主催:WAN上野ゼミ
協力:W-WAN
◆報告者:ニコラス・フェニグ
トロント大学人類学科大学院生。現在は横浜市立大学の都市イノベーション学府客員教授。専門は社会人類学、日本民族誌学。家族や子育てなどをテーマに調査研究に従事。
◆司会:俵晶子(W-WAN)
◆日時:9月23日(金)18:30~20:30
◆場所:武蔵野市「かたらいの道・市民スペース」

◆概要
日本の出生率低下は、政府にとってほぼ二十年来の悩みとなっている。女性に出産を奨励するため、保育や産休の改革など多数の方策がとられてきたが、どのプランもこれまでのところほとんど成功していない。 2010年には厚生労働省が父親たちに働きかけ、企業の責任を振り切って積極的な子育て役を担ってもらおうと、「イクメンプロジェクト」を起ち上げた。そのプロジェクト発足に至るまでの何年かの間に、草の根のイクメンNPOが日本全国に広がっており、その趨勢に乗じて「イクメンプロジェクト」は構想された。そのようなグループが、育児のヒントを分かち合い心情的に支え合い、時には一杯やりながら、献身的な父親たちのコミュニティを育んできたのだ。
NPO活動に関わる父親たちは、自分の家族や父親団体、また日本社会に対する責任をどのように理解しているのか? イクメン運動は、これまでどのように進化し、どのような課題に直面しているのか? そうした活動を行っている父親たちは、「イクメンプロジェクト」という政府のより大きなヴィジョンのどこに位置づけられるのか? 今の日本において、父であるということはどのような意味をもつのか?
  今回の報告では、博士論文プロジェクトの一環として行ったインタビュー調査のデータを用いながら、上記の問いに答えてみたい。