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回答13:堀口貞夫先生
2015.08.17 Mon
26歳の時に脳梗塞を起こし現在30歳とのことですから、4年前ということですね。
治療を受けた病院や色々と原因を追求してくれた病院が、どこの病院か、別の病院か、別の専門医の意見を聞いたかというようなことがわからないこと、などでご返事は難しいのですが、一般論として書かせていただきます。
脳梗塞は中高年以上で多い病気ですが、原因でよく知られているのは動脈硬化ですね。
この動脈硬化を促進させ、血管に損傷を与える病気には、高血圧や脂質異常症(高脂血症)、さらに糖尿病や、心房細動などの心臓病があります。 そしてこれらの病気の原因になったり悪化の原因となるものには、喫煙、飲酒、肥満、などがあります。
しかし、若年者の脳梗塞は、動脈硬化以外のさまざまな原因で引き起こされます。その典型ともいえるのが、抗リン脂質抗体症候群や奇異性脳塞栓症、もやもや病などです。
免疫異常の一種である全身エリテマトーデス(全身倦怠感や関節炎、顔の発疹など)から発症することも多いので、なんらかの症状がみられた場合は血液検査などで原因を特定することが大切です。このようなことは多分調べておられるのだと思います。
見方を変えて、妊娠した時に問題になるのはどういうことでしょうか?
妊娠すると妊娠を維持し、胎児を育て、産み出すために人間の体には大きな変化が起こります。
現在のあなたの状態に即した点に限って言えば、「血液をサラサラにする薬(バイアスピリン)を服用」は妊娠の成立維持のためには良いことなのです。胎盤の中をお母さんの血液が順調に流れてくれれば赤ちゃんに十分な酸素と栄養を届けることができますね。
妊娠初期の流産は6〜7人妊娠すると一人は流産するというくらい多いもので、その原因の大部分は受精卵自体の異常なのです。人間を器械に例えればとても精密な器械ですよね。ですから、ちょっと作り間違えるということが起こりやすいのです。そのような作り間違えた赤ちゃんが生まれないように流産という形でリセットするのです。
しかし流産を繰り返す不育症では、その原因の一つとして考えられている「抗リン脂質抗体症候群」により胎盤に血栓ができて酸素と栄養を赤ちゃんに届ける機能が低下するのを予防するために使われるのです。
「血液サラサラ」とは血液が固まりにくいことです。このことは出産の時にはマイナスです。特に赤ちゃんが生まれた胎盤が出た後に、血液が固まりにくいと大出血の原因になります。それで、自然のメカニズムでは血液をかたまりやすくする因子が増加していて、出血が多くならないようにしているのです。バイアスピリンを飲んでいる場合には血液のかたまり易さ(凝固性)を検査して分娩時の対策を考えます。
「けんもほろろに、大きな病院でと、話も聞いてもらえなかった」というのは、妊娠中の検診でお産のときのことを考えてのより慎重にならなければならないこと、分娩の時に出血が多くなったらそれへの対応をしなければならないこと、また逆に血液が固まりやすくなるという妊娠による生理的変化が強くおこっていると脳梗塞を起こす可能性があり、それに対処できる大きな病院で、妊娠中から見てもらっている方が安心なのです。
前もって注意することはあるでしょうか?
若年性脳梗塞の原因となる抗リン脂質抗体症候群、奇異性脳塞栓症、もやもや病などには、共通した特徴(血流の悪化により、血栓の元となる血液の固まりができやすい)があることです。
そのため予防には、日頃から血流を良くして、血栓のできにくい生活を心がける必要があります。
<食生活を見直す>
牛肉や豚肉などに多い動物性脂肪を摂りすぎていませんか。中性脂肪やコレステロールが増えると、血液が固まりやすくなります。肉類の動物性タンパク質は、筋肉の減少を防ぐ重要な栄養分なので、中高年になっても肉類をしっかり摂る必要がありますが、脂肪部分はたくさん食べないように心がけることが大切です。
一方、血栓予防に効果的な食べ物(成分)もあります。その代表が、納豆のネバネバの成分ナットウキナーゼです。ナットウキナーゼには、血栓の元となるタンパク質(フィブリン)を分解する働きがあるだけでなく、血栓の分解を阻害する物質を抑える働きもあります。
また、青魚(イワシ、サバ、サンマなど)に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)には、血液中のコレステロールなどを減少させ、血液の凝固作用を抑える働きがあります。ただし、酸化しやすいので、新鮮な魚を食べることが大切です。
野菜にも、食物繊維など血栓予防効果をもつ成分が含まれていますが、とくにタマネギ、ピーマンには血流を改善する成分が多いので、野菜サラダには積極的に取り入れましょう。
<運動を取り入れる>
慢性的な運動不足状態になっていませんか。適度の運動をしないと、からだ全体の血流が悪化し、血液の固まりができやすい原因となります。
とくに足など下半身の筋肉量が減少すると、足の血液を心臓へ送り返す力が弱くなり、うっ血が血栓を作る原因になります。ウォーキング、軽めのジョギング、屈伸運動などで日頃から足を鍛えることが大切です。
ただし、いきなり激しい運動をすると、逆効果になりかねません。とくに、一過性脳虚血発作の症状や脳梗塞の既往がある場合、検査などで血栓のあることがわかっている方、また高血圧の治療を受けている方などは、循環器の専門の医師(内科でも外科でも)の指導を受けて運動を始めるようにしましょう。
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タグ:くらし・生活 / 運動 / 妊娠 / no13 / 健康相談 / 動脈硬化 / 脳梗塞 / バイアスピリン / 食生活 / 抗リン脂質抗体症候群 / 奇異性脳塞栓症 / もやもや病