ネットを開いて、たとえば「慰安婦」と検索してみる。すると、動画から、ブログから、日常とはとても思えない罵詈雑言があふれ出す。
しかし、じっさいに日本社会の日常は、とても「まとも」とは思えないような、目を覆いたくなるような人格を毀損するような言葉にあふれ
かえっている。
本書は、1994年からの20年間、全国紙に掲載された広告をとりあげ、どのようなメッセージをそのつど新聞読者に送ってきたのかを検証した
画期的な著書である。キモは、当の広告されている雑誌を読むか否かにかかわらず、全国紙を開く読者の目に、挑発的でぎょっとするような
言葉を見せ付けている、という点である。
いかにこの20年間(ちなみに、安倍晋三首相の初当選は、1993年)に、こうした言葉を受容してきたか、そして、本来なら信じがたいことだが、
国民を代表するはずの国会議員たちが率先して、他者(とりわけ、他国のひとびと)を貶め、根拠なき妄言をばら撒いてきたかということに、
それこそ否応なく気づかされる。
しかし、20年ずっと繰り返されるのは、日本がこのままじゃ壊滅する、侵略される、日本じゃなくなる、といったことだ。いったい、誰が自虐的
なの、と思わずにはいられない。しかし、この社会が壊れかけているのは、とても「美しい日本語」とは思えないことを日本社会に撒き散らして
いる人びとのせいでは??
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