撮影:Deby Sucha

2019年3月8日の国際女性デーに「ウィメンズマーチ東京2019」を開催しました。このマーチは、性に基づく差別や暴力をなくしたいという思いをアピールすることを目的に、2017年の国際女性デーから取り組んでいるアクションです。今年は約450人が参加し、それぞれが手作りしたプラカードを掲げ、実行委員会で準備したコールをしながら、東京・渋谷の街を歩きました。

これまで実行委員会は、日常生活のなかで感じている「モヤモヤ」を声に出すことを大切にしてきました。例えば、コールには「賃金安くて マジでヤバイ」「セクハラ、パワハラ マジでヤバイ」「保育園落ちて マジでつらい」という文言を入れています。はっきりと何が問題なのかを認識することが難しくても「ヤバイ」「つらい」と感じていることは日常にたくさんあるのではないでしょうか。マーチの参加者と一緒にコールをしたり、掲げられたさまざまなプラカードを見たりすることを通して、日常で「嫌だ」と言えずに我慢していることや、「自分のせいだから仕方がない」と諦めていることは、実は社会的な構造や差別・暴力の問題であることに気がつくことができると思っています。

そして、今年は、そこから一歩踏み込んで、「NO」という意思表示をすることにも挑戦しました。例えば、「セクハラやめろ、パワハラやめろ」「暴力やめろ」「保育園増やせ」などをコールに入れています。職場、学校、家庭などさまざまな場所で、嫌なものを嫌と言ったり、「NO」という意思表示をする力を奪われている人は多いと思います。日常で意思を示すためのパワーを取り戻す機会にできたらと考えました。「言い方がきつい」と感じた人もいたようですが、女性に対して、やさしい物言いが求められること自体が問題だと思います。こうしたジェンダー・ステレオタイプを変えていくためにも、正当な要求をしっかりと意思表示できる表現にしました。

実行委員会がマーチ開催に向けて発表した声明では、あらゆる人権侵害に反対することを表明しています。例えば、戦時性暴力、在日外国人差別、沖縄の基地問題などは、人間が尊厳を持って生きることを妨げる問題であり、性に基づく差別や暴力と地続きの問題です。マーチを通してジェンダー平等を求める意味を、多くの人と共有したいと考えました。

そんななか、今年は準備段階で、トランスジェンダー差別を扇動するようなプラカードを持ってマーチに参加することを表明している人がいるという情報がありました。実行委員会メンバーが確認すると、ツイッターでは、トランスジェンダーへの偏見、差別が横行していることがわかりました。これを受けて、実行委員会は、マーチではトランスジェンダーへの差別的な言動を禁止する旨のツイートを流しています。このツイートについては様々な反応があり、困惑するようなものもありましたが、多くは賛同を表明するものでした。当日は、トランス差別的な言動は確認していません。むしろ、トランスジェンダーとの連帯を表明するプラカードをいくつも見かけたことには大きな力をもらいました。これからも、あらゆる差別に反対するフェミニズム運動に取り組んでいきたいです。

今年は開催資金を集めるために、クラウドファンディングにも挑戦しました。リターンとして準備したのは、オリジナルTシャツや女性支援を行っている国際NGOのフェアトレードのグッズです。公開と同時にたくさんのご支援をいただき、無事に目標を達成することができました。ご協力いただいた方々には本当にありがとうございました。

 毎年、国際女性デーには世界中でさまざまな取り組みが行われます。今年は、スペインで男女格差と性差別に反対する「フェミニスト・ストライキ」が行われ、530万人が参加したそうです。サウジアラビアでは、最近、女性たちが手にしたばかりのジョギングする権利を行使するジョギング大会が行われました。フィリピンでは、性差別的な発言を繰り返すドゥテルテ大統領への抗議デモに1000人を超える女性たちが集まったといいます。このように世界中でジェンダー平等を求めて行動する人たちと、東京からも連帯できたことに喜びを感じています。今後も、ジェンダー平等を求めて活動していきたいです。

マーチにご参加、ご協力いただいた方々に心から感謝します。ありがとうございました。

                             濱田すみれ/ウィメンズマーチ東京2019実行委員会

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動画:国際女性デー記念企画「ウィメンズマーチ東京2019」
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