2023年5月31日午後1時15分、東京高裁で東京医科大学に対する損害賠償請求訴訟の控訴審判決が言い渡されましたので、取り急ぎご報告です!

得点調整自体を性差別として不法行為認定
 以前のエッセイ https://wan.or.jp/article/show/10475などでもお伝えしたように、弁護団は、性別という属性に基づく得点調整自体が違法だと主張していました。

これについて、一審は「本件属性調整を行っていることを公表することなく、原告らに本件大学の医学部医学科の一般入試及びセンター利用入試を受験させた被告の行為は、少なくとも本件大学の医学部医学科の一般入試及びセンター利用入試を受験した原告らが自らの意思によって受験校を選択する自由を侵害するものとして、原告らに対する不法行為に該当するものと認めるのが相当である」として、「属性調整を公表せずに受験させたこと」が受験生の「選択の自由」を侵害した、との認定にとどまりました。
あくまで「属性調整を公表せずに受験させたこと」が不法行為であって、不法行為がなかったら、すなわち、属性調整を知っていれば、原告らはそもそも受験しなかったのであるから、受験によってではなく、得点調整により不合格となったことにより生じた予備校費用等をはじめとする損害は、不法行為と因果関係がない、したがって認められないとしたのです。

今回、東京高裁は、この点について「本件属性調整を行っていることを公表することなく学生を募集した上、本件属性調整を実施した被控訴人の行為」が「受験校を選択する自由を侵害するものとして、控訴人らに対する不法行為に該当するとともに、本件不法行為がなければ合格と判定されていたにもかかわらず、本件属性調整の結果、不合格と判定された者との関係では、性別による不合理な差別的取扱いとして不法行為にあたる」と判示し、得点調整自体が性差別であり、不法行為なのだと明確に認めました。

予備校費用を損害として認める
このように、属性調整により不合格となった受験生との関係では「受験させた」行為だけでなく「属性調整をした」こと自体が不法行為とされたことで、一審では不法行為との因果関係がないとされた予備校費用についても、因果関係ある損害として認められるところとなりました。他方、不合格により浪人のため医師になるのが遅れる逸失利益や他の大学に進学したことで生じた授業料差額等は、属性調整と直接的な因果関係のある損害とは認められず、いわゆる不合格慰謝料のなかで考慮するとされました。

不合格慰謝料が倍増
そして、東京高裁は、一審が一律に150万円(平成28年以前の受験生については、不利益な取扱いを受けなければ合格していたとは言い切れないとして100万円)とした不合格慰謝料を、200万円から300万円と倍増させました。この背景には、やはり、受験させた行為のみならず、性別による差別的取扱い自体が不法行為である、との高裁の判断があると思われます。

受験慰謝料は変わらず
他方、いわゆる受験慰謝料については、20万円が維持されてしまいました。今回の控訴にあたっては、受験慰謝料があまりに低廉であったことが大きな問題であると考えておりましたので、この点は大変残念です。
弁護団声明
でも指摘したように、受験生たちが知らずに受験させられたのは、単なるイカサマ入試ではなく「性差別」入試であり、単に受験校選択の自由を侵害されただけでなく、その人格的利益もまた侵害されたというべきです。そう考えれば、20万円という受験慰謝料は低廉に過ぎると感じます。

このように、東京高裁の判決は、得点調整自体を性別による差別的取扱い自体が不法行為であるとの判断した点や不合格慰謝料を倍増させた点において評価すべきであると考えますが、残念な点もあり、今後最高裁判所に判断を仰ぐか否かは、控訴人の皆さんとご相談して判断することになります。

また、聖マリアンナ医科大学に対する訴訟も係属中ですので、今後も引き続きご支援のほど、お願いいたします。

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