2015.06.19 Fri
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.2014年の夏ごろから急に、聞きなれないピケティという名を目にすることが多くなりました。フランスの経済学者トマ・ピケティが発表した『21世紀の資本』という本が、各国でベストセラーになり日本にも登場して話題になったからです。
分厚な経済の専門書にもかかわらずどの国でもベストセラーになったというこの本、関心はあるけれどあの分厚な経済の本を読むのはちょっと—-という方に、ジャーナリストの竹信三恵子さん(WAN会員です)著の、とても良い解説書が出ました。
ピケティは、「格差」は放置すれば拡大するものだからこそ人為的に力を加えなければ平等な社会を実現するのは難しい。平等と安定を基本とする社会を作るには、格差拡大の流れに外的な力をかける仕組みが必要で、それには意識的に英知を集め、異なる立場も乗り越えて合意形成をしていくべきだという主張を展開しています。
日本では、格差拡大社会が経済に及ぼす深刻なマイナス面について十分に理解が共有されていない、格差縮小を実現するのには、政治家も財界もその意識があまりにお粗末だと著者は言います。
前半ではピケティ理論の格差の拡大がどうして起きるのかについて解説、格差是正についてピケティの考える解決策「世界的資本税」などを紹介しています。経済理論用語や数式が沢山出てくる原書とちがって、大変わかりやすい解説です。
後半には、賃金格差、男女の格差、地方と中央の格差といった日本社会の格差について考察しています。アベノミクスが打ち出す成長戦略、女性が輝く社会、地方創生などのキャッチフレーズもピケティの格差論を応用して論考を試みています。
全ての章を、大変興味深く読み共感しましたが、「経済政策は国民感情が大きく左右する」というのには驚き、気を引き締めなくちゃと思いました。(中西豊子 記)
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