弁護団の和田美香と申します。
今回は当弁護団が6月に開催したシンポジウムについて報告します。
6月22日(土)14時から東京ウィメンズプラザホールにおいてシンポジウム「ジェンダー平等こそ私たちの未来~医学部入試差別から考える~」を開催しました。
当日は,雨が降りしきる中,たくさんの方々にご参加いただきました。

●弁護団の活動概要とクラウドファンディング支援のお礼
このシンポジウムは,昨年末に行った当弁護団のクラウドファンディングのお礼と報告も兼ねて開催したものでした。
(昨年末のクラウドファンディングは,当初の目標金額の3倍近くのご支援をいただき成立しました。詳しくはこちらhttps://readyfor.jp/projects/lawyers)
そこで,シンポジウムの冒頭で,当弁護団から医学部入試差別問題が発覚して以降の当弁護団の活動とクラウドファンディングの経過,支援金の使途について説明し,また,クラウドファンディングの支援者からいただいた「応援コメント」を紹介して,当弁護団から支援者の皆様に対する感謝を伝えました。
●各登壇者からの報告
シンポジウムの本題に入り,まずは3名の登壇者からそれぞれ報告をいただきました。
・吉野一枝さん(産婦人科医・臨床心理士)の報告
一般社団法人日本女性医療者連合(JAMPhttp://www.jampwomen.jp/index.html)の理事でもある吉野一枝さんからは,女性医療者の現状について,医師国家試験合格者の男女比や,大学入試の学部別合格率の男女比,医学科教員の職位別男女比等の数値やグラフを用いた説明や男女問わず苛酷な働き方を求められる医療現場の現状についての報告があり,①過重労働・医師の犠牲の上に成り立つ医療制度の改革や,②医療界におけるダイバーシティの推進およびジェンダーハラスメントの根絶の必要について指摘されました。
・山口一男さん(シカゴ大学ライフ・ルイス記念特別社会学教授,シカゴ大学グラハムスクール理事)の報告
山口一男さんからは,各種データを根拠に2000年頃以降,入試における女性差別が多くの医大・医学部で行われた可能性が高いことが指摘されるとともに,日本の高度専門職や経営管理職登用に男女の機会の平等がなく女性が著しく少ないこと,その原因として考えられる日本における職場の問題,家庭の問題,教育・学校の問題についてそれぞれ指摘がなされました。
・辻村みよ子さん(明治大学専門職大学院法務研究科教授)の報告
辻村みよ子さんからは,入試における性差別について法学的・憲法的アプローチから報告がなされました。入試における性差別は,憲法14条1項,教育基本法4条1項,女性差別撤廃条約10条等に違反するもので,背景に医師の働き方の問題があるとしても,入試の性差別を正当化することはできないこと,募集要項に明記されていても,「(不合理な)差別」との指摘から逃れることはできないこと,入試差別の違法性の問題を曖昧にしたまま入試制度の裁量権の問題・妥当性の問題で終わらせてはならないことなどが指摘されました。
●パネルディスカッションと会場から寄せられた質問に対する回答
シンポジウムの後半では,当弁護団の佐藤倫子弁護士が司会を務め,3名の登壇者によるパネルディスカッション及び開場から寄せられた質問に対する回答が行われました。
パネルディスカッションでは,医学部不正入試について様々な疑問があるものの社会的機会の男女平等という重要な憲法上の価値を医療現場のマネジメントの話と同列に語って相対化すべきではないとの議論がなされました。また,医療の分野にとどまらず,政治,経済の分野において女性の参画が進んでいない状況に対しても,市民自身が声をあげて現状を変えていく活動がもっと求められること,その一環として今回の訴訟も重要であることが確認されました。

パネルディスカッションの様子(2019年6月22日)
●当日の参加者の声
シンポジウム終了後に参加者からいただいたアンケートでは,医師・研究者・憲法学者のそれぞれの観点から今回の問題のとらえ方について意見・報告を聞くことができ勉強になった,各分野の専門家の話を聞いて問題を深くとらえる機会となった,遠方から来たが参加して良かった,などの感想をいただいたほか,パネルディスカッションをもう少し長くやってほしかった,パネルディスカッションが駆け足になってしまい残念だったなどのご意見もいただきました。いただいたご意見については,今後の活動に生かしてまいりたいと考えております。
当弁護団では,今後も,シンポジウムの開催やSNSでの発信等を通して,係属中の訴訟の経過のみならず,ジェンダー平等に関する情報を発信してまいります。
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