのだと思いますが、 キヨエちゃんが毎週「岡村のバカ―」と叫ぶのは、やめましょう。「岡村、お利口〜!」で良いと思います。
「岡村の嫁探しコーナー」は各地の産業を紹介する新企画ですが、笑いを取るために「嫁」を使うのですか?
「ヨメ」「ウチノヨメ」と頻繁に使うお笑い芸人の「ヨメ」とは、(妻とは平等な関係でヨメとは呼ばないけれど、笑いを取る仕事上の) 「フィクション」であって、もしそうでないなら男尊女卑、女性差別の芸人です。
「お笑い」が成り立つには、視聴者が「アハハ、ヨメなんていう、女は引っ込んでろ時代のキャラクターなんてどこにもいないのに 、それを探す岡村はバカだね〜」という共通認識が必要です。
でもこの国の少なくとも地方の農村では無理です。
息子の妻は今も「嫁」呼ばわりされ、「嫁扱い」されています。なので「嫁」はやめましょう。 

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〇〇〇〇プロデューサーが実感なさったように!地方の農村では、今も息子の妻は「ヨメ」呼ばわりされ、ヨメ扱いされている実態があります。
だからこそ!マスメディアは、そのような…イエ制度は無いのに、今もヨメと呼ばれ、扱われている地方の実態(がそこにあるとしても!)を目の当たりにした時、 …そちら側(憲法で男女平等が保障されていることも、男尊女卑の土台だったイエ制度が廃止されたことも学んでいないか、無視して、 誤った昔の価値観のまま暮らす田舎の人々の側!)に立っては欲しくない!!のです。

先のNHKの番組は、…わたしの指摘後に、新企画「岡村の嫁探しコーナー」を中止しました。
キョエちゃんは「バカー」と叫ぶのをやめました。(子どもにも人気の番組です)
番組では昨年「ヨメ、奥さん、家内…正しいのは妻だけ~!(他は上下関係のある呼称)と、妻の呼び名の特集をしました。
年末に結婚を報告した岡村さんは、番組では「僕の妻が…」と照れながら正しく言っています。(芸人的にはヨメと呼びたい?)
 
貴番組の「現在七代目の女将さんは歴史ある宿を営む竹節家に嫁として入った」と表現なさった箇所は、 普通に「現在七代目の女将さんは歴史ある宿を営む竹節〇〇さんと結婚して」…で良いのです。
そうすることが、マスメディアの立ち位置を保つということです。

〇〇〇〇プロデューサーの「差別的表現や家父長制度を助長するための表現ではなく、過去の状況を表現する意図で」 …、「ご本人もインタビューで答えている」…の説明は、受け入れられません。
「本人(当事者)が使っている」から使った(良い)というのは、差別されている側の人間の痛みをご存知ない…としか思えません。
軽度の知的障がいがある方が「わたしはバカだから」…と言うことはよくあります。
それは、その方がいつもそう言われているから出てきた言葉ではないでしょうか。
「私がここにヨメにきて…」も同じです。現在の女将は、結婚以来、ずーっと「オメハドコノヨメダイ」「ドッカラキタヨメダイ」 …と周囲から言われて暮らしてきたのです。
わたしは長野県の東御市祢津(ねつ…真田一族の…禰津氏ゆかりの古い村)に暮らしています。
…今でも、他所から女が新しく(結婚で、時には仕事で)移住すると、必ず「オメハドコノヨメダイ」「ドッカラキタヨメダイ」…と云われます。
みんな心の中では「フン、ここに住む前は、そんなことは言われたことはないのに」と思います。
でもみんな笑って「ハーイ、今度○○(夫の父親の名前)のヨメになった▽▽子でーす」と合わせます。ここで暮らすためです。
それで10年もたてば平気になり、30年もたてば今度は結婚した息子の妻を「ウチノヨメの〇子ちゃんはサー」と言うようになります。
わたしは絶対に、誰からもヨメと呼ばれない!生き方をしています。ずーっと別姓(事実婚)です。(笑) 
周囲には、法律婚はしてもずっと別姓を名乗っている知人もいますよ。…7代目の女将はわたしたちより後の(若い)世代です。

マスメディアが地方(農村・田舎)や家族経営体(老舗旅館など)には、まるで今もイエ制度(男尊女卑)が残っているかのような 表現をすることは、間違いであると同時に、この国の課題をより広げます。
選択的夫婦別姓に対する保守陣営の根拠のない抵抗は、貴番組の視点と重なります。
そんな社会(の在り方)に嫌気がさし、先に田舎を出て行ったのが娘たちです。
地方は若者世代の男女比が異なります。結果、息子たちは結婚相手に恵まれず、最近は男女とも非婚率が高いことはご存知の通りです。
こうした日本社会の状況を変えるにはジェンダーの視点から社会の全てを見ることでは …と書いたのは前田健太郎氏です(『女性のいない民主主義』2019岩波新書)。
以上、再度ご指摘させて頂きました。

番組スタッフのみなさまで十分ご議論、ご検証頂くことを求めます。
再放送、記録、HPの記載等の訂正を求めます。記録、HPの記載等の訂正を求めます。