2009.08.17 Mon
8月17日付で自由民主党政務調査会から回答が届きました。お願いした締切は過ぎていますが、以下にアップします。1 女性の雇用
非正規雇用の増加がにわかに注目を集めていますが、女性の非正規雇用は1970年代から増加を始め、雇用の調節弁として日本経済の構造に組み込まれてきました。近年は新卒採用時点から女性は非正規・男性は正規という新しい傾向が生まれています(20代の非正規雇用率;女性40%、男性20%)。非正規雇用の問題は男性以上に女性の問題なのです。正規雇用でも就職・昇進差別がいまだに存在し、育児や介護のためにやむなく退職する女性も少なくありません。女性の雇用に関する次のような政策について貴党はどのようにお考えですか?
(1.1) 男女雇用機会均等法の実効性を高めるため、貴党はどのような政策を実施しますか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。また、その他に政策があればお書き下さい。
1.採用・昇進等における差別の実態を調査する。
○2.違反企業名公表を徹底する。
3.法改正を行い、より強い罰則規定を設ける。
○3.啓発により、企業や使用者の意識改善を促す。
○4.その他、何かございましたらお願いします。
・均等法に基づく紛争解決援助制度を活用する。
・企業の自主的かつ積極的取組(ポジティブ・アクション)を促進するため、企業における「機会均等推進責任者」の普及を促進するとともに、企業表彰制度を活用する。
(1.2) 労働者の性別や雇用形態にかかわらない「同一価値労働同一報酬の原則」を実現するために、どのような政策を実施しますか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。また、その他に政策があればお書き下さい。
1.同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇の格差についての調査を実施する。
2.同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇に格差がある場合、罰則規定を設ける。
○3.同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇に格差をつくらないよう、企業や使用者の意識啓発と指導をおこなう。
4.最低賃金を引き上げる(目標金額 )。
5.その他、何かございましたらお願いします。
(1.3) 派遣労働や有期雇用などの非正規労働の問題を解決するため、貴党はどのような政策を実施しますか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。また、その他に政策があればお書き下さい。
1.登録型派遣制度(派遣会社に登録して仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ)は原則
禁止する。
2.派遣労働者の直接雇用の義務が生じた場合の、違反企業への罰則を強化する。
3.労働者派遣法を規制強化し、(26業種を含め)一切の派遣労働を禁止する。
4.期限のある仕事以外は、有期雇用を認めないことを原則とする。
5.派遣・有期雇用を含めたすべての非正規労働に、正規労働との「同一価値労働同一
報酬の原則」を適用するよう企業を指導する。
○6.非正規労働者の社会保険加入を促すための施策を実施する。
○7.その他、何かございましたらお願いします。
・非正規労働者の総合的な就労・生活支援を行うワンストップサービスの全国展開を目指す。
・パートや有期契約労働者の正社員転換、均衡処遇の取組の支援を行う。
・日雇派遣の原則禁止、常用化の促進など派遣労働者の待遇改善を行うための労働者派遣法の改正を行う。
・非正規労働者をはじめ、職業能力形成機会に恵まれない方への職業訓練に対する支援を充実させる。
(1.4) 妊娠・出産、産前・産後休業・育児休業の申し出や取得を理由に、解雇や雇い止めなどの扱いを受ける「産休切り」・「育休切り」が全国的に急増していますが、これを防ぐために育児・介護休業法の「不利益取扱いの禁止」をいかにして強化しますか。
○1.監督官庁による是正指導を徹底する。
2.罰則を設ける。(具体的に: )
○3.その他、何かございましたらお願いします。
・1とも関連するが、改正育児・介護休業法で新たに措置された企業名の公表制度を活用する。
(1.5)長期化する求職活動中の若者の生活を保障する制度がありません。このような状況に対して、貴党はどのような政策を実施しますか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。またその他に政策があればお書き下さい。
1.これまで一度も職に就いたことが無くても、失業保険を受給できるようにする。
○2.若い世代を対象とした、生活保障付きの職業訓練制度を設ける。
3.ベーシック・インカムを導入する。
○4.その他、何かございましたらお願いします。
・「経済危機対策」により「緊急人材育成・就職支援基金」が設置され、失業給付が受給できない方への訓練期間中の生活保障として、月10~12万円の支給を行う(訓練・生活支援給付の)制度が7月から既にスタートしており、この制度の効果的な実施に努めていく。
*上記のとおり、生活保障付きの職業訓練制度が既に設けられており、これは若い世代も対象となっているため、2にも○を付けております。
2 女性の貧困
経済危機の以前から、女性の貧困は深刻でした。なかでも、母子世帯の貧困率は約7割、高齢単身女性の貧困率も5割を超えています。女性の多くは自分自身の年金受給権のみでは生活に十分な額を受け取ることができません。そのため、未婚や離死別の女性が高齢期に貧困に陥る確率は高くなります。女性の貧困に関する次のような政策について貴党はどのようにお考えですか?
