シネマラウンジ
映画と女性と社会をつなぎます。フェミニズム、ジェンダーを視野に入れつつ、映画をとおして世界の女性の多様な生の現実にふれ、ともに語りあえるような交流の場をめざしています。新作映画評、エッセイ、対談・座談会、女性監督の言葉など、映画とさまざまに関わる女性たちの〈声〉をお届けします。
映画を語る
2019.10.19 Sat
みのり(萩原みのり)は21歳。両親はすでに他界し、鎌倉で祖母と一緒に暮らしている。高校を出てから定職につかず、今は、喫茶店で週4日のアルバイトをしていた。それ以外はスマホゲームで時間をつぶすか、友人と近場へ遊びに出かけるか。家では世話をしてくれる祖母に甘えっぱなしで、特に将来のために何かをするでもなく、狭い範囲の中で日常を送っていた。
カテゴリー:新作映画評・エッセイ
『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』 Girls, be ambitious. 中村奈津子
2019.10.12 Sat
19世紀ロシア、サンクトペテルブルグ。14歳になる貴族の子女サーシャは、父母と3人で暮らしていた。大好きな祖父は、1年前に北極航路の探検に出たまま行方不明となってしまい、捜索船が出たものの行方が分からずにいた。そのため、祖父の名が付けられる予定だった科学アカデミーの図書館も開館されず、ロシア高官の父は、地に落ちた家族の名誉をなんとか取り戻
カテゴリー:新作映画評・エッセイ
『バオバオ フツウの家族』 そこにある愛を、ただ認めるだけのこと 中村奈津子
2019.10.06 Sun
「バオバオ」は中国語で「宝宝」と書き、「赤ちゃん」を意味する。本作は、台湾出身でロンドンに住んでいる二組の同性カップルが、互いに協力して「妊活」をする物語である。台湾政府が1976年に創設した映画の脚本コンペで、2015年に優秀賞を獲得した脚本の映画化だ。 台湾では2017年に、憲法裁判所に相当する司法院大法官会議が「同性婚を認めないの
カテゴリー:新作映画評・エッセイ