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『ワーキングガール』働く女性必見 川口恵子

2010.10.03 Sun

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1980年代の傑作女性映画『ワーキング・ガール』.DVDの廉価版がついに出た.業界上どういう仕組みになっているのかわからない が,いっきに安くなった上 に,メッセージ・カード付でプレゼントできるタイプも出ている.
女同士,「お疲れさま」がてらに贈るのに,手ごろな価格設定だ.ワインなど添えると,さらにいいかも。お互い、いろいろあるけど,がんばってやっていこう よ、っていうメッセージにもなる。

私的には,仕事がたてこんでブルーな日曜の夜や,人生が滞ってしまった(笑)と感じる秋の日の午後などに,冒頭の,朝の出勤場面を見るのがおすす め。

カーリー・サイモンの音楽に乗せて,画面いっぱいに,朝日に輝く自由の女神像が映るだけで,元気が出る.ダイナミックな空撮だ。スタッテン・アイラ ンドから,自由の女神像の傍らをとおって,通勤客を乗せたマンハッタン島行きのフェリーが出る。

このフェリーに乗っているのが,メラニー・グリフィス演じる主人公の秘書テスだ。母ティッピ・ヘドレンはヒッチコックのお気に入り金髪女優、あの『鳥』のヒロインで有名ですね。娘のメラニーは太目でお茶目。80年代に流行した懐かしいレイアード・カットのロング・ヘア に,グラマラスなボディを揺らし,ウォール街にある投資銀行のオフィスに向かう(ああそして、この映画に出て10年後、ペドロ・アルマドバドル監督のお気に入りでハリウッド進出したイケメン・スペイン人俳優アントニオ・バンデラスと結婚しましたねえ!).同じ秘書仲間の女友達と船上で会い,言葉をかわし,人波の中を歩く。その リズムが心地よい。元気よく生きていくには,たぶん,こうした,軽快さが必要なのだ.

そしてNYの朝の風景。2001年9月11日同時多発テロ以後,この街から消えた,世界貿易センターの二つのタワーも見える.
この映画が公開された1980年代末には,なにげなく見ていた光景が,今では,貴重な時代の記録として,映画の中に残ってしまった。

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.ストーリーを要約すれば,NYに生きる一人の美人でグラマラスな秘書のサクセス・ストーリーだ。メラニー・グリフィスが可愛くて,一生懸命。
彼女を光らせているのは,敵役の女性重役キャサリン・パーカー.
有名女子大出の,鼻持ちならない、「できる女」を,シガニー・ウィーヴァーがはまり役で演じている。何しろ,『エイリアン』シリーズで,数々の死闘を繰り 広げ,勝ち残ってきたシガニーである.近年では,『アバター』でみせた主人公の指南役が光っていた。相手に影響力を及ぼすパワーがハンパなくある女(ひ と)、という印象をうける.

「同性の重役は,初めてです」と,初対面のテスが上ずった声で言った時も,このキャサリン重役がさりげなく,テスをたしなめる場面がある.

「誰にも最初はあるわ,だからって,問題はないでしょ,テス」

低音で,クールに,さりげなく,相手を子供扱いする.テスとは同い年だということを直前の会話で確かめているのだから,この台詞は,あきらかに重役から秘 書への「上から目線」。だが、かっこいい(なので、未来のキャリア・ウーマンの集まる某大学の英語の授業で時折使っているのだ)。

そのあと,さりげなく,「コーヒーをふたつ,私のオフィスにもってきて,私のはミルク入り,砂糖はなしね」と付け加えるのも忘れない。 “I’m light…no sugar.”という台詞を残して。

“light”がミルク入りコーヒーのことをさすと、初めてこの映画で知った。ブラック・コーヒーより色が薄めになるからだろうか。ミルク入りっていうの が、ちょっとかわいい女性重役なのだ。








カテゴリー:新作映画評・エッセイ / DVD紹介

タグ:くらし・生活 / 川口恵子 / 働く女(女性の労働) / アメリカ映画 / 女性表象 / 女女格差