東日本大震災をきっかけに、既存の価値観に疑問を抱き、自分の無力さも自覚した著者。子どもができたことでその思いは深まります。環境問題、コスパ・タイパ重視で進む社会、経済不況。こんなに困難な時代を娘が生き抜くために自分にできることは何なのか――。

考えた末にたどり着いたのは、「小屋を作る」ことでした。

「買う」ではなく「作る」という新たな選択肢を手に入れたら、自分たちの生き方にも変化が生まれるかもしれない、今までとは違う景色が見えてくるかもしれない、そう考えたのです。

元々とても不器用でものづくりも嫌いな著者が、初めてインパクトドライバーを手にし、娘の机を手作りすることから始めます。
そして実家のDIYリノベ―ションを経て、ついに山梨の丘に土地を見つけて、小屋作りに向かいます。

本当に小さな小屋を作るだけなのに、想像を超える出来事の連続。
社会のルールから、いい意味で「逸脱」した、かけがえのない仲間たちとの出会い。笑い、泣き、喜び、苦しみ、助け合い、一つ一つ壁を乗り越えて行く中で、思索は「お金で買えるものの価値」や「効率主義」、そして「自由とはなにか」まで広がっていき……。
著者と、夫と、幼い娘の三人にとって、人生で一度きりの “不確かな未来を生きるための旅”を記した、読む者の心と価値観を揺さぶるドキュメントです。


【目次】
第1章 それはずっと一緒にいられない娘のために
第2章 世界でたったひとつの机が生まれた
第3章 ハイジの小屋と新しい風景
第4章 実家リノベーションは修練の場
第5章 未来予想図 ここに決めた!
第6章 人力で土地をならすと古墳が生まれた
第7章 西部開拓史が生んだ工法で進め
第8章 こどもの日は自家製コンクリートを作ろう
第9章 壁は一夜にしてならず
第10章 平面から立体に――闇を切り裂く叫び声
第11章 なんのための小屋なんだ
第12章 タコを捕まえる女と裸足の男、そして体力の限界
第13章 全ては窓辺の景色のために
第14章 ときには雨もいいものだ
第15章 終わらない台風との戦い
第16章 快適なトイレへの道
第17章 トイレなんか、青いバケツで十分だ
第18章 最初で最後の全員集合!――いつかまた小屋で会おう
第19章 さよならだけが人生なのか
第20章 壁を塗りながら本当の自由について考えた
第21章 パリへのオマージュを魚の骨柄にたくして
第22章 みんなの思い出、井戸掘りサマー
第23章 BON V OYAGE!
謝辞 あとがきにかえて


◆書誌データ
書名 :自由の丘に、小屋をつくる
著者 :川内有緒
頁数 :352頁
刊行日:2023/10/18
出版社:新潮社
定価 :2420円(税込)

自由の丘に、小屋をつくる

著者:川内 有緒

新潮社( 2023/10/18 )