2019年度国立女性教育会館(ヌエック)男女共同参画推進フォーラム 自由交流「性について語りませんか?」
2019.8.30(19:30~21:30)
主催:学生団体 Lotus(代表りか,副代表みき)
サポート:西山千恵子(和光大学女性学非常勤講師)
レポート作成:りか
◇学生団体 Lotus の活動、交流会について
学生団体 Lotus は、同世代(次世代)にフェミニズムを伝えていく。を活動理念とし、着々と準備を進めて参りましたが、和光大学で女性学の講義をして頂いている非常勤講師の西山先生の助言で、先日のヌエックでの夜の自由交流の時間に、交流会(二時間程度)「性について語りませんか」という名目で初の Lotus お披露目をしました。
「性について語りませんか」という大雑把なテーマにしたのは、「そんなに人数が集まらないだろうから、特定のテーマを決めないほうが来るほうも話しやすいのでは?」という運営側の想定でしたが、その想定は見事なまでに外れ、最終的には、会議室に入りきらないほどの人に集まって頂くことができました。
参加者は40代~の女性が多かったです。
■評価
・大量のチラシを配る、立食パーティーの場でスピーチをするなどして Lotus について、交流会についてしっかり告知することができた
・様々な目的をもった沢山の人に来ていただくことができた
・西山先生サポートのもと、交流会を進められたのでただの不満や、感情論で議論せず済んだ
■反省点
・もっと自信をもって挑むべきだった
・企画段階で人が集まったときのことも想定するべきだった
・自己紹介タイムが長すぎた
◇交流会内容
テーマ1)「性教育について」
日本は絶対的に性教育が足りない。
先生自体が性教育を受けていないこと、また、性教育を行う上で文科省からペニスや膣といったワードを使用せずに指導しろという、むちゃくちゃな指導があることなどが参加者から上げられた。
性教育は早急に必要であるにも関わらず、言葉すら確立されていない。
その根底には、女性の性がタブー視されていることが問題であるとし、そのこと自体がフェミニズム的に批判されるべきではないかなどの議論が行われた。
参加者のなかには、教員経験がある方も複数参加しており、教員経験がある女性からは、正しい性知識がない状態で、男子生徒が、AV などのフィクションの演出を鵜呑みにしているということも報告された。
さらに具体的な事例では、CM の影響で月経は青い水がでると本気で信じている男性が存在することや、日本人女性のセックス嫌いが話題に上がると、「性についてオープンに話せない社会の中で、ただのエロ話と性に対する豊かな知識というものが混同されている。
性のバリエーションのように暴力が語られている」といった声や、「日本は性の本音と建て前がすごく乖離している。中学の英語の辞書にはセックスと引くと、「男女の性」としか載っていないのに、一方ではスマホで無修正動画が観れる社会。街中には射精産業といわれる風俗店がたくさんあったり、ラブホテルもあるし、いつでもそうゆうことができる状態」との声も上がった。
性教育は満足にされず、正しい性知識がない状態で、間違った情報やコンテンツには簡単にアクセスが可能であり、場合によっては、買春までもが一つの男性の権利のごとく公に可能なこの社会。
さらには暴力的なメディアコンテンツによって間違った性知識を身に着け、それを後にパートナーなどの女性に実践することにより、二次被害、三次被害を引き起こしている。
性教育は男女ともに絶対的に必要なものであるし、自分の身体、互いの身体について知ることは必要だが、望まない妊娠や中絶はもとより、教育をしないことや暴力的なコンテンツの影響によって被害をまともに受けるのはいつも女性である。
しかし、性教育を満足に行わないことをはじめ、女性の性の尊厳が侵されていることに対して、フル無視レベルで問題視することを避け続ける社会は、女性の尊厳や権利がまだまだ保証されていない、守られていないことの証明だと感じる。
女性問題の NPO で活動をしている子どもがいる女性は、「性教育をするとき、親が顔色一つ変えずに教えることが大切。上の世代から変わらなければならない」と発言した。
