2017年2月18日土曜日、名古屋市内にある愛知女性総合センター・ウィルあいちにて行われた、主題のセミナーに参加した。
参加のきっかけは、定期的に参加しているNPO法人参画プラネット主催の【読書会あいち】において、今月の課外活動としてこのセミナーを受講する事となったからであるが、このような有意義なセミナーへの参加のきっかけを与えていただいたことにまず謝辞を述べたい。 
以下、セミナーの感想を記そうと思う。

セミナー講師の萩原なつ子先生は、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科・教授であり、また、認定特定非営利活動法人日本NPOセンター副代表理事でもいらっしゃるという、とても素晴らしい経歴の持ち主であるにもかかわらず、とても気さくでユニークな方であった。
セミナー全体の時間は2時間30分であったが、その間、有名な歌の曲に地域活性化をモチーフとした歌詞を乗せた、所謂「替え歌」を参加者で歌ったり、また、猿や虎の写真からその背景や意図をクイズ形式で読み解いて行くなど、全く退屈することのない変化に富んだ時間を過ごす事ができ、「お勉強」というよりは楽しいイベントに参加できたような、そんな印象であった。
そのような時間を過ごせたのはひとえに、荻原先生の講師力、そしてユニークで温かい人間性のなせる技だと思う。

では、楽しいばかりの時間であったかと言えば決してそうではなく、セミナーを通じて必要な知識や充実感を得る事が出来た。

地域活性化の実現には、旧来の男性的資質に加え、女性的資質(共感や参加型、相手を尊重する心)が重要である、という視点に触れた部分では、変化が予想され方向性を予想し難い21世紀社会において、柔軟性や理解といった能力が求められる中で、かつての日本社会を支配していた男性的資質、すなわち、競争、管理、統制、無謀なリスクを好む傾向だけでは対応しきれないということがよく理解できた。ちなみにここで先生が述べている男性的・女性的という言葉は、単に生物学的な男女のことを現しているのではなく、誰もが持ち得ている精神的資質の二面性を現す便宜上の単語である。それらの単語は、21世紀型社会を形成していくために重要な人材について述べる上で、男性だけ、あるいは女性だけが核になるということはなく、むしろ誰もが参加でき、そして関われるという可能性を示唆しているように感じられる。どの人の心にも男性的な部分、女性的な部分が存在するのであれば、時代に合わせて自分の精神のあり方をコントロールする事で誰もが主体的に未来づくりに関われるのではないだろうか。それは未来に全ての人が希望を抱ける、とても前向きな考え方だと感じ、思わず嬉しくなる。

そうした話の他にも、市民の主体性の大切さ、男女共同参画社会の実現の重要性を具体的なエピソードを交え紹介していただき、また、中でも消滅可能性都市として挙げられている東京都豊島区での活動実例は非常に興味深いものがあった。市政、区政に関わる人間でなくても、一人の市民として、こうした区を挙げて自分たちの住む地域の危機に対して取り組んだユニークな活動、そしてその活動に多くの市民を巻き込んで目に見える結果を残したという例は、面白く、また、大いに参考になるものだと感じた。

さて、セミナーの時間の中にはワールドカフェの時間も組み込まれており、ここでは模造紙と付箋紙を使って参加社全体で地域活性化に付いて活発な意見を交わす事が出来た。
その中で私が得た結論は、地域活性化は【明日からでも即取り組んでいける、地域住民一人ひとりの主体的な活動に支えられている】というものであった。ワールドカフェで多く出た意見、「明日からでも地域に溶け込み、絆を深めるためにまず挨拶を実践したい」「地域に興味を持ち、活動に積極的に参加していく気持ちを持ちたい」というささやかな取り組みのひとつひとつがきっかけとなって、活発で生き生きとした地域を作り上げていくのだと感じ取る事が出来た。

以上、セミナーの感想を思いつくままに述べたが、このセミナーで学んだ事を活かし、私自身も地域住民として地域の活性化に興味と関心を持ち、また、活性化のためのアイディアを主体的に提案できるように、今後地域活動に取り組んでいきたい。地域が活性化し、生き生きしていく事こそが、性別や年齢を超えて皆が幸せに生きられる未来の基礎となり得ると信じている。その基礎づくりの一端として、自分も関われたらという気持ちを強める事が出来た。

そして、こうした気持ちに繋がる知識とヒントを与えてくれた今回のセミナーに参加できたことにとても感謝している。

余談ですが、萩原先生は今回喉を痛めてしまっていたとのことで、喉の苦しい中長い時間楽しいセミナーを開催していただいた事、とても有り難く思うとともに、次回お会いするときには素敵な美声をお聴かせ願いたいな、と願ってます。ありがとうございました。

■ 森 智香子 ■