今年(2017年)1月末から2月初旬にかけ、外務省の「Juntos!!中南米対日理解促進交流プログラム」でアルゼンチンを訪問しました。このプログラムは、日本とアルゼンチンの友好関係の強化と、アルゼンチンをはじめとする中南米の日系人(日本から移住し、その礎を築いた人々とその師弟たち)との交流促進に寄与する若手人材の育成を目指すもので、日本からの派遣は初の試みです。
在アルゼンチン日本大使館にて。調査に関し、福嶌教輝大使(左から4人目)並びに西大千恵子一等書記官から貴重なアドバイスをいただきました(著者は写真中央、左から5人目)。
私は過去にブラジルとペルーでの生活経験があり、幼少の頃から、中南米の日系社会と非常に関係の深い状況で育ってきました。現在、中南米には約210万人(注意:オリエンテーションでの外務省側発表による)の日系人が生活しており、アルゼンチンには約6万5千人が暮らしています。滞在中は、主要な日系関連団体や独立行政法人国際協力機構(JICA)の事業を、毎日4カ所ほど視察するというハードなものでした。しかし、その多くが自身のバックグラウンドと比較しながらの視察であったため、私には大変有意義なものになりました。
アルゼンチン日系センター(アルゼンチンの社会を盛り上げ、日本とアルゼンチンの架け橋となるための取り組みを行っている若手日系リーダーの団体)にて。中南米全土にネットワーク持ち、多くの若者が、互いに切磋琢磨しながら頑張っています。右端の外間(ホカマ)ヒカルドさんもその一人(右から2人目、前列が筆者)。
この派遣で、私は、いくつかの調査を考えていました。その一つが、世界経済フォーラムが発表した「男女平等ランキング(ジェンダーギャップ指数、2016年版)」で、33位のアルゼンチンでは、女性がどのような活躍を繰り広げているのかを確かめるということでした。
ちなみに、このホームページをご覧のみなさんは、この統計で日本が何位だったのかをご存知でしょうか?

ジェンダーギャップ指数に関する紹介やランキングは、世界経済フォーラムHP(Http://reports.weforum.org/global-gender-gap-report-2016/)から確認できます。
平成27年(2015年)、働く場所で活躍したいという希望を持つ全ての女性のために、自らの個性と能力を十分に発揮できる場を提供することを目的に、日本では「女性活躍推進法」が成立しました。この法律は国の調査により、結婚・出産・雇用形態・出世への壁などを理由に、働きたくても働けない、或いは、働きたい就業状況で働くことができない女性が約300万人もいることが判明し、女性の活躍推進を企業に実施させることを意図に考案されました。背景には、少子化による人口減少のために、激減する労働者人口を食い止めることや、社会保障の安定のための納税者を確保として女性に目が向けられたことがあります。ところが、本法は10年の時限立法であるため、専門家の中には社会での浸透率を疑問視する声が出ています。また、「働く場所で活躍したい女性の法律」であるために、家事労働や子育てに勤しむ女性は対象外という点が差別だと言う声も上がっています。

「女性活躍推進法」の詳細は、http://www.gender.go.jp/policy/suishin_law/ に掲載されています。
男女平等ランキングで、日本は144カ国中の111位。前年度(2015年)よりも順位を10も下げており、女性の活躍推進が思うようには進んでいないことが顕著に表れています。
「ランキングが後退した原因は何か。また、本来なら躍進すべきはずの法案が、足踏みをしているように感じられるのは何故か」。
今年初めまで近畿圏で男女共同参画にたずさわっていた私は、壮大な取り組みを行う現場が、非常に閉鎖的で非グローバルであることを知ります。男女共同参画を底辺で支えているのは「非正規」、いわば、有期雇用の立場で働く女性です。そんな彼女たちに話を伺うと、誰もが「志と希望を胸にたずさわったはずなのに……」と、何処か苦しそうに返答する姿が印象的でした。また、関西圏で男女共同参画に関する情報を探す度に感じたのは、日本の男女共同参画の比較対象は、どれも英語圏(ジェンダー論発祥地のオーストラリアや、フェミニズム運動の先駆となったイギリス・アメリカなど)に目が向けられたままで、時が止まっているということです。「女性が生きやすく、働きやすい社会」を考えることからスタートしたはずの男女共同参画ですが、その現場ですら、人が人として、心豊かに生きられる開かれた社会からは遠い場所にあるように見受けられます。
アルゼンチン首都、ブエノスアイレスにて。ファン・ペロン(第29・41代アルゼンチン大統領)の妻エビータ(本名:エバ・ペロン)のシルエットが描かれたビル。滞在中は綺麗な青空が広がっていた。
アルゼンチン首都、ブエノスアイレスにて。多くの方々との交流により、ブラジル・ペルーに次ぐ故郷がまた一つ増えました(街のシンボル、オベリスコと著者)。
私のアルゼンチン報告を通し、少しでも多くの人々に元気(活力)をお届けできればと考えています。男女共同参画にたずさわる方が、自らの取り組みに対し、再び希望を取り戻すきっかけにつながることを願い、また、今まで男女共同参画に関心を持たなかった人には、違った方向から興味を抱いてくださればと思っています。(つづく)
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