10月13日、大阪医科大、メトロコマースの裁判報告集会がありました。判決に対する3名のコメントをご承諾いただきましたので転載させていただきます。

〜Yさんからのコメント〜
あの安倍氏ですら「同一労働同一賃金」、非正規にも欧米並みの8割の水準にと言い、法改正を行いました。厚労省の法改正の解説にはちゃんと「賞与」も対象にしています。
しかし、今回の大阪医大事件で、最高裁は原告の月額15-16万円の賃金(年収16万×12か月=192万円)に対し、年間4.6か月の賞与736000円の6割(約44万円、年収の23%に相当する)の不支給を「労働契約法20条でいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当である」としたのです。
原告の年収は正職員の基本給及び賞与の55%程度の水準であったとの高裁の認定にも言及しながらです。
 メトロ事件でもたった25%の退職金も認めませんでした。高裁判決の時原告の一人は非正規は四分の一の価値しかないのか悔しいと怒りを表現していましたが、それすら認めない最高裁はやはり最低裁です。
非正規の女性たちは退職の後、息つく暇もなく仕事を探し、今コロナ禍でその仕事も見つからないのです。
判決には均等・均衡を実現しようという意思が全く見えません。
 一体裁判官はどんな感性を持った人たちなのか!と怒り心頭です。

〜Kさんからのコメント〜
大阪医大とメトロコマースへの差別容認判決は、女性に対する間接差別だと思います。
 2100万非正規労働者の7割は女性で、しかももともと各種手当をもらえる対象から「除外」されることの多い女性にとっては、基本給はもちろん、賞与や退職金など基本給を補完する役割のある根幹部分の格差が解消されないかぎり、 同一価値労働同一賃金なんて実現するはずがありません。

〜Tさんからのコメント〜
10月15日の郵政訴訟判決では、手当がほぼ原告の要求通り認められました。
つまり、労契法20条は、「手当については不合理性は積極的に認定されるが、基本給・賞与・退職金などの基幹的な労働条件については、「正社員の賃金体系や求められる職務遂行能力及び責任の程度の差等」に照らせば、わずかな業務の違いで不合理性が否定され、均衡処遇についてさえも考慮されない」(弁護士さんのご説明)ということです。
 郵政の非正規の方々の格差是正はよかったと心から思いますが、今回の判決は、女性に対する間接差別判決といってもいいかもしれません。これだと、女性への差別的評価や低賃金の是正はとても難しいからです。
これからは、介入が難しい賃金部分に手当を繰り込んで、差をつけていくという手法による差別が横行するおそれもあります。裁判所はひょっとしたら、そうした回避策を見込んでいるのかと疑いたくなります。メディアには「是正もあった」と思わせる、巧妙なやり方です。
めくらましにごまかされず、会社の評価に切り込める客観的な職務評価を伴う同一価値労働同一賃金を求めて行く必要が、一段と強まったと感じています。