WANマーケット

views

7143

シリーズ*おんなの仕事づくり②−−−「田中美穂植物店」田中美穂さん

2013.07.30 Tue


田中美穂植物店は2.5坪の小さな小さな、そして切り花のないお花やさんです。

場所は、前回にご紹介したHABUテキスタイルの京都店「八布−ripin」から徒歩3分の所にあります。

2  田中美穂さん  

オーナーの田中美穂さんは、現在34歳。お店は25才の時に始めました。前回ご紹介した植木さんがニューヨークで仕事をして世界中を駆け回っている人なら、美穂さんのお店は超スモール、超ローカル、でとってもおしゃれです。

百葉箱をイメージした手作りのお店

百葉箱をイメージした手作りのお店

店内には、鉢植えの植物と美穂さんが作るひもリースなどのオブジェ類が置かれています。

11 12 13 15

植物の選び方、置き方にも特別なこだわりがあるらしくすべてが懐かしい感じで、それでいてスタイルのあるお店です。
しかし、そういうところにありがちな「こだわり」の窮屈さを感じさせずに、たくさんの植物とオブジェがよいあんばいに並んでいます。そのおしゃれ感は若い人たちにとても人気があり、去年は雑誌「ku:nel」(2012年9月号)でも8ページの特集を組んで紹介されました。

「ku:nel」2012年9月号の表紙を飾りました。 2012.9月号

鉢植えは同じ植物でも一つずつ表情が違うのでネットで商品をお見せするのは難しいのですが、20代の女性がどうやって自分で仕事を始めたのか「仕事づくり」のモデルとしてご紹介します。

美穂さんは、高校、大学と美術系に進み、卒業後、2年間ほどオーガニックレストランで働いたあと、1年ほどして今のお店を始めました。

高校、大学時代を通してアルバイトをしていた喫茶店のマスターと出会い、女性でもしっかり仕事をすべきということを教わってきました。「何かしなければ」と思いながら、「でも、会社で働くことは向いてないだろうな、だったら、お店かな・・・」と考えていました。

植物店を選んだのは植物の仕事をしていたお父さんの影響もあります。
お父さんの仕事を手伝っていくうちに「私だったら植物をこういう風に見せたい」と思うようになり、植物の知識や仕事の仕方を知らず知らずに身につけていました。
しかし、お父さんは切り花を扱っていなかったので、当時の知識では「責任をもって切り花を商うことができない」、と美穂さんは考えます。
それで切り花は置かないことにしました。そこに長く喫茶店でアルバイトをしていた経験が重なり、当初は植物とコーヒー豆のお店としてスタートしました。
お店の建物も、喫茶店のマスターに手伝ってもらっての手作りです。

美穂さんのお店の成り立ちを聞いていると、おもしろいなと思います。
よく知らないことには責任がもてないからと今の自分ができることに絞りこんで、資金も知識も今あるものでスタートです。
小器用にあれもこれもできないのです。でも、だからこそスタイルがあるのです。

もちろん好きなことだけをやり続けることは、楽ではありません。開けっ放しの店内は冬は寒いし、夏は暑い。若い女性にはなかなか厳しい環境ですが、それでも週1回の定休日とイベントのある日のほかは雨の日も風の日もお店に出ています。

窓の外に見えるのは美穂さんの愛車のトラックです

窓の外に見えるのは美穂さんの愛車のトラックです

そんな中で頑張る若い人をみんな応援したくなるのか、隣の横井電気店で昼食や休憩をとらせせてもらい、お店には近所のおばさんたちがやってきて食べ物やおやつを置いていってくれます。子どもたちも遊びに来るし、子連れのママたちにも人気があって、みんな美穂さんに声をかけていきます。

お店の奥の定位置にちょこんと座ってひもリースを作ったり接客したり、いつ行っても変わらないお店と美穂さんは、無理なく近所に溶け込んで、若い人ばかりではなく幅広い層の人たちにとても愛されています。

7 8 9 *いろいろなヒモリース

そうして続けているうちに、最近では、若い同業者や陶芸家など他職種とのコラボを始め、作庭、ひもリースのワークショップ(写真)の依頼がきて、少しずつ活動の場が拡がってきました。
7月30日には、初めての子ども向けのワークショップ「探そう、作ろう、ハイチーズ」(http://www.stul.jp/) が長岡京市のギャラリーの企画で開かれます。

ヒモリースのワークショップ

ヒモリースのワークショップ

また、結婚式のブーケを美穂さんに作って欲しいという注文もくるようにもなり、仕事の引き出しを一つずつ増やしています。

ブーケ 5 *ブーケと髪飾り

新しいスタイルのお店でありながら、昔ながらの「お店屋さん」でありつづけている田中美穂植物店。ネットで検索をかけると、たくさんの人が写真をアップして応援しているのがわかります。

「自分もやればできそう」と思えるから若い人に人気があり、「自分もやればできたのに」と思えるから若くない人にも支持され、誰にでもできそうなのに誰もやらないから個性的で、しかも誰もが応援したくなるのだと思います。

植物は宅急便でも送ることはできますが、できるだけ実際に見ていただきたいそうです。植物は500円〜1万円くらいまで。ひもリースは2500円からです。

お店は京都の観光スポット「哲学の道」のすぐそばで、銀閣寺、法然院の間近です。京都旅行の際に、お立ち寄りください。(中塚圭子 記)

【田中美穂植物店】

住所:京都市左京区浄土寺下南田町37-4

*お店のホームページはありませんが、美穂さんのブログをご覧下さい。

http://d.hatena.ne.jp/shokubutsutokohi/

 

 

カテゴリー:ピックアップ / おんなの仕事づくり / ホーム&キッチン・ペット

タグ:くらし・生活 / 仕事 / 中塚圭子 / 贈り物 / プレゼント,贈り物 / 植物 / 田中美穂 / 田中美穂植物店