WANシンポジウム2018@よこはま・プレ企画として、2018年2月19日、
基調講演の講師―又木京子さん(社会福祉法人藤雪会理事長)のお話しを伺いに、
上野千鶴子さんはじめとするWANの仲間9人が、厚木市へと向かいました。
離職率が低い!高齢者施設
次に車で移動したのは高齢者施設「ポポロ戸室」。
ここは昔、日産の独身寮だったとのことです。
ちょうどランチの時間でした。
案内してくれたのは障がいがあるという若年の男性。
誰よりも動いて、気を使って、生き生きとお仕事をしていました。
こうして労働も生み出し各年齢層が生活をしていく糧がうまれる空間でした。

ここで私たちも皆さんと一緒の内容のお食事をいただく事となりました。栄養満点サラダ(きゅうり、チーカマ、卵、等が小さくカット)、煮豆、大きめのバラ豚肉とお野菜の煮物、ご飯、お味噌汁、オレンジ、(それと上野さんから頂いた秘密のフリカケ!)をいただきました。 美味しい! 上野さんが「美味しい、ということは味が濃くありませんか?」との問い。答えはイエスとのことでした。よくある高齢者食は味が薄く、素人としてはそれは仕方がない、諦める事項と思っていました。 「食」に力を入れている藤雪会だけに味も妥協しない。ここにいるときは美味しさを優先しますし、食材も生活クラブのものだそうです。

【独り言:この辺りから、真剣に両親はもし施設に入りたいと言ったときの候補として個人的に考え始めたことは否めないです】
またここも離職率は低いそうです。福祉の常識がここでも覆されました。グループ内の離職率が低いのは個人の力ではなく、皆んなで作ろうという形であり、また個々を大切にしているからです。例えば6人から9人預かると収支としてはトントンから利益がでるレベルとなりますが6人でいいとしている点、9人だと預かることはできるが職員も疲弊してサービスが行き届かない、6人だと物理的にも職員の労働的にもゆったりとお預かりできる、それでいいとしている、とのことでした。
限界の預かり数、シフト組んで疲弊してく日本社会の福祉、ここ藤雪会は本来の姿を取り戻させるきっかけとものがあるのではないでしょうか。
「自分がやっている仕事があとで繋がっていると感じる。(ゆるくでも)未来に繋がっていけばいい」との又木さんの言葉も印象的でした。
そして、資金は?
ここで上野さんの質問から資金の話となりました。
又木さん曰く個人で借り入れして作ってきたようなもの。
10万円〜2,000万円まで、合計数億円を借りてきたが
全て10万円以上の借入金には0.5〜1%の利子をつけて返したそうです。
上野さん曰くの「4億円のお金を担保できる女性」とキャッチコピーができていました。
ここでオレオレ詐欺の話になりましたが、まさに担保なしで借りるので
「今でいうならオレオレ詐欺。それの行為がまかり通らなかったらかりられなかった」との笑い話しもでていました。
利益がでても40%は税金。
その他引いて返すならば、100%返すのに150%売り上げないとダメとのことです。
職員がお金を出し合い修繕などに使う事も意識している。
社会福祉法人としての理念にも「寄付社会を作る=ファンドレイジング」ということがある。
職員がお金を貯め、働くだけではなく社会貢献をしているという意識が生まれるとのこと。
そこには税制的にも「税額控除法人」に認定されており
寄付をしたひとが40%の所得税控除が受けられるようになっており、
寄付をした人の心もまた税制面でも満足を得られる形になっていました。
又木さんは数字に強くご自身の頭で考え全て回しているそう。
「移動するひとり本部」とのことでした。
上野さんは「後継者」について心配していました。
そう、後継者については後半担当の吉野さんが記してくださるので任せることします。
【独り言:ここででた話ですが「女性がお金をだせる文化だからオレオレ詐欺成立する。日本は珍しい」とのこと。
上野さんがここで「オレオレ詐欺はあるが、娘を装う詐欺は少ない。息子と母の関係に何かが・・」
というところで話が途切れましたがこの見解を伺いたかったです】
「人」の話もでてきました。
「人材」と「人手」は違う、「人手」は集まる、夜勤は集めるのが大変とのことでした。
職員募集が大きな仕事で、介護職が女性職なのは賃金が低いからとのことです。
こちらの高齢者施設のパート労働者も103万以下を望むそうです。
ここにも扶養控除の弊害を目の当たりにした形です。
現在、老人ホームは競争社会で、稼働は8〜9割とのこと。
特養のみ競争があるとのことです。
最近の高齢者の特徴は認知症の独居が増えており、
本人は困っていませんがここまでの状態で1人暮らしという事に驚く状態に出会うこともあるそうです。
トイレが出来ればなんとか一人で暮らせるとのことでした。
「尊厳」を鑑みると大きな一線に思えました。
お食事とお話が終わり移動することになり、1階に移動すると
そこには先ほど寄せていただいた「ケアセンターあさひ」の水越さんたちがいらしていた。
ここにも協働をまた垣間見ました。
わたしたちも、買い物しました。
次に車で移動したのはNPO「We Shop」である。
完全にボランティアでなりたっている20周年を迎えた団体です。
リサイクル、フェアトレードで収入を得ている。県内53店舗。寄付はもちろんであるがバックヤードでは韓国語教室、また、通信制の高校生の研修を引き受けているとのことでした。高校生にご挨拶をすると、はにかみながらも挨拶をしてくれました。この施設はこの子たちの未来も紡いでいる事を感じました。
代表の方いわく「人間がとにかく繋がればいい」とのおもいからやっているとの事でした。シンプルな言葉に全てが収められていました。
ここを後に最後の訪問ポポロ本厚木に向かいました。
ここから先は吉野さんのレポートとなります。
このレポートを書きながら、いただいた藤雪会のパンフレットを読んでいました。
表紙に書かれていたコピーにふと目がとまりました。
「生きるってたのしい」
コレだ!
赤ちゃんからお看取りまで、「人・福祉」と必要なものを作っていらしたのは
つまりこれを周りが、ご自身たちが「感じる」からここまでやっていらしたのではないでしょうか。
生きることの側に寄り添う。
帰りには高齢者施設に全く知識がないので費用など誰がどう払うのか、など質問をしていた私です。
もし、両親がもし施設に入る必要がでてきたら「心」がある所にいてほしい。
帰路にはすっかりこの藤雪会のファンになっていました。
又木さん、施設の皆様有難うございました。
余談ですが年上の友人に施設の事を話すと「そこに入りたい!詳しく教えて」とのこと。
皆が欲している高齢者施設をここにみました。
(吉野さんのPart4に続く)
■ WANボランティア 早川瑞 ■
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【WANシンポジウム2018@よこはま・プレ企画】基調講演講師・又木京子さん事業訪問レポート
★Part1
https://wan.or.jp/article/show/7729
★Part2
https://wan.or.jp/article/show/7737
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↓ ↓ ↓
https://wan.or.jp/article/show/7683
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