2014.12.15 Mon
竹信三恵子×深澤真紀 「家事ハラ炎上!」爆走トーク(2)
「草食男子」は褒め言葉だったのに まとめ:WEBRONZA編集部 2014年11月7日
★ この記事は、WEBRONZA編集部のご協力を得て、まとめの第2回の全文を転載しています。 WEBRONZAの記事は、下記サイトで読むことができます。 http://astand.asahi.com/magazine/wrbusiness/special/2014101600001.html?iref=wan WEBRONZAの竹信三恵子さんの記事はこちらから! http://astand.asahi.com/magazine/wrbusiness/authors/2010052600025.html?iref=webronza |
WEBRONZAは9月、トークセッション『「家事ハラ」炎上! 女たちは何に怒っているのか』を都内で開きました。
和光大学教授で、ジャーナリストの竹信三恵子さんと、「草食男子」という言葉の生みの親である深澤真紀さんが対談し、フロアとの活発な質疑応答もありました。
今回は、このトークセッションのまとめ(その4)を公開します。
(その1)→ http://wan.or.jp/reading/?p=14657
(その2)→ http://wan.or.jp/reading/?p=14770
(その3)→ http://wan.or.jp/reading/?p=15037
深澤 今回の家事ハラの騒動でもう一つ興味深いなと私が思っているのは、「ちゃんと家事をする幻想」というか、「丁寧に暮らすシンドローム」みたいなものですね。
「丁寧に暮らしたいですか」と問いかければ、「いいえ」と答える女性はほとんどいない。家事ハラ騒動の背景には、女性がちゃんと家事をするという暗黙の了解のようなものが横たわっているんですね。例えば、いつ友達が訪ねてきても、きれいに部屋が整えられているから大丈夫とか、気の利いたものもすぐに出せる、なんていうような幻想です。
竹信 無理だね。
深澤 でもそういう幻想はあるんですよ。お米は土鍋で炊き、電子レンジも使わずに料理してというような。
竹信 ああ、ありますね。
深澤 「ちゃんと丁寧に暮らす幻想」みたいなことがある。しかもこの幻想からは、フェミニストすらもあまり逃れられないんですよね。家事の手抜きをしようとか、電子レンジでチンとか、コンビニめしで済まそうとか言うのは許されない。
竹信 そんなにちゃんとしたいなら火を起こすところから始めればいいのにね。
深澤 本当にそうですよね。あとすぐ「伝統が」とか言い出す。「着物をきちんと着られなきゃ日本の伝統が泣く」とか言うんですけど、日本の伝統だったら貫頭衣でも着ていればいいのに。
竹信 そう。貫頭衣だよね。
深澤 着物なんて、江戸期の大店のお嬢様が着ていただけだから。
竹信 確かに。
深澤 最近のコンビニめしなんかは相当ちゃんとしているからね。それなのに、「だめよ、コンビニなんて」と言われちゃう。私は、「いいじゃん、大変なときはコンビニで、けっこうおいしいよ」と思うんですよ。
だから、我が家はもう「丁寧に暮らさない」と決めたんです。仕事も忙しいし、丁寧に暮らしてたら大変なことになっちゃうから。でも、この家事ハラに傷ついた女性たちは、丁寧に暮らさなくちゃという呪いにもかかっているんだと思うんですよ。
竹信 そっちで怒ったということね。
深澤 それもあると思うんです。洗濯物の干し方でもめたりするといいますけど、我が家は、例えば洗濯でも、私のおしゃれ着は私が洗い、夫は夫でこだわりのあるシャツなんかは自分で洗う。そのかわり、どうでもいい、伸びても構わないものは二人で洗うようにしている。だから、私、夫、どうでもいいというかごが三つあるんです。
竹信 いいアイデアだ。
深澤 それから食器用の洗剤も私は肌が弱いからせっけん系の洗剤しか使えないの。でも、夫はそれだと落ちが悪いと不満なんですよ。だから、我が家の台所には、お風呂場の銘々のシャンプーみたいに食器用の洗剤も2種類あるんです。どちらかに合わせることないですから。
ただ、家事を二人でやると、いつの間にか嫁姑問題みたいになるんですね。それで、女性はなぜか姑の位置を取ろうとしてしまう。それでは嫁の立場にされてしまう夫はしんどいですよね。それはやめたほうがいい。友達同士のシェアハウスの家事のように分担した方がいいですよ。
でも、我が家もお互いにお互いの家事にはちょっと不満を抱いていますよ。ただ、大事なことは何かというと、2人とも忙しいから家事さえできていればいい。そう思うことなんです。
竹信 理想ですね。それは正しいスタイルですよ。
