【WANシンポジウム2018@よこはま・プレ企画】として、2018年2月19日、
基調講演の講師―又木京子さん(社会福祉法人藤雪会理事長)のお話しを伺いに、
上野千鶴子さんはじめとするWANの仲間9人が、厚木市へと向かいました。
「働く女性を支援する施設をつくってほしい」
28年前に、本厚木駅から徒歩4分の土地の寄付を受けできた社会福祉法人藤雪会、
現在17となる施設を統括なさっているのが又木さんです。
「あったらいいな」と家族や仲間が思うサービスや施設を作りたくなったという又木さん。
ここにも「当事者」から生まれたケアがありました。
本厚木駅に迎えに来てくださった車は
藤雪会から生まれた移動サービスを行うNPOキャリージョイのバン。
座席は車椅子を固定している席もあったので座ってみました。
あれ、思ったより座り心地がいい。
固定され安定し、背筋も真っ直ぐになる。
高齢者施設への送迎、その合間にはデイ・サービス等にお弁当を運ぶ、など
キャリージョイも様々な法人と繋がっています。
その車中で聞いた印象的な又木さんの言葉は
「法人は17あるが(傘下ということではなく)事業と事業で繋がっている。
小さくてもいいから何となくでもいいから繋がっている」ということでした。
事務、本部機能はなく、又木さん、及び都度のプロジェクトで機能しているとのことでした。
これで1500万円は違うとのこと。
*****
ここから保育園VIVI、デイルームとんとん、
日本語教室、学童保育なないろのたね(NPO子ども未来塾)という
関係団体が入るマンションへ。
同じマンションの中に作られている法人は移動しやすく
さしずめ2世帯ならぬ数世帯家族の様でありました。
「保育園VIVI」は小泉政権時代の待機児童問題における4つの規制緩和をもって作られた第1号の保育園です。
職員確保は「ご紹介」が定着という意味で確実であり労使お互い安心するとのことです。
もし、人が足りない時は一時保育を一旦止めるという方法でここまできているそうです。
これはマニュアルでない女性らしい柔軟なアイディアと感じました。
藤雪会自体が法人を増やすことを目的とはせず、働く人が働きやすい環境を作ってきた結果
職員が離職しないとなっているのでないでしょうか。
結果そこに集う子どもや高齢者、が増え計らずしも法人が増えていったようにお見受けし、そこに愛という根をみました。
ここでの印象的な言葉
「職員が集まらないのは辺鄙な所に施設があるからで、
そこをクリアするのがこれからの福祉の人材不足を解消する大切なことですよ」
この点を意識しない施設が多すぎる、とのこと。
自分軸ではなく利用者、その家族軸で考えていくことが
これからの福祉に不可欠と実感しました。
上野さんから又木さんへ
「収入に関して人件費率はどのくらいですか?」
という質問がありました。
迷いなく答えていただいき
「60~70%です」
上野さんも
「それは高いですね」
とのことでした。
人を大切にしている象徴の数字でした。
(独り言:初めての福祉施設への訪問で伺った人権費率。他の施設はどのくらいの数字なんだろうか?)
次は、児童発達支援をしている「デイルームとんとん」。
ここは障がい児のお母さんが当事者としてつくった施設とのことです。
学童保育の「なないろのたね」は学童でありながら障がい児も受け入れています。
“障がい児童がいると働きにくい環境”にアプローチしているこのグループの行動は
障がい児子育てを考える必要がある日本にとって示唆に富むものでありました。
因みに夏休みのお弁当は、障がい者がつくる子ども食堂からとっているそうです。
それを運ぶのが先に話したNPOキャリージョイです。
ここに「事業と事業で繋がっていく」という又木さん言葉を具体化した形の一つです。

[ 学童ではお習字も教えていただけます ]
次に行った「ボランティアの日本語教室」は同じマンションの一室で行われていました。
ベトナムとタイの方がマンツーマンで教わっている最中でした。
在日が長い方達ながらもさらに学ぶ姿勢は見習いたいものでした。
(Part2に続く)
■ WANボランティア 早川瑞 ■
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