前著『しがらみを捨ててこれからを楽しむ 人生のやめどき』から約3年。増補版『最期はひとり 80歳からの人生のやめどき』が新書として発行された。

前著は2020年、コロナ禍初期、
樋口恵子さん88歳、上野千鶴子さん72歳。
16歳の年の差でこの時代に生まれたおふたりの親、家族、介護、クラス会、社会活動、お墓、仕事、旅、趣味、自立、自分、終活など、さまざまな場面を振り返り、エピソードをとり混ぜながらそれぞれの「やめどき」が語られていた。

おふたりが経験している老いの現在進行形。それから3年の月日を経て、日常や心境には、どのような変化が訪れたのだろうか。

それから3年・・・とは書いたが激動の3年間だった。

世界中の人々がコロナ禍を生き、この経験からICT化が一気に加速した。91歳の樋口さんが「中高年の女性を対象にしたICT化で気をつけておくことは何かあるでしょうか。」と上野さんに尋ねる。
情報弱者にならないようスマホだけでなくPCで多くの情報量にアクセスできるようにと上野さん。「ICT技術はこれから進化して、ユーザーフレンドリーになりますから、皆さまがた、どうぞ勉強してください」(p.207)と。

そしてコロナ禍はケアを見える化した功績もある。

人はおぎゃあと生まれたときからすぐ誰かのケアを受けなくては生きられない。
「ケアを社会の中枢に位置づけて、それをどう分かちあい、になっていくか。前回の上野樋口対談以降、私が考えている一番大きなことは、ワーク・ライフ・ケア・バランス社会、そのことです。」(p.217)と樋口さんは語る。
ケアを社会の中枢に位置づけるシステムが根付いた未来。目を閉じ想像するだけでこんなに心が躍るのはなぜだろう。魂が歓喜している。

だれでもいつでも弱者になれる安心できる社会にシフトする。

ケアを人が生きていく社会の中枢に据え、有用な情報がだれにでもどこにいても手に入る社会の構築に向けて、これまでになかった現実を創りだす。
知ることから始められる。一役を担う。

■堀 紀美子■