DVを受けている子どもの声はまだ十分に聴きとられていない

2018年3月に教員の仕事を退職するまで、私はおよそ30年間「暮らしを綴る」教育実践を続けてきました。この本は、その実践の中で生まれた文章を取り上げ、ジェンダーの視点で分析したものです。
その中で特に、中学生が労働とDVについて綴った文章に注目し、当時の子どもに対して成人後に行ったインタビュー調査と併せて、子どもが母や父の労働をどのように認識しているのか、また、面前DVをはじめとする暴力によって子どもがどんな影響を受けているのか、子どもはどんな声をあげているのかをまとめました。
もちろん、実践はうまくいったときばかりではありません。けれども、手元にあるたくさんの素敵な文章をこのまま眠らせることはどうしてもできない。そう考えて大学院に進み、そこで一から学び直しました。修士論文と学会誌に掲載されたいくつかの論文を中心に、読みやすい形で本にまとめました。
中学生は、綴ったり、それをクラスで発表したりすることで、声も表情も変わりエンパワーしていくことがあります。文章から読み取れる、母や父の労働への子どもの認識は、これからの教育実践に役立つかもしれません。また、DVを受けている子どもの声はまだ十分に聴きとられてはいません。私たちは耳を澄ませ、聴く必要があります。
中学生の子どもたちの声が、一人でも多くの方に届くことを願っています。

書誌データ
書名 :中学生が綴る労働とDV 語る・聴く・交流が生み出すエンパワーメント
著者 :久木田絹代
頁数 :160頁
刊行日:2024/6/10
出版社:労働教育センター
定価 :1,980円(税込)


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中学生が綴る労働とDV

著者:久木田絹代

労働教育センター( 2024/06/10 )