日本王権論 〈新装版〉

著者:網野 善彦

春秋社( 2014-05-21 )

日本の天皇制をめぐる問題に、
中世天皇制の考察を中心に網野善彦氏が歴史学の視角から、
近世・近代の民俗学の視点から宮田登氏が、
そして社会学の視点から上野千鶴子氏が討論を繰り広げる。

その道の専門家である宮田氏や網野氏と、
「身のほどをわきまえていればお断りするはずの、
この大それた企画」と言う上野さんとのバイタリティーあふれる鼎談。
「とうとう、やってしまった‥‥という
犯罪をおかしたあとの犯罪者みたいな心境です。」
と上野さんはあとがきでふりかえる。

2019年、天皇陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位が執り行われる。
即位日である5月1日と、
新天皇の即位を国内外に宣言する
「即位礼正殿(せいでん)の儀」が行われる10月22日が、
2019年に限って設けられる祝日となること、
元号を改める改元が私たちの関心の寄せるところだろうか。
天皇陛下の退位と、皇太子殿下の即位が同時に行われるのは、
江戸時代後期の光格天皇以来およそ200年ぶりで、
生涯、天皇であり続ける制度が導入された明治以降では
初めての天皇の退位が実現することになる。

天皇制とは何か?天皇制はなぜつぶれなかったのか?
いかにして存続したか?
日本の歴史にとって節目となるこの時代に生きているわたしたちにとって、
古代王権から現代の天皇制の問題を読み解く
多岐にわたる視角からの貴重な手掛かりがここに記されている。

■ 堀 紀美子 ■

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網野善彦 宮田登 上野千鶴子 著
『日本王権論』
(春秋社 2014年5月新装版発行)
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