「医学部入試における女性差別対策弁護団」のリレーエッセイ。3回目の今回は、弁護団事務局の櫻町直樹が担当します。

2018年8月に発覚した,東京医科大学の入学試験における不公正な選抜。

弁護団は,被害にあった女子受験生の代理人として,2018年10月以来,東京医科大学に成績開示や損害賠償を求めてきましたが,東京医科大学からは具体的な回答がないまま,今に至っています。

そこで,2019年3月22日,被害にあった女子受験生が東京医科大学に対して裁判を起こすことになり,33名の方が原告として参加することになりました。

弁護団メンバー。2018年11月23日に実施された当事者説明会にて。


「裁判を起こす」というのは,誰にとっても負担が大きいものです。まして,原告となる皆さんの多くは,医師となって医療現場に入っていく訳ですから,「目立つようなことはしたくない」という気持ちも大きかったのではないかと思います。

もし,私が同じような立場にいたら,はたして原告として裁判を起こす決意ができただろうかと思うと,今回,原告として参加された皆さんの勇気に,心からの敬意を表したいと思います。

その勇気が,これまで連綿と続いてきた女性に対する差別を打ち破る突破口となるよう,私たち弁護団も力を合わせ,この裁判をたたかっていきたいと考えています。

公正,公平であるべき入学試験において,「女性である」ことをもって一律に不利に扱われたということは,女子受験生の皆さんにとってはまさに「青天の霹靂」であり,東京医科大学がそのような不公正,不公平な選抜を行っていたことを知ったときの衝撃は,計り知れないものであったことでしょう。

東京医科大学の行為は,医師になるために一生懸命勉強に励んできた受験生の努力を無にするものであり,到底,許されるものではありません。

今回の裁判では,東京医科大学を受験したこと自体の慰謝料として, 原告ひとりあたり受験いち年度につき「200万円」を請求しています。
皆さんは,この金額を高いと感じるでしょうか。それとも,もっと高くてもよいと思われるでしょうか。

「性別」という,本人にとってコントロールできない要素に基づく差別であること,入学試験における選抜は公正,公平に実施されているという信頼を大きく裏切るものであることからすれば,決して高い金額ではない,と弁護団は考えています。

おりしも,米国でもスタンフォード大学などの名門大学において不正入試が行われていたことが発覚し,学生らが集団訴訟を提起して巨額の損害賠償を求めています(朝日新聞「名門大不合格、55兆円の損害賠償求め提訴 米不正入学」 https://www.asahi.com/articles/ASM3H569GM3HUHBI02X.html)。

入学試験における不正を抑止するためにも,相応の賠償義務が認められなければならない,と思います。
ひとりひとりが,自分のやりたいことに向かって努力し,その努力が正当に評価されるような社会でありたい。今回の裁判がその一助になるべく,私たち弁護団は活動していきます。

また,弁護団活動の大きな柱として,裁判のほかに,被害受験生(や保護者)の方を対象とした説明会(https://www.facebook.com/igakubu.sabetsu/posts/252117388791042),それから,前回のエッセイ(https://wan.or.jp/article/show/8263)で佐藤弁護士が書いていたトークイベント「ひとりひとりの『思い』をどう次に繋げるか〜みんなで考える『医学部入試問題』のこれから」(2019年1月31日)のような,教育や医療の分野における女性差別を考えるための企画を予定しています。
6月には,学者の方などをパネリストにお迎えしてシンポジウムを開催する予定です。こちらも,ぜひ足をお運びいただければと思います。

情報発信のため,これまでのフェイスブック(https://www.facebook.com/igakubu.sabetsu/),ツイッター(https://twitter.com/igakubujosei)に加えて,弁護団ウェブサイトをオープンしましたので,こちらもどうぞご覧ください。
「医学部入試における女性差別対策弁護団」ウェブサイト https://fairexam.net/

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