深澤 でも家事ハラに怒った女性たちは、家事をきちんとしなければいけないという呪いにかかっているような気がします。
竹信 そうでもないと思うよ、もっと違うことで怒っていると思う。
深澤 もちろん違うことでも怒ってるは思いますよ。竹信さんとか私の家は適当だと思いますが(笑)、多くの働く女性たちはびっくりするぐらい忙しいのに、ちゃんとしているわけですよね。女性誌の影響も大きくて、「丁寧な暮らしを」とか、「夫婦で尊敬し合って、高め合って」とか、そういうコピーに支配されてしまう。
竹信 抑圧的ですよね。
深澤 夫婦なんか高め合わなくていいでですよ(笑)。
竹信 南野忠晴さんという人が書いた岩波ジュニア新書で、『正しいパンツのたたみ方』というのがあって、たたみ方の流儀が夫と妻で違うという……。
深澤 パンツのたたみ方って違いますよ。
竹信 違うと妻に責められたりして。これは文化衝突なんですよね。
深澤 本当にそうですね。
竹信 だから異文化への許容度をもっと高めなきゃいけないという。
深澤 夫は、隣の国のような異文化ですから。
竹信 そう、隣の国なんだから関係ないんですよ。私も、部屋の中の夫の領域と自分の領域に線を引っ張って、相手のものは全部投げ込むとかしていた時期ありました。夫の本とか脱いだ服とか、片付けないまま増えていくので、頭に来て、線を引っ張って、「あんたのはみんなこっちだ」とか言って投げ込んじゃう。そうするとこちら側はきれいになっています(笑)。
深澤 夫のクロゼットも妻のクロゼットも、互いに触らないに越したことはないわけですよね。
竹信 ただ、家事を分担するのはいいことでね。でも、それは相手が「きちんと」家事をやってくれるからうれしいのではないんですよね。相手がやってくれる分、私にとって自分の時間ができるからうれしいというだけの話です。どんな家事をしていようが、その分私の時間ができればうれしいと思うと、相手の家事がずさんさだとか、気にならなくなります。
深澤 何かあったときに、自分がいなくても稼いで、家事ができる人同士じゃないと困りますよ。
竹信 なぜ家事を分担してもらうのか、獲得目標を決めるべきですよね。
深澤 女性はまじめだから、獲得目標が高すぎるんですよね。女性誌なんかから発信される、「素敵な」とか、「ちゃんと」とか、「丁寧」という言葉はじつは恐ろしくて、「女子力」よりも実は「丁寧」の方が抑圧が大きいですよ。
竹信 何かひと手間かけようとかね。テレビの料理番組とか、おだしをこうやって取って、一手間かけるとおいしくなるんです、なんてやっている。私、それでテレビ切っちゃいますよ。すごい抑圧的なんだもん。
深澤 私はレシピ本の編集をしていたこともあるんですが、「料理には愛情なんかいらない、技術があればいい」と言ったら、反感を買ったことがあるんです。短時間で手早く栄養素がバランスよく取れるという目標を科学的に設定すれば、料理って何とかなるんですけどな。なぜか、エモーショナルな家事やエモーショナルな家族になっちゃうと、面倒くさい誌終わりがないですね。だから、家族も会社だと私は思うようにしているんです。
竹信 そうですね、ある意味ね。
深澤 家族を会社だとすると、総務部長が目的とするべきことは会社を愛することじゃなくて、やはり潤滑な運営でしょう。トイレットペーパーが切れていないかとか、そこが大事なことです。夫が帰ってきたのに「私はダブルの香りつきのが好きなのに」と怒っていてもしょうがない。「オレの帰り道にはコンビニしかないからそれは売ってないよ」としか言いようがないですよね。合理的に考えるしかない。
竹信 私は家庭内に「男の家事を進める会」をつくって、夫を事務局長に任命しました。私が会長で子どもは会員です。会長は命令していればいいだけだから、事務局長には実務をやってもらうので一番忙しいわけですよ。ポストを与えると男性は動きますから。
深澤 家事ができない人は仕事なんかできるわけがないですしね。ただ男性が女性の気に入るように家事をやるのは難しいと思うんです。
だから、お互いに気に入らなくても、家事をお互いがお互いの仕事として最低限やるべきことを勝手にやって、お互いに文句を言い合わないということでいいと思うんですよね。
竹信 勝手にやる人はいいけど、やらない人は事務局長にするしかない。総務部長もいいですね。絶対に会長にしちゃだめですよ。こっちが使われちゃうから。そうすれば何とかなるケースもある。ケース・バイ・ケースですよね。関係性だから。
深澤 ケース・バイ・ケースでいいですよね。女性は、心の中に女性誌の見開きがいつもあって、そこに苦しめられていると思います。
竹信 この話って、もともとの言葉の誤用問題からだいぶ離れていません?
