1月から連載させていただくことになった「医学部入試における女性差別対策弁護団」のリレーエッセイ。2回目の今回は、弁護団の事務局をさせていただいている佐藤倫子(香川県弁護士会)です。

 前回のエッセイでお知らせしたように、2019年1月31日、弁護団での初めてのイベントである「ひとりひとりの『思い』をどう次に繋げるか〜みんなで考える『医学部入試問題』のこれから」を開催。雪の降るなかたくさんの方にご参加いただきました。

 昨年8月の東京医大医学部による女子学生差別が発覚したときの衝撃は、私にとってとても大きなものでした。こんな構造的な、こんなあからさまな女性差別がまだ日本にあったのだ、男女平等なんて表面だけで、その実、女性差別は岩盤のように強固に存在していたのだ、社会は、呼吸するごとく当然に女性差別をしていたのだ−。私は、その事実に本当に打ちのめされました。しかし、打ちのめされているだけではいけません。このまま終わらせてはいけない。
 医学部入試における女性差別は、そのニュース自体が、女子中高生や若い女性たちに対する「女子は頑張ってもどうせ無駄」という社会からの大きくネガティブなメッセージになりかねない。そうなることを払拭したい、性差別を許さない、私たちの未来のために闘うオトナもいるんだ、そう思ってもらいたい、そんな気持ちから、私はこの弁護団の結成に携わりました。私は、これまで社会的耳目を集めるような事件に携わることはありませんでしたが、今回は、いてもたってもいられなかった。雪のなかトークイベントに集まってくださった皆さんも、同じような気持ちだったのではないかと思います。

    

 スピーカーには、エッセイストとして活躍する小島慶子さん、医師として精力的に発信を続ける宋美玄さん、ジェンダー論を専門とする瀬地山角さんをパネリストにお迎えしました。
 女性医師の割合は、OECD加盟国において日本が最も低いという現状(2015年 20.4%)を確認したのち、瀬地山さんから、女子と教育の問題、すなわち、GGGI(グローバルジェンダーギャップ指数)中、日本の高等教育在学率は149カ国中103位であり、女子学生が「浪人してまで(あるいは地元を離れてまで)良い大学にいかなくても」というように、限界まで能力を試す、チャレンジするように育てられていない、教育投資されていない現状についての解説がありました。
 宋さんからは、医療業界側の視点で考えるのでなく、医療は誰のためのものなのか、患者のためのものではないのかという視点が必要である、弱者である患者に寄り添うためには「医師の多様性」が最も必要であるとの大変重要な指摘がありました。
 小島さんからは、大きく社会が変わってきており、声をあげる人が叩かれなくなりつつある状況、マスコミの役割の重要性、これからは相手と「対話」していくことが大切であるとの指摘など、沢山の示唆に富む発言をいただきました。
 また、このまま風化させないため、きちんと毎年各大学の入試をチェックしていく必要があるとの課題も確認できました。
 会場発言でも、女性医師、大学院生、医学部受験指導をしている方、研究者の方などが、それぞれの立場から実状や思いを語ってくださいました。今の状況を何とかしたいという気持ちに溢れた発言に胸が(時折目頭も)熱くなるととともに、弁護団に寄せていただいている期待の大きさに身が引き締まりました。

 この春には、いよいよ訴訟が始まります。弁護団では、今、訴訟提起に向けて準備に励んでいます。
 また、入試シーズンが終わろうとしていることから、弁護団は、2月26日、文部科学省に対し、各大学の2019年度入試が公正に行われているかを調査すること、特に男女別受験者数、合格者数、合格率を速やかに公表することなどを求める要請をしました( https://drive.google.com/file/d/1Il5k1NyT420dU1KF4h6nGnbp6C844lZH/view )。
 東京医大以外にも、順天堂、昭和、聖マリアンナなど、差別の実態がまだ詳らかになっていない大学が多数あります。決してこのまま風化させない、「逃げ得」を許さない。弁護団は、これからも頑張ります。

                                                (佐藤倫子)
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