2019年10月25日 裁判期日後の会議で今後の戦略を練る弁護団

1.今月の弁護団の活動の概要
 今月の弁護団は、東京医科大学に対する訴訟の進行協議期日、第3回口頭弁論期日、順天堂大学に対する訴訟の第1回口頭弁論期日にそれぞれ出頭するとともに、2回の弁護団会議で議論すると、忙しく活動していました。順天堂大学については、大学の答弁書が出された段階で、本格的な議論はこれからというところですので、今回は東京医科大学訴訟での弁護団の活動についてご紹介させていただきます。

2.東京医科大学に対する訴訟の進捗
7月に行われた第2回口頭弁論期日では、訴状に対し大学からの反論の書面が出されていました。これを受け、裁判所から、原告側に対し、大学が行った行為の何が不法行為で、原告に生じた損害の範囲がどうなるのかについて、主張を補充してほしいとの指摘がありました。弁護団では、指摘された内容の検討を行い、10月2日に書面(第1準備書面)を提出しました。
また、10月9日には、非公開の手続きである進行協議期日が開かれました。これは、裁判官と近い距離で面談し、訴訟の進行方法を議論する手続きです。原告の提出した書面を読んだ裁判官から、受験料の返還を請求している部分と、2次試験で不合格になった方の慰謝料を請求している部分について、両立するのかどうかという点について、原告の意見を補充する書面の提出を求められました。裁判官の疑問には早く答えて訴訟を進めようという弁護団の思いから、次の口頭弁論まで約2週間しかない中で、早急に会議を開いて主張の補充書面を作成することになり、時間がない中でも議論を重ね、充実した内容の書面(第2準備書面)を提出し、10月25日の第3回口頭弁論期日を迎えました。(訴訟記録については、https://fairexam.net/whatsnew/346/参照)

3.東京医科大学訴訟での弁護団の主張
 今回、弁護団が提出した主張の書面(第1準備書面)は、訴訟での中心的な争点である、1次試験で不合格になった人にも慰謝料が認められるのかという部分にかかわるものでした。
 弁護団としては、大学が性別や浪人の回数により得点調整を行った2次試験の不合格者のみならず、得点調整が行われなかった1次試験で不合格になった原告についても、大学の不法行為によって被害を被ったと考えています。
 その背景として、大学においては、平成18年度に当時の学長が女性合格者の数を抑えるということを指示して、2次試験での女性や浪人生に対する差別的な得点調整の方法を記載した書面を職員が作成し、それにより入試用電子プログラムが作成され、以降、毎年度、男性の入学者を一定数合格させるよう、この電子プログラムの見直しがなされてきたことが挙げられます。
 つまり、大学は、女子受験生に不利益となる採点方法を、各年度の入学者選抜の実施に先立って、決定したうえで、受験生を募集し、試験を実施し、採点するのにもかかわらず、受験生らに対しては、公平な入試を行っているように装ってきたのです。
 一方、受験生は、熾烈な受験勉強を経て、また、各大学医学部の入試に照準を合わせてそれに向けた特別な対策を行うなど準備も行ってきました。受験生は、自分が女性であることであらかじめ不公正・不公平に取り扱われることが決まっている入試と分かっていれば、受験しないのが通常だと思われます。このことから、弁護団としては、一次試験で不合格になった受験生も、時間的・経済的な犠牲を割いて、あらかじめ不公正な取り扱いがされることが決まっている試験を受けさせられたこと自体により、被害を被ったと考え、主張しています。

 また、裁判官から指摘された、受験料と2次試験で得点調整の結果不合格になった人の慰謝料について、なぜ両立するのかという疑問に答える書面も提出しました。弁護団としては、得点調整の結果、2次試験で不合格になった人に対する慰謝料が認められることについては当然ですが、今回の大学の不正行為が、実施に先立って、女性合格者の抑制という不公正・不公平な目的のために、得点調整を行う体制づくりがなされているものであり、それを認識しつつ入試を実施した大学は、受験料を正当な対価として収受することはできないのですから、この返還請求も認められるべきものと考えて、書面を提出しました。その中では、わかりやすい例えとして、食品偽装により食中毒となった人は慰謝料を請求できるし、その偽装された食品についても、支払った代金に見合う利益を得られていないため、代金の返還を請求できるのは当然であることを指摘したりするなど、中立的な立場の裁判官に伝わりやすくするための工夫をしています。

4.弁護団のチャレンジ
 今月の弁護団活動は、これまでなかった論点を弁護団として真剣に議論し、今回の不正入試の本質的な問題点を提起する機会になり、大変充実したものでした。弁護団としては、これからもこうした課題に正面から取り組むべく新たなチャレンジをしていきたいと思います。

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