
第1回である今回のテーマは
女性ならではの労働問題を考えるー歴史を振り返り、今の課題を取り上げる。
講師は大脇雅子弁護士、圷由美子弁護士。
二人の女性弁護士の先生方から労働分野における女性差別の歴史や現状、これからについてのお話をお伺いすることができました。
以下、つらつらと感じたことを記していきます。
まず大脇先生のお話について。
女性差別の「いままで」について、深いお話をたくさんお伺いできました。
「結婚した女性を雇うと我が社が倒産する」なんて言葉が雇用主から当然のように発せられた時代。
地元のテレビ局では、「女性の天職は家事と育児であり、30歳は育児適齢期である」という理由により、女性社員は30代で定年、という今では信じられない制度が平気でまかり通っていたとか。
他にも、
・男性の方が昇格し女性は昇格しない
・家族手当や交通費の差別
・女性55歳の体力は男性60歳と同じ
そんな意識が当然だった時代もあったそうで、しかしこれは今でもあちこちでまだ見かける現象かもしれないなあと感じたりもして。
性別分業制に対する根強い意識は、言葉には出さなくても未だに多くの人の意識に残っていそうですよね。
先生は、
妊娠・出産は女性の生理的なものだけれど、育児は男女共同でできること(育児の適性は女性の天性のものではない)という女子差別撤廃条約の考え方にも触れ、また、条約ができてから2~3年後に「男性の育児休暇」を提案したら学会の男性たちから大爆笑されたことにも触れ、差別のない社会を作ることの難しさや大切さについて分かりやすく教えてくださいました。
未だに妊産婦や授乳期の母親に対しての特別視や、パートタイム労働者に対する差別など、身近なところであらゆるハラスメントが横行しています。
差別と戦い続けてくださった大脇先生の意思を汲み、私自身も強い気持ちを持って職務に励んでいこうと励まされたのでした。
続いて、圷先生の講演。
マタハラNetのサポートや、マタハラ関連の講演・執筆などを通じて女性と労働について精力的に活動していらっしゃる先生のお話、とても興味深かったです。
かつて妊婦でいらっしゃったご自身の経験も踏まえながら、広島事件の内容や均等法のことなどをご説明くださり、今私たちが置かれている状況や、これから私たちがどうすべきかについて一緒に考えてくださいました。
まだまだお若い圷先生の姿に私も勇気付けられ、先生とともに良い社会を作っていきたいという気持ちになりました。
先生のお言葉で心に残ったことは、「女性活躍というけれど、女性の皆が皆、【活躍】しなければいけないのか?」という問いかけ。
何をもって活躍というのか自体も曖昧ですが、社会に出てキャリアを積み、高所得者になることだけが【活躍】ではないはず。
かつて戦時中、多くの女性が労働力として工場などに駆り立てられた時代もあったものですが、少子化で労働力が減った今、同じように国家の強制力で女性たちが【活躍】に駆り立てられているような気がしてなりません。
人の生き方は、個人の自由のはずです。
何者かがどう生きるかということの是非を決めたり、介入すべきではないのです。
女性は社会の道具ではありません。
戦争や少子化で労働力が減れば都合よく労働力に、高度成長期のように男性が長時間労働してくれるときは家に押し込めて専業主婦に、なんて、国家が女性を利用すべきものではないのです(もちろん男性も同じですが)。
誰もが労働の選択肢を増やし、生き生きと働ける世の中にしたい。
そんな想いを、圷先生の話を聞きながら新たにした私です。
ワールドカフェで和気藹々と盛り上がった後は、圷先生も一緒に夕食をいただきました。
今回のフォーラムには長女も参加しました。
託児がうまくいかなかったという個人的理由もありましたが、もともと長女にもディーセントワークやフェミニズムについて学んでほしいという思いもあり、周りの皆様のご好意によって一員に加えさせていただきました。
本人も感じるところがあったようです。
親子でたくさん学んで、幸せな未来を次世代にしっかりバトンタッチしていけるよう、今後も努力していきたいなと思いました。
忙しい毎日に時にへこたれそうなワーキング・マザー・デイズですが(笑)…負けずに、諦めずに、楽しく頑張っていきたいです。
■ 松竹 梅子 ■
この事業は、「きんとう基金」から助成をうけ実施いたしました。
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