(2.1) 高齢期女性の貧困問題を解決するため、貴党はどのような方策を考えておられますか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。また、その他に政策があればお書き下さい
1.非正規労働者の社会保険加入、第3号被保険者制度の廃止など、女性の就労を促す
ための施策を実施し、女性が自分の厚生年金で生活できるようにする。
2.主婦を含めすべての人が受け取る基礎年金に、最低生活保障の機能をもたせる。
3.遺族年金と女性本人の年金の併給の上限額を引き上げる。
4.社会保険の低所得者対策(保険料免除制度など)を充実させる。
5.基礎年金の25年間の保険料納入義務を緩和する( 年間まで)。
6.高齢者に対する生活保護制度をより利用しやすいものにする。
7.医療や介護などの保険料、自己負担率を高齢期の貧困者に対しては引き下げる。
○8.その他、何かございましたらお願いします。
・3年以内に無年金・低年金対策のための具体的な措置を講じる。また、非正規で働く方への年金保障に向けた見直しを行う。
(2.2) 母子家庭に対する政策として、貴党はどのような政策を実施しますか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。また、その他に政策があればお書き下さい。
1.生活保護制度の母子加算を復活する。
2.児童扶養手当の有期化を撤廃する。
3.公営住宅の入居保障と低所得世帯への家賃補助を実現する。
4.希望する全ケースの保育所入所を実現する。
○6.母親の職業訓練中における生活保障を整備する。
○7.就学援助制度を高等学校まで延長する。
○8.父子家庭にも同様の政策を適用する。
○9.その他、何かございましたらお願いします。
・ひとり親家庭(母子家庭・父子家庭)への自立支援として、「安心こども基金」も活用した生活、就業、能力開発支援(経済的自立に効果的な資格の取得のための高度技能訓練促進費の支給額引き上げなど)の強化を行う。
・「経済危機対策」により設置された「緊急人材育成・就職支援基金」による訓練期間中の生活保障制度の効果的な実施に努めていく。
*職業訓練中の生活保障制度は母子家庭の母も対象となっているため、6にも○を付けております。
・新待機児童ゼロ作戦等による保育サービスの集中整備や保育ママの拡充などにより、希望するすべての人が安心して働きながら子育てができる環境の整備を進める。
・3~5歳児に対する幼稚園・保育所等を通じた幼児教育費の負担を段階的に軽減し、3年目から無償化するとともに、高校や大学についても、就学援助制度の創設や新たな給付型奨学金の創設、低所得者の授業料無償化等を行う(7と一部重複します)。
・子育て等の配慮した低所得者対策として給付付き税額控除を行う。
3 女性の人権
世界130カ国を対象とした「男女平等指数」で、日本は世界で98位とされました(2008年度、世界経済フォーラム)。1970年代以降男女平等政策の進んだ欧米諸国と比べても、周囲のアジア諸国と比べても、日本での男女平等の停滞ぶりは特異な現象です。女性の人権に関する次のような問題について貴党はどのようにお考えですか?
