2013.06.03 Mon
このシリーズは、事実婚・非婚・おひとりさま・セクシャルマイノリティといった方々に対し、「法律婚夫婦+子」を基本概念として作られている現状の各種法制度の中から、活用できる制度がないかを提案していくものです。
◆インターバル その1
第9回 行政書士の資格勉強法
●今回はインターバルです!
こんにちは。行政書士の金田です。
前回までは、「遺言書で大切な『者』を守る」というテーマで、事実婚・非婚・おひとりさま・セクシャルマイノリティといった方々の視点からの「遺言書」について考えてまいりました。
今回は、がらっと趣向を変え、インターバルとして、リクエストをいただきました内容についてお答えしていきます。
リクエストいただいた内容が「行政書士に関するもの」や「行政書士の資格試験勉強法」なのですが、私はたまたま運良く試験に受かってしまったクチですので、ご期待に添えるようなご回答にはならないだろうなあ…と思いつつ。
お気楽にお楽しみいただけますと幸いです。
●「どうして行政書士になったのか?」
どうして行政書士になったのか?
このご質問には「行政書士の仕事に興味があったから」と答えるのが一番まともな回答(?)かと思うのですが、私は出来の悪い異端児ですので、このご質問にすらイレギュラーなご回答になってしまいます。
私は、行政書士になる前は、主にweb方面の会社で働いており、その後、フリーランス(個人事業主)として同様の仕事を5年ほど続けておりました。ホームページを企画制作したり、web系のご相談に応じたりといった仕事です。
そして、web仕事だけで生きていくにはなかなか大変な時代になってしまったため、何か他に食べていけるスキルを身につけたい。受験資格のハードルができるだけ低くて(誰でも受験できて)、でも名ばかりの資格ではなく、独立できて独占業務があるきちんとした国家資格。
そこで「行政書士」という資格に白羽の矢が立ちました。
いろいろな資格取得を目指す通信講座でも、大人気資格として常に上位にいる「行政書士」。これだったら、全然法律の勉強なんてしたことがなくても、何とか合格できるかな……
そんな、やましい気持ちで、行政書士を目指すことになりました。大変恥ずかしいお話ですが、試験を受けて合格し、慌てて行政書士のことをきちんと調べるまで、私、行政書士がどんな仕事をするかもよく知りませんでした。順番が逆!ですよね、本当にスミマセン……
ただ、行政書士の業務範囲ってものすごく広くて、「○○の仕事ができる」とひとことでいえるものではなく、「工夫次第でどんな仕事でもできる」んですよ! それがわかった今では、行政書士になってよかったなあと毎日のようにしみじみと思っています。
ここで、私も行政書士になるまでよく知らなかった、ひいては、一般の方もよくご存知でない(これはひとえに行政書士全体の広報の仕方が問題なのですが)「行政書士」の主な業務を簡単にご説明します。
行政書士ができる仕事は星の数ほどあるので、それぞれの行政書士がそれぞれの得意分野で自由に仕事をしています。その中でも代表的なものが、以下のような業務となります。
・法人設立の手続き、相談
・建設業関係の許認可、相談
・風俗営業関係の許認可、相談
※ここでいう「風俗業」とはスナックやバー、パチンコ店やゲームセンターなどのことです。
・自動車関連の許認可、手続き、相談
・農地転用の許認可、手続き、相談
・産業廃棄物収集運搬業の許認可、相談
・相続・遺言書関係の手続き、相談
・後見人制度関係の手続き、相談
・外国人の在留・帰化手続き、相談
・企業法務、市民法務に関する契約書や規約等の作成、相談
また、以下のような新しい業務も最近増えてきているようです。
・著作権関係の手続き、相談
・事業承継関係の手続き、相談
・知的資産経営関係の報告書作成、相談
ここで挙げたのはほんの一例ですが、行政書士が業務にしているものは、各種許認可いった経営に関するもの(企業法務)から、相続・遺言といった誰にでも関係のあるもの(市民法務)まで幅広く、基本的にどういったことでもご相談をうけたまわることができるのが他の士業にはない特徴です。
いってみれば「自分の好きなことを仕事にできる」というのが、行政書士の一番楽しいところかもしれません。自由度がとても高いといえますね。
●「どうやって(受験勉強をして)行政書士になったのか?」
どうやって(受験勉強をして)行政書士になったのか?
