2010.10.26 Tue
10月も半ば過ぎてから、漸く「涼しゅうなりまして」という会話が出来るようになりました。ホント今年の夏は長~く暑い夏でしたねえ。おかげで野菜が大高騰して、農家も消費者もタイヘン。熊は山から下りてくるし、そのたびに射殺されているのも切ないです。山が住みやすければ好んで里に出て来ぬものを。気の毒なことです。豪雨禍も多くて、被害に遭われた方のご苦労を思うと胸が痛みます。
京都は幸いにもこの秋は、台風も影響なく災害に遭わずにすみ、これからは、正に錦秋の候となります。「そうだ!京都行こう」というコマーシャルではないですが、京都の秋は人でいっぱいです。何を隠そう私も紅葉のあの真っ赤な色が大好きなんです。赤、紅、緋、朱など、木々の持ち合わせている個性ある赤い色彩がまじりあって、見事な自然の色の饗宴を演出して見せてくれます。見る者を圧倒する紅葉の赤に惹かれて毎年必ず出かけます。と言っても近場の神社仏閣、御所や二条城など手近かなところですが。
数ある紅葉の名所の中でどこが一番いいかと、よく話題に登ります。京都の紅葉と言えば、私はやっぱり東福寺が最初に浮かびます。とても大きな境内を持つ東福寺ですが、「洗玉澗」と呼ばれる渓谷には2000本の楓が見られます。本堂と開山堂を渡る通天橋が紅葉の見どころとして有名です。三門は日本最古だといい国宝ですし、禅堂や、東司(平たく言うと便所です)、塔頭の竜吟庵方丈なども重要文化財ですから、紅葉以外も見所がいっぱいです。何より広々として美しい境内は圧巻です。
すぐ近くには泉涌寺(せんにゅうじ)があります。こちらはひっそりとしていますが、重文の仏殿には狩野探幽の壁画や天井画がみられます。楊貴妃観音堂も珍しいものです。
京都市内だけでも紅葉の名所が多く、名前だけあげておきましょう。清水寺(紅葉の時期には、夜のライトアップも)、高台寺(ここのライトアップは演出を変えて見るたびに驚きで、素晴らしいです。)、永観堂、真如堂などは、境内が紅葉で埋め尽くされるという感じになります。知恩院、青蓮院、南禅寺界隈、詩仙堂、赤山禅寺、少し足を延ばして大原の寂光院、洛東をめぐるだけでも紅葉スポットは多いんです。
西の方では、何と言っても嵐山ですね。嵯峨野には常寂光寺、祇王寺、化野念仏寺など人気の高いお寺が沢山あるので、細い道が賑わいます。1枚1枚の葉っぱが小さくきれいな赤になる楓が京風だとか。
そうそう、紅葉の三尾を忘れていました。高雄・栂野・槇尾の紅葉の名所です。神護寺で高雄は古くからよく知られています。清滝川に架かる高雄橋を渡ると紅葉の国へ入って行くような気がします。794年和気清麻呂が造営したというから古い!
急な石段を上りつめると立派な楼門にたどりつきます。国宝の「高雄観楓図屏風」には、16世紀の紅葉狩りが描かれているのですから、都の人たちは紅葉の美しさを求めて、足場の悪いあんな山奥まで出かけたんだなあと感心します。栂尾・槇尾へは何十年か前に行ったきりで、私は残念ながらあまり覚えていません。新緑が美しく静まり返っていた記憶だけがあります。
紅葉の名所を思いだしながら書いてみたので、まるでお寺の案内書のようになってしまいましたが、他にも沢山有名無名の見所があって、好きな場所も人それぞれでしょう。京都の者でも全ては到底見きれません。
「紅葉はもういいわ」と言う方には、11月初めにある古本まつりがお薦め。京都大学近くの百万遍知恩寺で数日間開かれます。思いがけない掘り出し物などもあって、本のお好きな方は楽しめます。
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