2013.09.15 Sun
「滝」は唐木専門の家具屋さんですが、広々とした店内で食事と喫茶ができるようになっています。
さすが家具屋さん、ステキなテーブルです。
場所は京都・銀閣寺道交差点の角、2012年のWAN合宿の会場と懇親会に使わせていただきました。
先ずはお店のメニューからご紹介。(昼・夜おなじ)
「おばんざいセット」(1480円)、「チキンカツセット」(1200円)、「とろろごはんセット」(1050円)「メンチカツセット」(1200円)、「煮込みハンバーグセット」(1250円)、「野菜カレー」(980円)などなど、房子さんの心づくしのお料理が趣味のよい食器に彩りよく盛られてお膳で出てきます。お味はもちろん、目にも嬉しい。お酒も各種そろっています。そしてお値段が、とってもリーズナブルでお財布にも嬉しい。サービス満点でかつ必要以上に関わらない大人の心遣いのある、申し分のないお店です。
私の定番は、「おばんざいセット」に白ワイン。小鉢や小皿がいっぱいついていて、ワインのお伴にぴったりなのです。
時々、メンチカツやチキンカツもいただきます。メンチカツは中にキャベツの刻んだのが入っているのでさっぱりしていて、大きなのが2個ついているのですがぺろりと食べられます。
チキンカツもメンチカツもたっぷりのサラダと小鉢が一緒に出てくるのが嬉しいです。
野菜カレーも、赤ワインで煮たハンバーグセットも、とろろごはんセットも、焼き魚セットも、みんな美味でお野菜もたっぷり。
それというのも、房子さんは近所のご高齢のおひとり様に楽しんでもらいたいと考えているからで、ちょっとずつ色んなものが楽しめるように小鉢をつけ、栄養的にも色んな食材がいただけるメニューになっています。
高齢でなくとも私なんぞは、三食ともここですませたいぐらいです。
休日は遅めの昼食をとって、その後、本や新聞を読みながら広い空間を満喫するのも私の楽しみです。友人との会食を別メニューでお願いすることもありますし、器を持っていってパーティのケータリングをお願いしたこともあります。その盛りつけの美しかったこと。
喫茶も、飲み物、お菓子ともにホームメイドで、充実しています。
なかでもオススメは、房子さん自身が大好きというあんドーナツ(一個130円)。
本業は家具やさんなのに食べ物のことばかりになりましたが、家具の方は、「私のオススメ」で紹介しています。ご覧下さい。http://wan.or.jp/market/?p=1707
房子さんが今のお店を始めたのは9年半まえです。今は妹さんとお二人でされていますが、それまでは街の中心で本業の家具と絵画を商う会社の社長業でした。30人ぐらいの社員を抱える社長さんですが、毎日、お茶やお花のお稽古、時はバブル前の絶好調の時代で豪遊にあけくれ、それなのに「今日は頭が痛い」と不定愁訴の多い日々であったそうです。
生き生きとよく動き、楽しそうな今の房子さんからは想像もつきません。
「やっぱり合ってなかったのよね。今は、ストレスがなくて、最高」
と房子さんはあっけらかんと言い放ち、屈託なく笑います。
合っていなかったというのは、社長業のことですが、その隣でその時も一緒に仕事をし、今もお昼は一緒に働いておられる妹の節子さんが「あんな贅沢三昧していて、よく言うわ」と呆れ、そしてケラケラと大笑いします。天に抜けるようなお二人の明るい笑い声に、思わずこちらも引き込まれてしまいます。現在、房子さん、65才。節子さん、58才。
節子さんによると、房子さんは、ともかく動くことに惜しみのない人だそうです。
植物の世話も大好きです。
「本当は今から畑仕事でもしたいくらいなの」。
「いいですねぇ、房子さんを畑に送り込んで、野菜を届けてもらいましょうよ」と私が言うと、
「いいよ、いいよ。届けるよ。ついでに料理もして帰るわ」という具合です。
片付けも大好きなので、お店の中はいつもきれいに整っています。家具屋さんですから大きな家具の移動も一人でこなし、こまめに模様替えもします。小柄な房子さんが一人で家具を動かすなんて想像できませんが、コツがあるそう。
暇があれば縫い物もしますし(お店のお座布団もお手製)、ご老人のお客さんが病気と聞けば家まで食事を運び、とにかくてきぱき動きます。が、よほど段取りがいいのでしょう、いつも涼しい顔です。
*店内を彩る季節のお花
房子さんは、30才から自分で仕事を興しました。それというのも勤めていた画商が倒産したので、仕方なく始めたそうです。懸命に働き、一時は取引先の倒産が重なって億単位の借金を抱えたときもありましたが、働いて、働いて、仕事は順風満帆に。バブルがはじけてからも家具はますます売れて、そうなると大きな商品ですから人も倉庫もいるので会社は大きくなる一方。働くことは全く苦にならないのですが、大きくなればなるほど「もし私がいなくなったら、従業員とその家族はどうなるのだろう」、と房子さんは気が気でなく、それが堪らなくストレスであったのだそうです。豪遊はその憂さ晴らしでありました。
9年前、ようやく念願かなって会社を小さく畳み、姉妹だけでできるように今のところに店舗を建てました。当初は本業の家具だけで、飲食を始めたのは実は5年前からです。広いお店の奥までなかなかお客さんが入ってこないのでどうしたものかと考えていたのですが、「この辺でお食事ができるところはありませんか?」と尋ねる人が後をたたないことから、だったら、食事を出せばいいんじゃない、というわけで始めました。
飲食業の経験はお二人とも全くありません。やると決まれば素早く、しかもきちっとやりたい房子さんは、すぐに料理学校に入り「喫茶部門」に6ヶ月間通いました。そこでコーヒーの入れ方やケーキの作り方、喫茶店の食事の出し方などを習ったのですが、喫茶部門で習う料理は業務用のレトルトを取り寄せてどう出すかということばかり。やるなら全部手作りでご高齢の人たちに楽しんでもらいたい、と考えていた房子さんには役立たなかったようですが、役所に出す手続きの仕方を習えたので、「えー、今から飲食を始めるの〜???」と驚く友人たちを尻目にさっさとスタートしました。
人を使うよりも自分の体を使って仕事をするのがよほど性に合っているらしく、房子さんは、今の仕事が楽しくて仕方がありません。遊びも必要なければ、しんどいと思ったこともなく、「まさか食べ物屋をやるとは思わなかったわ。こんなことを神様が用意してくれていたなんて、分からないものねぇ」と、笑います。
「滝」は、このシリーズの第一回でご紹介したニューヨーク「HABU」(八布)の京都店(八布−ripin)、第二回の「田中美穂植物店」からも歩いていける距離で、いずれも銀閣寺界隈にあります。
銀閣寺に行って、滝で早めのランチをとって、田中美穂植物店に寄って、八布—ripinでお買い物して法然院を回って、哲学の道をぶらぶらしながら紅葉で有名な永観堂から南禅寺へ。この秋におすすめの京都観光コースです。今からご準備ください。(中塚圭子 記)
【滝】
住所:京都市左京区浄土寺西田町64
電話:075-762-1150
営業時間:9時半〜だいたい夜8時(木曜定休)
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