2014.02.21 Fri
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 人魚姫が男装していたとは、ビックリである。『少女たちの19世紀』の著者脇明子さんの指摘を確かめるべく、さっそく岩波文庫版の『アンデルセン童話集1』(大畑末吉訳)を開いてみる。人魚姫は王子に恋をし、人間世界にやってくるが、そこにはたしかに「王子は姫のために、男の服をこしらえさせて、馬で遠乗りのおともをさせました。ふたりは、かんばしいにおいのする森を通りました」とある。
一方、脇さんが昔に読んだ『世界少年少女文学全集』(平林広人訳)の同じ箇所は、「王子さまは、お姫さまといっしょに馬に乗れるように、くらを作りました。ふたりは、よいかおりのする森の中を乗りまわしました」と訳されていたそうだ。そして原文のデンマーク語では、人魚姫は男装している。
脇さんこの違いについてこう記している。
「これだと(平林訳)人魚姫は、女性らしい服装のままで、一頭の馬に王子と相乗りしていることになります。それに対して、『男の服をこしらえさせて』ということだと、おなじ馬ではなく、別の馬に乗って従者のようにお供をしているのでしょうから、そのちがいは見すごせません」
人魚姫が男装していたと知ると、これまでとはまったく違った活動的かつ両性具有的な「人魚姫」像が思い浮かぶ。「男装」に注目すると、『人魚姫』の哀しい終わりも別な読み方ができるかも。(lita)