2012.03.27 Tue
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「雇用融解」が言われて久しいものの、そこでいう「雇用」とは、
果たしてこれまで男女問わず普遍的なものだったのか?
若者の労働や貧困の問題が指摘されるなかで、ジェンダー視点からこのような疑問が呈されてきました。
この度完結したシリーズ『労働再審』は、そうした視点を踏まえ、従来の労働のあり方そのものと、それに基づく社会制度を根底から問い直す研究叢書です。
社会学・社会政策・法学などの気鋭の研究者に加え、弁護士やジャーナリストも寄稿しています。
1巻『転換期の労働と〈能力〉』、2巻『越境する労働と〈移民〉』に続き昨年刊行された
3巻『女性と労働』(藤原千沙・山田和代編)では、現今の貧困問題が根源的には女性労働の問題であるとの視点に立ち、
正規・非正規雇用から農業やセックスワークまで多様な女性の働き方に焦点をあてつつ、それらの垣根を超えた女性労働の連帯の可能性を模索しました。
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5巻『ケア・協働・アンペイドワーク』(仁平典宏・山下順子編)は、
介護などのケア労働やNPO・ボランティアにおける労働にも視野を広げ、
労働という概念そのものの動揺を描きます。
ケアの社会化が進む一方での、感情労働やコミュニケーション労働の全面化・擬似自営化といった傾向を
「不払い労働の賃労働化」と「賃労働の不払い化」の同時進行として把握する野心的な序章(仁平典弘)に続き、
さまざまなケアの現場における労働とそうでないものの境界を象る論考が続きます。
6章(田村哲樹)では男女間のケアの配分における「言説政治」と「日常的な政治」の2つの政治の必要が捉えられ、
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.こうしたポスト近代的な労働概念の変容を踏まえ、最終巻『労働と生存権』(山森亮編)では、
賃労働だけに依存する現在の社会保障のあり方を改め、万人に生存を保障する福祉制度の構想が主題となります。
失業給付や最低賃金、(障害/老齢)年金といった既存の制度から、
ベーシックインカムや給付付き税額控除などの新たな構想まで、
「働くこと」を特権化せず、ジェンダー的に公正な社会のあり方が幅広く検討されています。
もちろん、ここにご紹介していない巻にも女性やジェンダーの視点は伴っています。
各巻の関心領域が分立するのではなく、相互に乗り入れ反照しあうようなシリーズ構成をめざしました。
ぜひ、ご関心のある巻から手にとっていただければ幸いです。
(編集者 岩下 結)
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