私の場合、「行政書士を受験しよう!」と目標は決めたものの、「勉強」なんてものからはン十年も遠ざかって頭も相当に錆び付いていましたので、勉強のカンを取り戻すため、別の資格の勉強から始めました。
まずは、「日商簿記3級」の勉強からスタート。ここで「机に座って勉強する」というリズムを作りました。
次に、行政書士の試験を受けるには、これまでにやったことのない法律の勉強に慣れる必要があるということで、「ビジネス実務法務検定3級」という法律系の検定を受検しました。その後、「ビジネス実務法務検定2級」。
そして、いよいよ行政書士の勉強に取り掛かる、という段階を踏みました。「ビジネス実務法務検定2級」を受検したのが2010年の11月。そこからどうしてもだらだらしてしまって、行政書士試験のテキストを手にしたのが翌年2011年の2月あたりだったかと思います。
簿記・ビジネス実務法務は、書店に売っているテキストでなんとかなったので、行政書士もこれでいけるだろうと最初は高をくくっていたんですが、書いてあることがさっぱりわからなくてちんぷんかんぷん。「これはマズい……」とさすがに焦って、いくつかの通信教育講座の資料を取り寄せました。
ちなみにTVや雑誌のCMで有名な某通信講座さんの案内は未だに届きますね。「今年こそ行政書士!」といったDMが。ありがとうございます、もうそれで開業してます。
さあ、どこの通信教育にしようか…と悩んでいたときに、3月11日の大地震が起こりました。ここで行政書士の勉強は中断。関東にこのまま住み続けられるのか? という状況でもあり、こんなのんきに受験勉強なんてしてる場合ではなくもっとやるべきことがあるんじゃないか? という精神的な焦りもあり。
そういった諸々の葛藤の後、気を取り直して、とある通信教育に申し込んだのが6月後半。勉強を再開したのが7月でした。11月中旬の試験まで、残り4ヶ月半になってからのことです。
それからは、通信教育を用いて平日は毎日5~6時間くらいの勉強をしていたと思います。短い勉強期間でしたが、フリーランスで、ありがたいことに時間が比較的自分で作れたのが大きかったですね。仕事は午後の3時くらいまでに終わらせ、後は勉強に当てていました。食事の支度等、家事はある程度手を抜きながら。
そして、通信教育だけではインプットのみになってしまうので、アウトプットは偶然見つけた過去問サイトを使っていました。この過去問サイト、行政書士の過去問だけではなく、司法試験・司法書士試験・宅建・教員試験などの他の試験で行政書士と被る法律の過去問も入っていたので、大変勉強になりました。また、このサイトは携帯でもアクセスできるので、電車に乗っての移動時間にはこのサイトで必ず問題を解いていました。
9月くらいからは、この過去問サイトで1,000問を解くのを最初に行い、夕方~夜は、間違えた問題の解説を通信教育のテキストに書き写す、そして覚える。それを毎日繰り返していました。
ほか、通信教育のテキストには入っていなかった、行政書士受験六法や判例集を買ってきて、お風呂の中や寝る前に読んでました。いまから思うと、毎日が勉強漬けだったなあと。
行政書士の試験範囲はそこそこ広くて泣きそうになるのですが、それでも、古文・漢文・現代文、英文法・リ作文・ヒアリング、三角関数・微分積分・確率統計、日本史・世界史、物理・科学・生物・地学…なんて気が遠くなるほどの勉強が必要な大学受験に比べたら、どんな資格試験だって範囲は狭い!と自分を叱咤しながら勉強しておりました。
行政書士の試験範囲はざっくりと「法律」と「一般知識」ですが、法律に限っていえば、試験問題は「条文」と「判例」ここからしか出ないわけです。条文を何度も何度も何度も何度も読んでどういうことなのかを具体例を想像しながら理解して、判例をチェックする。これに尽きるのではないかと思います。
受験日が近づいてからは、有名どころの予備校の模擬試験を3回受けました。2回が同じ予備校で、1回は別の予備校。予備校で模擬を受けているときは、特段の緊張もしなかったのですが、本番はやはり全く雰囲気が違います。本番は独特ですね、とても。なので、雰囲気的に慣れるために模擬試験というのは、あまり意味がないかもしれません。ただ、記述部分の採点等、自分ではどうしてもチェックできない部分もありますし、予備校ごとの問題のクセもあるので、余裕があれば模試は2回ほど受けてみるのもいいかなと思います。
私の場合は、通信教育だったということもあって、行政書士の試験勉強に使った費用は約10万円ほどでした。通信教育が7万円弱、他の書籍・模擬試験に2万円程度、受験手数料が7,000円です。
●「試験のプレッシャーはどうやって乗り切ったのか?」
試験のプレッシャーはどうやって乗り切ったのか?
これに関しましては、プレッシャーというものが、ほぼなかったんですよね、私。資格試験というものは、例え不合格だったとしても、そこで人生がガラッと変わってしまうというものではなく、自分の付加価値が少し増えるだけで、何かが減ったり消滅したりしてしまうものではないと思いますので。
私の場合は、勉強期間が短かったこともあり「まあ、今回は無理だろうから、来年もがんばろう」というくらいの気持ちでいました。それもプレッシャーがほとんどなかった要因のひとつかなあと思います。
あと、一緒に住んでいる同居人が、何年も何年も何年も何年も社会保険労務士の試験に落ち続けていまして、それでも全くめげずあきらめず毎年その資格に挑戦している姿を間近で見ていたことも、勉強の励みになりました。1、2回落ちたところで何も問題ないよな、と。ちなみに、私が行政書士に合格した翌年に同居人も晴れて社会保険労務士試験に合格いたしました。
プレッシャーは、まずは、周りが与えないこと。本人自らがどうしても感じてしまうプレッシャーは、本人が開き直るしかないですね。「落ちても死ぬわけじゃなし」「落ちても自分の価値が下がるわけじゃなし」と。
試験勉強ができる環境に恵まれたことに感謝しながら、毎日の勉強を楽しむのが一番かなと思います。社会人になると、どっぷりと勉強だけに漬かることができる機会はそうそうないですから。
●時間を掛けて勉強したことが無駄になることは絶対にない!
今回は以上となりますが、これ、誰の参考にもならないんじゃないか…という内容になってしまって大変申し訳ありません。
私の場合は運だけで試験に一発合格してしまったため、逆にいえば付け焼刃の知識のままとなってしまっている部分もあります。そう考えると、どんな試験でも、2、3回受験して合格したほうが、はるかにきちんとした知識が物になっているのだろうなと思います。時間を掛けて勉強したことが、無駄になることは絶対にありません!
行政書士試験に限らず、資格試験等の勉強をなさっている方々、陰ながら応援しております! マイペースでコツコツと一歩一歩進んでください。
さあ、インターバルはこのくらいにして、次回からは本来のテーマに戻ります。
次回からは「病気や怪我で思うように体が動かせなくなったとき」にどのように自分の大切なモノを守っていくかという新しいテーマで再開する予定です。
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【文】
金田行政書士事務所
行政書士 金田 忍(かねだ しのぶ)
http://www.gyosyo.info/
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