深澤 いえいえ、これが誤用問題にも通じているんですよ。誤用問題は上からの圧力だけではなくて、私たち自身が自分に抑圧も与えているんです。
上からの圧力だけだとわかりやすすぎる話になっちゃいますよね、見えない権力だけをを悪にする構造は、やめた方がいいかなと私は思っているんです。じつは私たちの中にいる「」内なる敵」も同じくらい問題なんです。
「男という権力」が私たちに家事ハラ、草食男子を押し付けているというだけでは、問題は解決しないと思うんです。
私たち女の中にも、「丁寧に暮らす」という敵がいたりとか、男性によく見られたいとかいう思いが潜んでいたりする。今でも「いざというとき、無人島に漂流したときに役に立つ男が好き」なんて言う女性がいるんだけど、(笑)。そういう男性像を理想化する女性もいたりするわけです。
竹信 いざという時じゃなくて、いま、ここで、役に立ってほしいよね。
深澤 無人島に漂流することはまずないですからね(笑)。「無人島で役に立つ男」なんて現実的じゃないんです。私は無人島で役に立たない男でいいです。だって行かないですから。とにかく設問が間違っているわけです。
ものごとをまじめに考える人ほど、「内なる敵」のレベルが高すぎる。内なる敵を自覚しないと、外にいる敵と闘うこともできないと思うんですよね。
竹信 確かにね。深澤さんも内なる敵のレベル、高いの?
深澤 私は高くないから、こんな感じなんですけど(笑)。内なる敵が高くないことで、まわりのまじめな女性に怒られたりしますよ。
司会 お二人の話が盛り上がっているところではありますが、残り時間が少なくなってきました。このあたりでフロアの方々との質疑応答に移っていきたいと思います。
会場 今日はお話、ありがとうございました。今回のこのお話の大きいテーマはジェンダーなどの分野での言葉の誤用だったと思います。これに立ち向かうのには、どのような方法があるのでしょうか。今すぐ有効な方法とか、場合によってはこういう方法もありうるというような例をご教示いただきたいと思います。
深澤 空気が読めないと思われても、私はその場、その場でその言葉の誤用をやめさせます。誤用をしている人がいて、ここは流しておけとやり過ごすと、そのままになってしまいますから。「若者は草食で内向きで」とか、「やっぱり女は」とか、男性だろうと女性だろうと誰か誤用した時点で、「それは違うんじゃないの」とか、「それは人それぞれじゃない」とか、すぐ言います。
女性は空気を読むということを重視して、その場は流しておいて、あとで怒ったりしますよね。でも、私は流さない。
ただ、これは非常に厳しい戦いで、どんどん友達がいなくなるんです(笑)。その人の発する言葉と戦うというのは思想信条との戦いだから、自分の中で人間関係を維持するか、自分の思想を維持するかの兼ね合いが大事ですね。でもその誤用を許すと、その思想を許すことになってしまうので、私はいやがられても言うようにしますね。
竹信 「良薬口に苦し」です。
深澤 とはいえ、いちいち、「それはおかしいですよ」と言うのは本当に大変で、「この人との人間関係がだめになってもいいか」という選択も迫られるんです。
竹信 確かにね。そうすると、深澤さんのは玉砕路線じゃないの。
深澤 玉砕路線です。
竹信 私は、勝てる構図をつくってからやることが多いよ。
深澤 勝ったら勝ったで、負けた人は竹信さんのことを恨みますよ。
竹信 何か意味のあることをしようとすると、恨まれることはついてきます。
深澤 それじゃやっぱり玉砕と変わらないですよ。
竹信 男の人から好かれなくたっていいじゃん、という開き直り。
深澤 私たちは嫌われても平気なところがあるんでしょうね。
竹信 友達とか他人とか、いてほしいときもあるけど、いないと周りがスースーして場所が広くなって、いい感じになることもある。友達いない状況って、それほど嫌いじゃないです、本当に。
ただ、やっぱり私は一般的には勝てる構図をつくるというのをお勧めしています。
深澤 勝てる構図?
