以下、IMADARサイトから転載します。
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並外れた時は並外れた連帯が必要

絶望的な時には、大胆で断固としたリーダーシップが必要です。新型コロナウィルスは世界共通の課題であり、かつてないほど、私たちの相互依存が必要なことを示しています。

私たちは今、あらゆる人に影響を及ぼし、最も脆弱な人びとに新たなリスクをもたらす前例のない健康危機を経験しています。根深いジェンダー不平等のために、世界中の女性と少女も新型コロナウィルスのパンデミックをさまざまに経験するでしょう。2018 年と 2019 年のG7ジェンダー平等評議会のメンバーである私たちは、G7加盟国に対し、女性が直面する特定の課題に対応し、世界中のジェンダー平等と女性の権利の悪化を防ぐための共同緊急行動をとるよう強く要請します。

私たちは、すべての政府に対し、この危機にジェンダーの側面を考慮に入れるよう要請します。男性はこれまでのところわずかに女性より影響を受けていますが、女性は世界中の医療および社会福祉サービス従事者の 70%を占めており、危機の最前線にいて、より大きなリスクにさらされています。女性たちはまた、営業停止された小売業およびサービス業における低賃金就労者の大半を占めており、この危機の最中およびその後に、経済的にさらに脆弱な状況に追い込まれます。

新型コロナウィルスの大流行と外出制限の措置は、特に世界中の女性と子どもに対する家庭内暴力の顕著な増加をもたらしています。女性の基本的な性と生殖に関する権利とサービスは、劇的に縮小しました。すべての少女に教育を保障する取り組みは後退しています。紛争地域の女性や、難民や国内避難民のキャンプで生活する女性たちは、最悪の条件でウイルス感染にさらされています。女性たちは保護を必要としています。私たち全員にさらなる連帯が求められます。

第一に、G7ジェンダー平等評議会は、医療やソーシャルワーカーを支援するために特別な措置を講じ、必要な機器や病院近くの住宅の確保など、危機の間に適切な労働条件を提供する責任がG7リー ダーたちにあると断言します。

第二に、ドメスティック・バイオレンスをうけている人びとを保護するための特別な措置をとることは緊急かつ不可欠です。政府は、すべての第一対応者に効果的なトレーニングを行い、緊急避難所を増設し、加害者を直ちに家から切り離し、ヘルプラインへの支援を提供すべきです。

第三に、政府は、ジェンダー平等が教育の取り組みの中心に据えられるよう確保すべきです。学校閉鎖は、とりわけ最も貧しい少女にとって、すでにあるジェンダー不平等をさらに悪化させます。政府は、すべての少女が学習に参加できるようにし、学校再開を計画する際にはジェンダーへの配慮を織り込み、学習支援の約束を履行しなければなりません。

第四に、私たちは、政府に、中絶、母性の健康および出産前・出産後のケアを含む性と生殖に関する保健サービスへのアクセスを保障するよう要求します。数百万もの人びとが失業と経済的絶望の淵にあるこの危機の時に、私たちはまた、少女および女性のために、生理用品と近代的な避妊製品を無料で提供するよう要求します。

第五に、伝統的に女性が担ってきた介護や家事の 50 パーセントを男性も担うよう奨励する政府の公共メッセージが必要です。

最後に、政府は、医療専門家や政策立案者が有効な保健対応および社会経済的対応を作成できるよう、危機における男女別のデータを提供するべきです。

世界各地で危機的状況が高まるなか、もし私たちがほんとうにすべての人の命を救い、健康、福祉、尊厳を届けたいと望むのならば、少女と女性を、地域、国および世界の緊急対応の意思決定、社会的・経済的復興の取り組み、そしてパンデミック後の保健制度の強化方法に含め、その中心に置かなくてはならないことは明らかです。まさに今、女性たちが戦いの最前線にいるように。

国際的な調整と連帯、とりわけ私たちの社会で最も弱い立場にある人びととの調整と連帯がなければ、この致命的なパンデミックは、とりわけ医療制度がもろく、不均等な配分をうけ、貧困に無力にさせられているところにおいては、途方もない犠牲を強いることになるでしょう。この困難な瞬間は、人びとの命を守り権利を守る呼びかけをしているだけではありません。私たちの共通の失敗に向きあい、そこから学び、より健康で豊かで平和なジェンダー平等の世界を構築する機会でもあります。この緊急時は、並外れた人間中心主義のリーダーシップ、外国人嫌悪や性差別や経済重商主義から解放されたリーダーシップを求めています。今、すべての人- 女性、男性、公的セクターそして市民社会セクター-の行動が求められています。 私たちの人間性がこの暗闇の時代を照らしだすにちがいありません。

2018 年・2019 年G7ジェンダー平等評議会メンバー
Alice P. Albright (CEO, The Global Partnership for Education), Lisa Azuelos (Filmaker),Bochra Bel Haj Hmida (Lawyer, Nobel Peace Prize Laureate 2015), Emma Bonino (President, WE-Women Empower the World and European Council on Foreign Relations), Dillon Black(Anti-Violence Advocate, LGBTQ Advocate), Ouided Bouchamaoui (Nobel Peace Prize Laureate 2015), Winnie Byanyima (Executive director of UNAIDS and former executive director of Oxfam International), Marie Cervetti (Une Femme et un toit), Professor Diane Elson (Economist and Gender and Development Social Scientist, University of Essex),Mercedes Erra (Founder and President of BETC), Caroline Fourest (Writer and Filmmaker), Rosemary Ganley (Journalist, Community Organizer), Leymah Gbowee (Nobel Peace Prize Laureate 2011), Gargee Ghosh (Bill and Melinda Gates Foundation), Brigitte GRESY (President of the Haut conseil à l’égalité France), Dayle Haddon (Founder of Women One),Yoko Hayashi (lawyer, current member and former Chair, UN Committee on the Elimination of Discrimination against Women), Isabelle Hudon (Canadian Ambassador to France and Monaco),Muriel Ighmouracène (Writer), Katja Iversen (President of Women Deliver), Roberta Jamieson (President & CEO Indspire), Aranya Johar (poet and activist), Farrah Khan (Manager, Consent Comes First, Ryerson University), Michael Kaufman (author and activist), Aīssata Lam (President Youth Chamber of Commerce of Mauritania), Phumzile Mlambo-Ngcuka (Executive director of UN Women), Virginie Morgon (CEO of Eurazeo), Vanessa Moungar (Director for Gender, Women and Civil Society at the African Development Bank), Doctor Denis Mukwege (Nobel Peace Prize Laureate 2018), Nadia Murad (Nobel Peace Prize Laureate 2018), Irene Natividad (President, Global Summit of Women), Alexandra Palt (General Manager of L’Oreal Foundation), Natalia Ponce de León (activist), Inna Shevchenko (journalist and activist FEMEN), Kareen Rispal (Ambassador of France in Canada), Maya Roy (CEO of YWCA Canada), Grégoire Théry (Co-Founder of CAP international), Emma Watson (actor and activist), Malala Yousafzai (Nobel Peace Prize Laureate 2014, activist for girls’ education).

原文はこちら
翻訳:反差別国際運動