2023年7月、私は3年半ぶりに日本に一時帰国した。マニラで乳がん手術を受けてから1年7か月後、待望の帰国だった。がんの診断を受け、パンデミックの最中にマニラで手術を受けた頃はもう日本に帰れないかもしれない、という最悪の事態も考えていたので、元気になって日本に来れたことは本当に嬉しかった。

3年半ぶりに訪ねたふるさとの富山県氷見市

富山県高岡市「高岡大仏」


日本では久しぶりに家族や友人、お世話になった方々に会った。手術をマニラで受ける時に相談に乗ってくれた、医師をしている親友にも会った。彼女は私を見て、驚いて言った。
「その手術をしたら、普通は回復に5年位かかる。手術から1年半ちょっとしか経ってないのに、前会った時よりも元気に見える。奇跡だね。」

エネルギーヒーリングの師Master Del Peの理論を学び、その教えを実践して約1年半。心身とも元気な状態が私の日常になっていたので、それが一般的な医学の常識では「奇跡」だということに、彼女の言葉で改めて気づかされた。進行の早い、骨に転移した乳がんと診断された私に再発が見られないだけでなく、がんになる以前より元気に見えるというのは医学的な常識では考えられないことだろう。

Master Del Peのリトリートでのクラスメート集合写真

だが、Master Del Peのヒーリング手法を実践する組織では、私のような「奇跡」的な治癒の例は多く見られる。Master Del Peのもとで共に学ぶクラスメートにも「死の一歩手前」の経験者は珍しくなく、現在の活力あふれる姿と過去の体験談のギャップに驚かされる。 通常の医学が治そうとするのは物理的な身体だけだが、エネルギーヒーリングでは物理的な身体に影響を与えるエネルギー体すべて(活力レベル、感情レベル、思考レベル、スピリチュアルレベル)の治癒に焦点を当てる。そのため、通常の医学では原因不明とされたり、治しにくいとされる人も治癒の対象となる。
自分自身を振り返って「奇跡」だと思うのは、Master Del Peの理論を学び、その教えを実践して以来、がんに伴う不安や心配を感じなくなったことだ。がん経験者にとって、不安や心配はつきものだ。日本のある調査によると、がん患者の5%から10%がうつ病を経験し、10%から30%に適応障害が認められるとされる※。
Master Del Peも私の初回のセッションで「がんの治療で難しいのは身体の痛みよりも、不安や心配を取り除くことだ」と言っていた。実際、手術を受けて間もない当時の私は再発や今後の治療に関する不安や心配で頭がいっぱいだった。
今ももちろん、日常のささいなことで不安や心配になることはあるし、悩みもある。だが、頭が不安や心配で満たされた状態が続くことは、もうほとんどない。目下の一番の悩みは「このエネルギーヒーリングを日本でもっと知ってもらうにはどうしたらいいか」ということだが、それは手術直後に感じていた悩みとは全く違う。未来に目を向け、進化途上にあるから味わう悩みだと思っている。

不安や心配は未来ではなく、過去の出来事を見続けることで生じる。そこから前進するために必要なのは「意志の力」だ。Master Del Peは著著「Inner Powers」でこう書いている。

「意志の力が人を過去から引き離し、未来へと押し進める。」
Will-power pulls people out of the past and pushes them to the future.

「意志の力」を高めることは病気の治癒において、最も重要なことの一つだ。Master Del Peのエネルギーヒーリングには「意志の力」を高めるためのさまざまな手法がある。「意志の力」が未来への希望を生みだし、病や苦しみを克服するからだ。

未来への希望。それは現在の日本で見出しにくいもの、と感じる人は多いだろう。だからこそ、この日本において「意志の力」を高め、未来への希望を生みだすエネルギーヒーリングを伝える意義は大きいと思っている。それが海外でがんを経験し、エネルギーヒーリングで救われた自分のミッションなのだ、と。そのために、学ばなければならないことは山積みだが、学びたいことが多いのはとても幸せな、恵まれたことだと感じている。未来の自分がもっと賢く、強く、たくましくなり、人の役に立つ、という希望を持って生きていけるのだから。


「乳がんという旅での出会い in フィリピン」、今回が最終回になります。1年間、読んでくださってありがとうございました。私の体験・思いを書く場を提供してくださったWANの関係者の方々に深く感謝いたします。

筆者紹介:星屋智(ほしやちえ)
ブログ:Heal your energy 心と体を整えるエネルギーヒーリング・エクササイズ・瞑想
2013年から、フィリピン・マニラ在住。現地でヨガインストラクター、オンライン日本語教師として活動。
2021年 乳がんと診断され、手術、治療。治療の過程でエネルギー・ヒーリングと出会う。
2022年 World institute for incurable diseases (WIID)認定エネルギーヒーリング アソシエートスペシャリストの資格を取得。 オンラインでエネルギーヒーリングのセッションを行っている。


※出典:https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4357/
NHK クローズアップ現代2019年11月21日(木)現役世代のがん治療 “魔の不安定期間”をどう乗り越える? より