2011.09.02 Fri
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 『不惑のフェミニズム』は、ここ40年の上野千鶴子さんのリアルタイム発言集。
上野さんが何に怒り、どう闘ってきたのか、この本で「戦歴」がざっと見渡せる。 「昔の発言をいま読んで面白い?」と、思われるだろうか。
心配ご無用、それがメチャメチャ面白いのだ。地域や国を超え女たちが賑やかにつながる80年代、行政も無視できず法整備がされてきた90年代、セクハラだのジェンダーバッシングだの“オヤジ”たちの攻撃に徹底抗戦した2000年代……。時代は動く、動かせる。何て愉快に、多彩な「戦術」を繰り広げてきたのか。
思うにこの本は、「客観的」になど読めはしない。上野さんと同時代を生きた人は、それぞれの置かれた場でのあれこれに思いを馳せるだろうし、男女雇用機会均等法が施行され、バブル最末期に就職を果たした私なぞは、与えられたものを自明とし、「いまさら男も女もないじゃん」とほざいていたことに恥じ入るばかり。
もっと若い世代だと、この重たい現実社会だって何か変えていける、苦しいのは自分のせいじゃない、と力を得るかもしれない。 「わたしはこうやって走った。あなたにバトンを受け取ってもらいたい」――上野さんはこう書く。私もこのバトンを受け取りたいし、多くの方がバトンを受け取ってくれたら、と思う。出版社の宣伝?
いえいえ、その方がより生きやすい社会が開けそうだから。 そして上野さん自身は、フェミニズムの知命(50年)だか、耳順(60年)だかに向かって、まだまだ走り続けるのだろう。 (岩波書店編集 大山美佐子)
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