
去る6月1日~23日、ドーンセンター情報ライブラリーにて開催されました、特別展「竹中恵美子文庫」に行ってきました。過去にも開催されております特別展ですが、残念ながら予定が合わず、今回念願の初参加となりました。竹中恵美子先生といえば女性労働研究、フェミニスト経済学の第一人者でいらっしゃるわけですが、かつて大学の単位互換制度での竹中先生の授業の受講がきっかけでしたが、私にとって、ずっと尊敬する先生であり、ささやかながらずっと学び続けさせていただいている次第です。
※今回の写真はドーンセンター情報ライブラリーさんに掲載ご許可をいただいております。
「竹中恵美子文庫」の所蔵を拝見すると、今から20年以上前、竹中恵美子先生が龍谷大学をご退官される際、研究室のお片づけを手伝わせていただいたことを思い出します。この膨大な量の貴重なご本や資料はどうされるんだろう、と思っておりましたら、その時期先生が館長をされていたドーンセンター(大阪府立男女共同参画・青少年センター)さんにも一部所蔵され、後ほどそのほかの多くの資料とともに、蔵書コレクション「竹中恵美子文庫」が誕生したとお聞きし、おお!っとなった、ということでした。
特別展は「女性労働問題の研究者であり、ドーンセンター館長(2001~2007)を務められた竹中恵美子さんの蔵書や研究資料等を業績とともに紹介」(案内より)されているとのことですが、先生の著作をはじめ、さまざまな角度からの先生に関する資料が豊富に展示されておりました。

ご著作(写真)の一部ですが『現代の婦人問題』は、昔の時代の本、という印象があるけれど、現代に通じる問題が数多くあるなと思い読み、『竹中恵美子著作集』は、いわゆる竹中理論は難しく、わたしには理解が足りないことも多いけれど、私自身も運営を務めます「フォーラム 労働・社会政策・ジェンダー」にて北明美先生の解説とともに読書会を行い、また、著作集にも収録の『戦後女子労働史論』は当時の代表的な著作として大学ではじめて竹中理論と出会い、女性の労働や生活を取り巻く社会のしくみはこのようになっていたのか、決して女の運命なんかじゃないやん!!!と、ジェンダーという言葉は知っていたものの、よりいっそう具体的にそのメカニズムが暴かれ、知ったときの知的興奮を思い出します。
※「竹中恵美子文庫」の所蔵コレクションのうち、上記の『現代の婦人問題』『竹中恵美子著作集』など竹中先生の関連の著作はこちらで公開されております。
https://www.dawncenter.jp/libsrch/pdf/takenaka_booklist.pdf

「自分史ファイル」のコーナーでは、竹中先生がファイリングしてこられた、ご自身に関わるチラシやパンフレット、お写真などが展示されていました。竹中先生のお仕事を知るうえでのもうひとつの網羅的な貴重な資料であると思います。フェミニズムや女性労働にご関心を持たれてきた方、活動されてきた方々には当時の雰囲気を知る懐かしいものでもあるのではと感じます。
展示では、竹中理論という言葉について、竹中先生のご研究史、「高齢社会をよくする女性の会・大阪」他さまざまなご活動に携わってこられた経緯、また、館長をも務められていたドーンセンターとのこれまでのつながりが「私にとってドーンセンターは理論と現実とを結ぶ場所でした」というお言葉とともに、ほかにもこれまでの先生のお言葉のなかで現在にいたるまでずっと重要な意味を持ち続けているもの、関連映像作品である『大阪おんな自分流』『「働く女性の60年』の上映もあり、大変もりだくさんな内容でした。


また、今回の展示では、パネルを使った竹中先生の「コスプレ」で自由に撮影できるグッズを置いていただいていたことが大変面白かったです。先生が大阪市立大学を退任されるときの記念文集のタイトルも『ベレーと自転車』、いつも素敵なベレー帽をかぶっていたっしゃったことも思い出します。そして恥ずかしながら私も早速やってみました。


竹中先生は関西にて長年、「関西女の労働問題研究会」の方々とともに女性の労働に関する活動にも関わってこられました。常に運動とともに理論を紡ぎ、向き合っておられます。2010年から2011年にかけ、セミナー「竹中恵美子に学ぶ~労働・社会政策・ジェンダー~」が開催され、WANでも各回のレポートが掲載されました。私は第4回に参加、レポートさせていただきました。このことをきっかけに竹中先生および共に活動される方々とのご縁をいただき、「関西女の労働問題研究会」を受け継ぎ立ち上げられた「フォーラム 労働・社会政策・ジェンダー」の運営に現在携わっております。
セミナー「竹中恵美子に学ぶ」レポート一覧
【特集:セミナー「竹中恵美子に学ぶ」・レポート④】(テーマ「『均等法』成立と前後して行われた平等をめぐる三つの論争」)
さて、その「フォーラム 労働・社会政策・ジェンダー」ではこれまででもさまざまな例会を開催してきましたが、直近、2023年度の例会シリーズ「少子化対策とフェミニズムの"微妙”な関係」は以下に報告集として公開させていただいておりますのでよろしければご覧いただけると幸いです(過去の例会報告集の情報もございます)。
フォーラム 労働・社会政策・ジェンダー例会報告集のご案内(2023年度シリーズ「少子化対策とフェミニズムの"微妙”な関係」第3回シンポジウム)
理論と実践をつなぐことは、今後もフェミニズムの重要な課題であり続けると強く感じます。そして2024年度のテーマは 「ケア・フェミニズムの視点からの政策的課題―現金給付とサービス給付の二者択一を越えて」(仮)。ケアを尊重する社会における制度の意味とは、ケアが労働として正当な評価がなされ社会とは、などを、政策、現状に関する視点なども交え、展開していきたいと考えております。秋頃シリーズ開始予定ですが、またイベント情報などでお知らせしたいと思います。ぜひチェックいただけると幸いです。
あらためまして、ドーンセンター情報ライブラリーさん、素晴らしい企画を開催していただきありがとうございました。
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