竹信 いまは勝てないけど、何があれば勝てるかを考え、それをできる限りつくっていくんです。味方をどう増やすかとか、ことを起こしたために干されても、その間、どれだけ貯金があれば持ちこたえられるかとか、相手の弱みは何かをさぐるとか、それを考えて、ひとつひとつ勝てるための条件を整えていく。その過程が楽しいです。
過程を楽しむ。結果はいいんですよ。旭化成ホームズに抗議したときも、もし相手にされなかったらどういう対抗措置をとるか、そのためにフェイスブックとかメーリングリストとか、どんなメディアを使えるかとか、いろいろ考えて布石を打ったのはその一例です。
深澤 大きい敵には、それでいいと思うんです。でも、とりあえずの問題は日常の小さい敵なんですよ。
つまりいい人なんだけど、差別的な部分があるっていうような人が一番困るんですよ。多くの人はそこは見逃してしまう。見逃す方が正しいというのも事実で、それが人付き合いの知恵でもある。でも、私は幼稚なので見逃せないことが多いんですよね。
竹信 価値観の問題だね。
深澤 そうなんですよね。あとは「この人は見逃す」という基準を自分の中につくる。この人は何を言っても見逃す、とか。つまり、しょうもない奴だけど、面白いから許しちゃうとか、自分の中で決める。
竹信 価値観は線引きがありますからね。それで基準を決めて対処してみたらどうでしょうか。深澤 大きい悪とは大変ではあるけど、じつは戦いやすいですよ。ただ、日常的には大きな悪とは出会わない。会社の上司とか昔の友達とかが小さい敵として次から次へ出てくるという日常の方がしんどいんです。
司会 では、次の質問に移りましょう。
会場 家事と世代間の意識に関係することですが、今の30~40代ぐらいの、結婚して子供もいるような女性というのは、団塊ばりばりの両親、核家族で、お母さんは専業主婦で育ってきた自分の環境が一方であり、現在は共働きで稼ぎも家事もイーブンというのがすてきとむしろそっちの方が普通だという意識の男女の方が多いと思います。
その現実的な理想と自分が育ってきた環境に自己矛盾を抱えているように感じます。社会の抑圧とかではなく、自分の中で勝手にかつてのそういうイメージにとらわれているのかもしれません。家事も共有してほしいと言いながら、自分は自分のテリトリー意識がすごく強いという、そういう自己矛盾を抱えているという気もします。そういう世代の自己矛盾を解消する特効薬は何かありますか。
深澤 「理想は幻想である」と思うしかないです。やはり、どんな世代もどんな人も、理想の家族とか理想の生き方があるんです。さっき言った内なる敵というのはまさにそうで、「丁寧に暮らす」もそうだし、「夫婦はお互いが同じ目線で同じ方向を向いて同じぐらい分け合っていこう」とか。でもそれはやっぱり幻想なんですよ。
大事なことは、「現実的に合理的な一番最小限のこと」をできればいいんです。ごみはちゃんと出すとか、あるいはどっちかが病気になっても2人とも看病できるとか、そういうことが大事で。とかく女性は上の方に目標を持ちがちなんですよね。でもそういう目標はもたないほうが楽かなと思っています。
私は「今日分別ごみをきちんと出せた」というだけで、自分は偉いと思います(笑)。自分を褒めるレベルがとても低いんです。それでいいんですよ。例えば、我が家では最近、瓶や缶を食洗機で洗ってから分別しているんです。捨てる時に手が汚れなくて、便利なんです。
竹信 それは素晴らしいよ。
深澤 うちの夫がふと気がついて、やり始めたらとても便利で。だからこういうことはみんなに伝えたいんです。つまり、そういうことでいいと思うんですよ。日々の暮らしのことなんだから、目標を低くしていかないと続かないですから。
今、暑いから扇風機をロフトの奥から出してくるとか、そろそろ冬物の取り換えの時期が来るけど、衣替えをどうするかとか。そういうことをひとつひとつを具体的な目標にすればいいんです。