同じく NPO で活動をしている女性は、「心と体、自尊感情を研ぎ澄ませるような教育。心の自尊感情に関しては今まで言ってきたけれど、体の自尊感情に関しては聞いてもらっていない。快不快を自分で語れるようになれば、性暴力に関しても NO と言えるようになるし、快感を追求できるようになる。それを学校場でわたしの権利から性を語れるようになるのが性教育なのではないか」と発言した。
自尊感情という言葉でこれらの問題を考えると、個人的にも心当たりがたくさん出てくる。自分の尊厳を侵されて、明らかに不快であった経験もいままでたくさんあったけど、たしかにあのときは我慢した。しかし、NO という権利はあの時のわたしにもあったはずだ、といまは思う。
自尊感情に関して、もっと丁寧に大人も考えるべきだし、子どもにも丁寧に伝える必要があると感じる。
テーマ2) 「若い子の恋愛離れについて」
いまの若い人たちは、恋愛に消極的であることが話題になった。
消極的な主な理由としては、「お金もない、時間もない、余裕もない、人に構ってる余裕もないし、恋愛をする余裕なんてない」であるらしい。
それに関しては、世代のギャップが浮き彫りになった。
参加者の20代~は、「スマホで事足りるから」「恋愛を労力として捉えてる。頑張らないと人と一緒にいれない。付き合うまでいかなくても、その前のふわっとした関係のほうが楽」
といった意見がでた。(わたしはそう思わないが)
対して40代~は、「ときめきとか、ないの?」「一人より、二人のほうが楽しくない?」等
の懐疑的な意見がでた。
例外的意見としてとして、「若いんだから恋愛しなければ、という感覚は強制異性愛主義を助長させる」や、「アセクシャルの人たちが最近主張し始めたからいいことなのでは?」
等の意見もでたが、セクシャリティに関係なく、恋愛をしたくないからしないではなく、余裕がないからしない(できない)ということが問題であると思った。
そこに選択の猶予がない、また、人と親密な信頼関係を築いていくことを労力として捉える社会は恐ろしいものがある。
これは余談であるが、最近の性風俗で「会話を一切しないで済む風俗店」というものが存在する。この性風俗店の存在を知ったとき、男の厚かましさもここまできたかと心底絶望したことを覚えているが、男性に限らず、現代人は他人と関わること自体(それでも性交渉という高度なコミュニケーションをとろうとすることはふざけているが)を否定的に捉える傾向が強いように感じた。
そしてこれらは、テーマ1)に通じるものがあると思った。
◇まとめ
たくさんの人が集まってくれたことがとにかく嬉しかった。
テーマを決めないという大失態を犯したことにより、テーマは飛び飛びだったものの、なんとか上記二つのテーマで議論を深めることができてよかった。
交流会を通じて、様々な活動をしている人と出会い、様々な視点で話が聞けたことがとても貴重なことであったと思う。
また、男性の参加者もおり、自らの男性からの性被害を告白する場面もあった。
女性の性被害が圧倒的に多いことはたしかであるが、確実に男性の被害者もいる。そしてその被害は男性だからといって無視することは決してあってはならない。
そして、ヌエック自体に10代20代の参加は多少あったものの、その層と繋がることは
とても難しいことであると痛感した。
これから先、どのようにしてその層と関わっていくかは大きな課題であると思う。
今回、応援の言葉もたくさんかけて頂き、Lotus として素晴らしいスタートをきれた。
関わってくれたすべての人に感謝したい。
2019.09.20 Fri
慰安婦
貧困・福祉
DV・性暴力・ハラスメント
非婚・結婚・離婚
セクシュアリティ
くらし・生活
身体・健康
リプロ・ヘルス
脱原発
女性政策
憲法・平和
高齢社会
子育て・教育
性表現
LGBT
最終講義
博士論文
研究助成・公募
アート情報
女性運動・グループ
フェミニストカウンセリング
弁護士
女性センター
セレクトニュース
マスコミが騒がないニュース
女の本屋
ブックトーク
シネマラウンジ
ミニコミ図書館
エッセイ
WAN基金
お助け情報
WANマーケット
女と政治をつなぐ
Worldwide WAN
わいわいWAN
女性学講座
上野研究室
原発ゼロの道
動画