(3.1)憲法改定論議についてお尋ねします。「家庭生活における個人の尊厳と両性の本質的平等」を定めた日本国憲法第24条につきまして貴党として、改定をめざすか、このまま堅持するか、いずれかを○で囲んでください。また、併せてその理由もお書きください。
1.改定をめざす。
理由:
○2.堅持する。
理由:
(3.2)「ジェンダー」という言葉や概念の使用についてお尋ねします。行政文書や学校教科書などでの「ジェンダー」という用語の使用禁止、「ジェンダー」に関する書籍の公立図書館からの排除といった動きがみられますが、貴党はどのようにお考えでしょうか。いずれかを○で囲み、併せてその理由もお書きください。
○1.「ジェンダー」排除は正しいので支持する。
理由:
2.「ジェンダー」排除は言論弾圧なので取り締まる。
理由:
(3.3) 戦争責任処理の問題および「慰安婦」問題について、貴党はどのようにお考えでしょうか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。またその他にお考えがあればお書き下さい。
○1.「村山談話」を継承する。
2.元「慰安婦」の方たちに政府として補償を行う。
3.「慰安婦」問題を含めた、戦後補償特別立法を推進する。
4.その他、何かございましたらお願いします。
(3.4)人身取引問題について、どのような対応が必要だと考えておられますか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。また、その他にお考えがあればお書き下さい。
1.人身取引の実態を調査し、防止啓発をすすめる。
2.「人(特に女性と子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書」、「国
際組織犯罪防止条約」および「すべての移住労働者とその家族の権利の保護に関す
る国際条約」の批准をすすめる。
3.人身取引被害者を対象に、多言語で年中無休のホットラインと支援を提供できるよ
うな地域専門サービスを設置する。
○4.その他、何かございましたらお願いします。
平成17年通常国会において、刑法等の一部を改正する法律案を成立させ、人身売買罪及び旅券等の不正交付罪等を新設。
(3.5)DV(ドメスティック・バイオレンス)やストーカー、強姦等が社会問題となっています。これらの女性への性暴力について、貴党はどのようにお考えでしょうか。該当するものを(いくつでも)○で囲んでください。また、その他にお考えがあればお書き下さい。
1.「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」、「ストーカー行為規制法」
の罰則規定を強化する。
2.女性のための性暴力救済センター、相談所を各都道府県に設ける。
3.被害者のためのシェルターを増設する。
4.保護命令が迅速に出るようDV法を強化する。
○5.その他、何かございましたらお願いします。
女性に対するあらゆる暴力の根絶と防止のため、引き続き広報啓発を推進してまいりたいと考えております。
<補足説明>
・DV法は、平成13年に議員立法として成立(16年、19年に改正)し、内閣府、警察庁、法務省、厚生労働省の共管となっており、上記1(DV法)及び4は法務省所管。
・ストーカー行為規制法(上記1)は警察庁所管。
・現在、DV被害者のための、相談、一時保護等の機能を持った配偶者暴力相談支援センターは、全国186箇所に設置されている。都道府県が設置する婦人相談所(厚生労働省所管)その他の適切な施設において支援センターの機能を果たすようにするものとされている(設置については、都道府県は義務、市町村は努力義務)。(上記2関連)
・上記3について、内閣府としては検討していない。
(3.6)性的少数派の人たちの権利擁護について、貴党はどのようにお考えでしょうか。該当するものを○で囲んでください。また、その他にお考えがあればお書き下さい。
1.とくに政策は考えていない。
2.性的少数派に関する立法を考えている。
(具体的に: )
○3.その他、何かございましたらお願いします。
★以上の他に、女性に関わる政策のうち、貴党が優先的に実施を予定されている施策があれば、自由にお書き下さい。
★ご協力いただきまして、ありがとうございました。
カテゴリー:WANの活動
慰安婦
貧困・福祉
DV・性暴力・ハラスメント
非婚・結婚・離婚
セクシュアリティ
くらし・生活
身体・健康
リプロ・ヘルス
脱原発
女性政策
憲法・平和
高齢社会
子育て・教育
性表現
LGBT
最終講義
博士論文
研究助成・公募
アート情報
女性運動・グループ
フェミニストカウンセリング
弁護士
女性センター
セレクトニュース
マスコミが騒がないニュース
女の本屋
ブックトーク
シネマラウンジ
ミニコミ図書館
エッセイ
WAN基金
お助け情報
WANマーケット
女と政治をつなぐ
Worldwide WAN
わいわいWAN
女性学講座
上野研究室
原発ゼロの道
動画






