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小泉今日子著『小泉放談』
(宝島社 2017年12月発行)
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ずっと読んでいたい、と思える本に出合ったことはあるだろうか。
1982年、16歳でデビューし、アイドル・歌手・女優・文筆家として
活躍してきたキョンキョンこと、小泉今日子さんと、25名のゲストたちとの放談集。
さまざまな色を持ち、時代を生き抜いてきたゲストとの放談中に、傍聴人として立ち会う25回。
そのひとたび毎に感じる、心地よさはなんだろう。
例えるなら、爽やかな風に吹かれたような、瑞々しい新緑を眺めるような、
あたたかな光に包まれるような、
すこしひんやりと感じる清らかな水に指先を入れたような、
そんな感触。
だからまた、その感じや癒しを求めて、読み直しに行きたくなる。
そんな本に出合えた。
読み始める前は、内心、芸能人の過激な発言集なのでは?とも思っていた。
1966年2月4日生まれの小泉さんが、先輩方との対談で、
心と身体、どちらもいろいろある女50代をどう生きるかをテーマに、
ヒントや名言を引き出している。
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『ここからは、まず親を見送るっていう大仕事が待ってます。大きな仕事だけれど、それは学ぶ機会でもある。
「人間、こうやって衰えて、死んでいくのか」っていうことをね。はっきり言って、老いは美しくないです。
無様だし、だれもカッコよく、コロッとなんか死ねない。
(中略)
「それでもOKなんだ」って思えたら、いいんですよ。
歳をとるって、そういうことなんだと。』
(放談10 上野千鶴子 向かい風は、想定内)
まだまだ50歳にはほど遠いという人も、
ちょうど今!という人も、
その頃を振り返って眺めてみたいという人も、
心や身体がちょっとしんどいな、と感じてるなら、
気になるゲストの放談から覗いてみるといいと思う。
新鮮で柔らかなロールモデルを発掘し、
「そうか、この手でいけばいいんだ」と、
心と身体がフワッと軽くなる。
みんなそれぞれに通る道。
立ち止まってみてもいいんじゃない。
そっと背中を撫でてくれるから。
■ 堀 紀美子 ■