2012.07.12 Thu
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.
外国人やハーフの人と多少は付き合いがあって、「妄想」なんかは抱いてないつもりだけど、それでも、こういう思い込み、自分にもあるかも。昔、エッセイストの桐島洋子(ハーフである自分の三人の子が全部モデルになった)が、ハーフは見かけがいい、って書いてて、そうだよなぁ、と納得した覚えがあります(苦笑)。
本書は、タイトルの通り、日独ハーフである著者が、ハーフたちが日本で生活する中で日々遭遇する、「ハーフ」についての妄想や思い込み、そして偏見を、ユーモアたっぷりに語ります。「バイリンガルで美人/カッコよくてモデルやキャスターなど華やかな職業についていて」、、、そのイメージがいかに偏ったものであるか、著者の述べるリアルな現実から、気付かされます。その語りは、興味深い比較文化論にもなっています。
「初対面で両親の馴れ初めを聞きたがる」人々(!)にも悩まされるが、ハーフにとって、親も悩みのタネでありえます。親であっても(たいていの場合)、ハーフという経験は共有しておらず、親自身が妄想から抜けきれてなかったり、子どもが受ける偏見を理解できず余計に子どもに苦労をかけたり。もちろん著者は、ハーフを育てる親の苦労にもしっかり目配りしていますが、この種のディスコミは、ゲイの子どもたちが親との間に感じる疎外感に一脈通じるかも。
とくに母親が外国人の場合、「外国の女は軽い」という偏見がハーフを傷つけます。しかもこれは日本に限らず、どこの国にも延々と続くループ、という著者の指摘は鋭い。著者にはぜひ、とくにジェンダーに焦点化した次作を期待したいです。
本書はタイトルが秀逸。イチオシにはほんとは評題をつけないといけないのだけれど、これ以上のコピーが思いつかず、ママでいかせていただきます。(eureka)