旅立ちのデザイン帖 あなたらしい“終活”のガイドブック
NPO法人ライフデザインセンター 編著
亜紀書房 発行
2016年9月 発行
「あなたはどんな人生の締めくくりを考えていますか?」なんて、今だから聞けるけれど、これまでの社会では、死を語ることはタブー。「縁起でもない」と忌み嫌われていた。『旅立ちのデザイン帖』は、「年金について」、「財産の管理や計画について」、「リバースモーゲージについて」、「相続について」、「遺言について」、「在宅医療・緩和ケアについて」等々、あなたらしく人生のしまい方を考えるための情報が、至れり尽くせりぎっしりとつまっている。「なにもいま考えなくても・・」なんて言ってられない。「こんなはずじゃなかった」と嘆いても、そう。もう遅い。死亡率100%。死はいつやってくるか、だれひとり予測できない。豊かに人生を生きていくためにも生前準備と心の準備をしておこう。
ベストセラーになった『おひとりさまの老後』(法研、2007年/文春文庫 2011年)や『おひとりさまの最期』(朝日新聞出版、2015年)、『上野千鶴子が聞く小笠原先生、ひとりで家で死ねますか』(朝日新聞出版 2013年)など、医療・看護・介護の現場を取材し、その研究に明るい上野さんは、第2章「老」にエッセイを寄せている。タイトル「他人さまのお世話になるために」は、安心して他人さまに自分の生も死もゆだるために、準備をしようということ。人口減少社会、超高齢社会を迎えた日本。だれにもゆっくり老い衰える時がやってくる。「だから老い衰える、ということは、どうやって他人に助けを求めるか、という作法と技法とつながっている。」(本文p.118)と上野さんは言う。
安心して他人さまのお世話になるしくみやしかけをつくり、自分では思うようにならなくなった自分の弱さを受け入れ、どう生きたいか。どこで死にたいか。だれにそばにいてほしいか、を考える。
いまを大切に自分らしく生きるために、未来の自分に贈るpresent。
堀 紀美子
2016.10.30 Sun