「丁寧に暮らす」というのはあいまいで、To Doリストには書けないでしょう。それよりもTo Doリストの数を増やした方がよほどいいし、合理的で分かりやすいんです。それを誰がいつどうやるかを、夫婦や家族で相談しながら日常を送る。毎日を具体的にリアルに積み上げていく生活していくほうと思いますね。
竹信 今立っている地面を足元を固めるということですよね。
深澤 「毎日の生活を丁寧に」じゃなく、「最低限にこなす」でいいと思うんですよ。
竹信 まったく賛成ですが、違う方向からも考えたいですね。つまり、家事をどちらがやるか、以前に、長時間労働に追いまくられて、どちらも家事をする時間がないことが問題なのだというアプローチです。1日8時間労働を厳守しろという政治課題をもっときっちりやっていきたいし、やってほしいです。
深澤さんが今の言ったことは当面はすごく役に立つ。私も実際そうやっているし。そういう暮らし方をすると、気持ちが落ち着く。楽になる。で、その落ち着いた気持ちや余裕を利用して、大きな社会的な課題にまで手を伸ばしていくことが必要だと思うのね。どんなに個人で努力したって、10時間、12時間、13時間も働かされたら、まともな生活ができない、本当に。だから、その両方をやりましょうということではないかな。
深澤 もちろんです。一番よくないのは、社会に目を向けず、自分だけの問題にしてしまうことですから。まず社会そのものに問題がある。だけど、自分の中にもよく分からない敵がいると。だから、外の敵と戦うためにはまず内なる敵を自覚して、それからでないと、外の敵とは戦えないんですよ。
竹信 その通り! なぜ社会的な大きな敵に向き合えないのかというと、実は内なる敵に足をとられているから、外へ打って出られないという側面がありますよね。二人の意見が改めて一致したようですね。
深澤 よかったです(笑)。
竹信 でなぜこんなにみんな戦えないでいるのかというと、毎日の生活の中での気持ちの安定がないから。それは大きいですね。
深澤 毎日の生活の中で自分を責めていたら、社会と戦えないんです。
竹信 ここまでいろいろ話し合ってきて、今日はいい結論が出たと思います。
◇
竹信三恵子(たけのぶみえこ)ジャーナリスト・和光大教授 東京生まれ。1976年、朝日新聞社に入社。水戸支局、東京本社経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)などを経て2011年から和光大学現代人間学部教授。NPO法人「アジア女性資料センター」と、同「官製ワーキングプア研究会」理事も務める。著書に「ルポ雇用劣化不況」(岩波新書 日本労働ペンクラブ賞)、「女性を活用する国、しない国」(岩波ブックレット)、「ミボージン日記」(岩波書店)、「ルポ賃金差別」(ちくま新書)、「しあわせに働ける社会へ」(岩波ジュニア新書)、「家事労働ハラスメント~生きづらさの根にあるもの」(岩波新書)など。共著として「『全身○活時代~就活・婚活・保活の社会論』など。2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞。
深澤真紀(ふかさわ・まき)コラムニスト・淑徳大学客員教授 1967年、東京生まれ。早稲田大学第二文学部社会専修卒業。在学中に「私たちの就職手帖」副編集長を務める。卒業後いくつかの出版社で働き、1998年企画会社タクト・プランニングを設立、代表取締役就任。2006年に「草食男子」「肉食女子」を命名、「草食男子」は2009年流行語大賞トップテン受賞。著書に、『女はオキテでできている―平成女図鑑』(春秋社)、『輝かないがんばらない話を聞かないー働くオンナの処世術』、津村記久子との対談集『ダメをみがく――”女子”の呪いを解く方法』(紀伊國屋書店)、『日本の女は、100年たっても面白い。』(ベストセラーズ)など。
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