2012年に改正された労働契約法では、有期契約を繰り返して5年を超えれば無期契約に転換できる制度が盛り込まれた。改正法が施行されてから5年になるこの2018年4月には、無期転換の資格を得た労働者が申し出れば、雇用主はそれを承諾しなければならなくなる。(労契法18条)
労働者にとって有利に見える制度が周知徹底されていない現状の中で、期限直前になって
① 有期雇用者が突然、契約打ち切りの通告を受ける、
② 使用者が契約に上限を定めて、有期雇用者の無期転換をまぬかれようとする
事例が相次いでいるという。
 
1月27日(土)・28日(日)に“NPO法人派遣労働ネットワーク”と“全国ユニオン” が共同で行った電話相談「雇い止めホットライン」には、二日間で109件の相談が寄せられた。

2月22日(木)18:00からは、真のポジティブアクション法の実現を目指すネットワーク(ポジネット)主催で、『これが女性活躍なのか!?—派遣法、〈2018年の壁〉を問い直す—』と銘打って、衆議院第一議員会館多目的ホールで緊急集会が開かれた。
 ご本人の承諾を受け、当日読み上げられた当事者の声明文のうち、お一方について、全文、転載させていただく。
転載ここから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
島津葉子と申します。
 私は、昨年9月15日、長年働いてたメルスモン製薬株式会社から、突然雇い止めされました。 2003年から14年間、契約も20回更新し、仕事の内容も正社員と変わらずに頑張ってきたのに 単に契約が有期雇用という事で、若い人を入れたいという事で、切り捨てられたのです。

私だってメルスモン製薬に入った頃は30代で若かったんですよ?
14年も働けば、誰だって50才になります。
ですけれど、正社員は再雇用も含めて65才まで働けるのに、
半年に一度、契約書を交わす事以外、日々の業務は正社員と変わらず働いているのに、
私だけ何故、辞めさせられなければならないのでしょうか。

「申し訳ないんだけど、次の契約更新はしない事になった。」
上司にそう言われた時、
私は最初、何を言われているのか、分かりませんでした。
数秒後に、
「あなたは9月15日でクビですよ。」
という意味だと、やっと気付き、そして、あまりのショックで目の前が真っ暗になって、
唇が震え出して、止める事が出来ませんでした。
私は、もっと会社で働きたいと、働かせてくださいとお願いしました。
この歳で突然放り出されても、まともな仕事に就けないので本当に困ると訴えました。
しかし面談した取締役は、「もう決まった事だから。」の一言で、一切聞き入れてくれませんでした。

14年前、メルスモン製薬に就職した頃は夫もいましたし、
家計の足しになればいいという位の気持ちで、パートとして働き始めました。
その頃の仕事内容は発送作業などの軽作業でした。
しかし所属する営業所で、事務をしていた正社員の方の退職や異動などで、
作業の仕事から事務の仕事に変わりました。
業務に支障がきたさない様に、必ず事務作業を出来る人間が、2人になるようにしていました。
先程も申し上げました様に、私が就職した頃事務職をしていた2人の方は、正社員です。
その内の1人が退職した後に、私が事務に入りました。
その後、もう1人の方は本社に異動になり、代わりに1人正社員の方が事務に入りました。
しかしその方は、入院される事も多く、2人で行うべき業務をその頃、私1人で必死にやっておりました。
こんな言い方はしたくはありませんが、その頃にもし私が居なかったら大変な事になっていたと思います。
ですが会社は見て見ぬ振りをして、私をパート雇用のままで働かせていました。
今思えば、私はそこにも不満を感じています。

10年以上も経つと自分自身も環境も変わってきます。
初めは家計の足しに位の気持ちで始めた仕事でしたが、業務も変わり、やり甲斐を感じる様になり、 自分自身にも欲が出てきて、もっと会社に貢献したいし評価してもらいたいと思うようになりました。
そして何より、離婚も経験し、今は誰も頼る人はいないので、自分自身頑張って働いて行きたいと強く思っています。
しかし会社は何も評価はしてくれませんでした。

会社側のもう一つの理由としては、行政もだんだん厳しくなってきているので
現在2人いる登録販売者という資格を持っている従業員をもう1人増やしたいとの事でした。
確かに現在、私は登録販売者の資格はないですが、頑張って勉強をして資格を取得すれば、
問題ないのではないかと主張しました。ですが会社側ははっきり
「パートに研修は考えていない。これは会社の方針だ。」と言いました。

ちなみに私の在籍中に募集を始め、私と入れ代わりに職場に入った方は
登録販売者の資格を持っていて、正社員として働いているそうです。

これまでお話ししてきた内容で分かりますように、
私のしていた事務の仕事は、私以外は全て正社員が行なっています。
でも、パートで入った私は、どんなに会社に貢献しようが、
あくまでも非正規の有期契約、それ以上でも以下でもない、
必要なくなれば契約を更新しないで切り捨てられる、そういった存在でしかありません。

途方に暮れた私は労働局に相談し、助言という制度を利用しました。
労働局から助言を受けた会社は、渋々契約更新を提案してきましたが、
期間は9/16から6ヶ月間の今年の3/15までで、
次の更新はしない。という一言が入った契約書でした。
当然私は受け入れられないと拒否しました。

7月に次の更新はしないと言い渡されてから、
勤務している間中、
「もうすぐクビになる。」
という事が頭から離れず、手の震え、動悸が止まらない状態が
1ヶ月以上続いて、精神的に参ってきていました。
もし、次の契約を一回更新したとしても、
無期転換ルールが適用される前までなので、結局、切られる事になります。
そんな契約を誰が納得するでしょうか?

そして私は2017年9月、全国一般東京東部労働組合に加入し、
メルスモン製薬と闘っていく決意を固めました。
これまで2017年9月、10月、11月、12月と、4回の団体交渉を行いましたが
会社側はこちらの主張である、雇い止め解雇撤回・職場復帰を未だ受け入れず平行線のままです。
池袋西口に構える、メルスモン製薬、本社社前において、10月、11月と、2回に渡り、抗議アピール・申し入れ行動を行ないましたが、会社は入り口を固く閉じ、私達を入れる事もしませんでした。
そんな酷い仕打ちをするメルスモン製薬を、私は絶対許す事が出来ません。

私の闘いを職場の同僚や地域の方に訴える為、
自社の川口工場前や、営業所前、最寄りの川口駅前にて、ビラ配りもしました。

そして2018年1/29、東京地方裁判所に労働審判の申し立てを行いました。
司法の場でも闘っていく決意を、同日、厚生労働記者会にて記者会見を行い、
強く強く、表明いたしました。
そのような大それた行動を、自分が出来ているのは、労働組合の仲間の強い団結があったからこそです。
これからも、決して屈する事なく闘い、必ず勝利を勝ち取っていきます。

これから、第1回労働審判が3/14(水)午後2時30分に行われます。
審判に向かう前に、裁判所前にて決意表明を行いますので、是非、多くの皆さまにお集まり頂き、力にしていきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
転載ここまで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・